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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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夢から醒めたモノ

 名前 山形公平 レベル102

 称号 心いたわり寄り添う光風

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 

 スキル

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 解説 風きよらかに魔を払う。邪悪な所業を断ち滅ぼす

 効果 魂を救うための戦いに勝利した際、対象をあるべき姿へと戻す。

 

 

「今回はスキルってより、レベルの方がおかしいなあ」

 

 ステータスを見て、俺は呟いた。新たなるスキルの方は、まあ、半ば考えたって仕方ないことの領域に達しているのだが。

 レベルがなんかね、30くらい跳ね上がってるの。おかしくない?

 俺は新スキルの内容も含めて、その辺を香苗さんに聞いてみた。

 

「スケルトンの群れを倒したからでしょう、それは」

「たしかにものすごい数でしたけど……だからって30も上がりますかね」

「リッチ配下のアンデッドモンスターは、通常の個体よりもワンランク、強さが上がります。それに伴い倒した時に得られる経験値も増えるのですから、それゆえでしょう」

 

 リッチに纏わる知識を披露する香苗さん。

 おいおい、それ本当かよ。元々のスケルトンがE級だったから、つまりさっきの骨たちは揃ってD級モンスター相当だったってことか。

 傍で話を聞いていた逢坂さんや彼女のパーティメンバーが顔を青褪めさせている。そりゃそうか、というかあなた方、よく俺たちが来るまで持ちこたえてましたね。

 

「い、いや……あと少しだけ攻め込まれてたら終わってたよ。何でかあいつら、歩みが遅かったんだ」

「あっ、たしかに!」

「不自然なくらい、揃って止まるタイミング、あったもんね」

 

 逢坂さんパーティのリーダー以下、メンバーたちが当時を語る。絶体絶命だったことに変わりはないものの、時折軍勢が謎の、停止を度々見せたのだとか。

 なんだろう? 思い付く節と言えば、リッチに乗っ取られながらもわずかに意識を見せていた、望月さんくらいしかないな。

 

 逢坂さんに介抱されている望月さん──いつまで抱きしめているのかと香苗さんと逢坂さんに言われて、既に彼女を解放している。何か、怖かった──は、俺の視線に頷いて答えた。

 

「乗っ取られている間は、夢を見ているような。自分で自分の認識ができないような、そんな感覚でしたけど……合間合間、現実に戻る瞬間があったんです。ちょうど、あなた様に色々と、お願いしてしまっていたように」

「乗っ取りが完全じゃなく、望月さんの意識が浮上することが度々あったんですか……」

「それがリッチの軍勢がストップした理由、なのでしょうね。統率役が瞬間的にいなくなり、軍勢すべてが止まったと。あくまで仮説ですが」

 

 状況と証言からの推測を立てるも、すべてはリッチのみぞ知る、か。

 そもそもモンスターが人間を乗っ取るなんてことがもう、聞いたこともない話なんだ。何を論ずるにしたって、判断材料が乏しすぎる。

 前例とかあるのかな、香苗さん?

 

「まさか! そんな恐るべきモンスターがいて、実際の事例まであったとしたら、まず間違いなくすべての探査者に事細かに情報が公開されます」

 

 やりようによっては、今ある人間の社会が根底から崩れてしまいますから、と。深刻な面持ちで彼女は言った。たしかにそうだ、たとえば人間になりすましたモンスターがしれっと人間の社会に溶け込めば、何をしでかすとも限らないものな。

 まるで前代未聞なことってのは理解したが……なんだろう、リッチってこんな特殊能力あんの? それともモンスターなら実は、すべての個体が持ってるとか?

 

『いえ、それはあり得ないですよ公平さん。本来はいかなるモンスターでも、人間に擬態したり、乗っ取ったり支配する能力を持つことなんて絶対にありません』

 

 俺の疑問にリーベが、脳内で答える。

 答えてくれるのはありがたいんだけど、このやり取りで判明した事実を基本、言えないのがなんともなあ。脳内美少女がソースですなんて、病院に連れて行かれかねない。

 そんな俺の思考に応える形で、リーベは今までにない、とんでもないことを伝えてきた。

 

『公平さん、これはシステムさんからの要請です──さっきのリーベちゃんの言葉と併せ、《絶対にありえないはずの事態をもたらしたモノ。それこそが今のこの時代を引き起こした》と。これらを急ぎ、探査者を管理する組織の上役にお伝え下さい』

「…………はあ!? おい、ちょっ」

『ステータスに証拠として、称号を贈るとのことです。公平さん──あなたの敵が、現れたんです』

 

 言いたいことだけ言って、リーベは脳内から消えたみたいだった。

 なんだよ、不穏な事ばっかり! ついつい声を出して反応してしまったからか、一同の視線が俺に集まる。

 顔を赤らめつつもステータスを見る。システムさん曰くの証拠だそうだが、どれどれ?

 

 

 名前 山形公平 レベル102

 称号 警告:生きとし生けるすべてのものへ

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 名称 誰もが安らげる世界のために

 名称 風浄祓魔/邪業断滅

 

 称号 警告:生きとし生けるすべてのものへ

 解説 癒やされゆく世界を、救われゆく魂を──憎む邪悪が目を覚ました

 効果 邪悪なる思念の発生を感知、対象を看破する

 

 

 《称号『警告:生きとし生けるすべてのものへ』の世界初獲得を確認しました》

 《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》

 《……集結し、団結し、協力するのです。世界を壊し、時代を歪め、この世を荒野へと変えたナニモノかは既に、救済者となり得る者が現れたことに気付いています》

 

 

「……………………怖ぁ」

 

 もう俺、白目剥きそう。

 ていうか人の称号を、広報掲示板みたいに使わないでくださいます?

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間、週間、月間1位、四半期6位

総合日間11位、週間4位、月間15位

それぞれ頂戴しております

ありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方よろしくおねがいします

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― 新着の感想 ―
救世の聖女だわぁ(笑)
[良い点] こわぁ [一言] 世界の危機が アップを始めました
[一言] いやあ、称号を通達文書みたいに使うのはいいけど、何かスキル的な効果もつけてやれよ、と思う。
感想一覧
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