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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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26/1892

山形、戦いになると光るってよ

 工場ダンジョンから抜け出し、ダンジョンの消滅を確認して。

 東さんたち工場の皆さんからの感謝をありがたく頂戴してから、俺と御堂さんはその場を後にしていた。

 次なるダンジョン、郊外の丘の上へは公共交通機関を利用しての移動だ。ちょうど昼時なので途中、駅前でファストフード店があるのでそこで腹拵えといく。

 

「ハンバーガーも久しぶりですね。中々ジャンクな食べ応え、悪くありません」

「今も昔も変わらない安心感はありますよね。たぶん未来でも、そう変わってないんじゃないかなーって思いますよ」

 

 言いながらハンバーガーを頬張る俺たち。ダンジョンを二つも踏破した後だからそれなりにお腹もペコペコだけど、この後にもう一勝負あるので食い過ぎは良くない。

 腹八分目、腹八分目。学生の旺盛な食欲を程々に宥めて、俺はハンバーガーとポテト、ジュースのセットを胃に流し込んだ。

 

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまでした……ふう。ちょっと落ち着きがてら、《ステータス》確認しますね」

「ええ、どうぞ」

 

 しっかりと手と手を合わせてごちそうさまを言った後、食後のちょっとした余韻を使って俺は、ステータス画面を表示した。

 ダンジョンを二つ踏破したことで、レベルが上がったり、また何か称号が変わっているかもしれない。少なくとも今朝方までは《ワークライフバランサー》だったけど、さて今は、と。

 

 

 名前 山形公平 レベル20

 称号 勇気と共に道を行き、慈愛と共に生きる者

 スキル

 名称 風さえ吹かない荒野を行くよ

 名称 救いを求める魂よ、光と共に風は来た

 

 

 称号 勇気と共に道を行き、慈愛と共に生きる者

 解説 手にした力を正しく使う、それを勇気と呼び

    手にした力で善を護る、それを慈愛と呼ぶ

 効果 特定スキル発動時、発光現象付与

    全身から光が放たれ、目に映した者の精神を癒やす

 

 

 《称号『勇気と共に道を行き、慈愛と共に生きる者』の世界初獲得を確認しました》

 《初獲得ボーナス付与承認。すべての基礎能力に一段階の引き上げが行われます》

 《……勇気と慈愛を掲げる魂は、輝きさえも纏うもの。気高きあなたの魂の、眩き光を示すのです》

 

 

「………………発、光?」

 

 呆然。その一言に尽きる。

 今回ばかりは本気で言葉が思い浮かばない。頭が真っ白だ。

 

 はっこう。発光? 光を放つ? はぁ?

 なんだ。それは。どう言うんだ、それは。

 

「公平、くん?」

「御堂さん……実は俺、ホタルイカだったみたいです」

「ほ、ホタルイカ……?」

「もしくはチョウチンアンコウ」

 

 どうにか御堂さんへと言葉を絞り出し、俺は天を見上げた。

 システムさん。あなたは俺をどうしたいんだ。何をしてほしい?

 邪悪なる思念とやらを倒せってのか? 全身から? 光を放って?

 そんなバカな! いくら俺がピカピカの一年生だからって本当に光らせるやつがあるか! 勇気とか慈愛とか言って、それと俺が戦い始めたらおもむろに光りだすのと、なんの関係があるんだ!?

 

「システムさん。あんた俺に、何をさせたいんだ……!」

「何があったんですか? 称号が変わったことは、何となく察せますが」

 

 俺は御堂さんに、新しく得た称号《勇気と共に道を行き、慈愛と共に生きる者》について説明する。

 発光現象の付与について、彼女もまったく理解が及ばずにフリーズ。ひとまずの現状把握に至るまで何回か聞き直してきた程だ。さもありなん、まさか効果がそんな嫌がらせみたいな真似してくるとは、思いも寄らないことだ。

 恐ろしく、微妙な表情で俺と目を合わせてきた。

 

「……公平くん、光るんですね」

「……みたいです」

 

 何となく買ったおもちゃが、実は暗闇になるとうっすら光るタイプのおもちゃだったような。

 聞いてないし大して値打ちがあるわけじゃないし、むしろ若干気になるからちょっと鬱陶しく感じさえしそうなそんな効果。

 本気でこれは何の意味があるのか。二人でいくらか話し合う。

 

「一応発光現象には、見た者の精神を癒やす効果があるみたいですが」

「アロマセラピーですかね。ちなみに聞きますが、類似効果は?」

「《マッサージ》や《メンタルケア》など、精神的なフォローアップに特化したスキルがあるのは知っていますが……いずれも能動的なものです」

「所持者の意志によってオン、オフが切り替えられると」

「条件を満たせば強制的に発光し、あまつさえ他者の精神に干渉してくるというのは中々、聞いたことのない話ですね。所持者の意志を完全に無視しています」

「何それ怖ぁ……」

 

 発動条件である『特定スキル』ってのが何なのか。それはさておくにしても、俺の意思や意図に寄らずオートで光りだすってのは、制御不能すぎて恐ろしい話だ。

 精神を癒やすってのもよく分からないザックリした表現だ。そもそも他人の精神に影響を与えるタイプの効果なんて、せめて能動意思の元で制御されてないと怖すぎるだろ。

 

 問題点と懸念しかない称号。

 ここに来て特大の地雷を抱え込むようなことになってしまった俺は、どうしたもんかと頭を抱える。

 

 そんな折、だ。

 御堂さんのスマホに着信が来た。

 

「はい、御堂です」

「どーすんだ、これぇ……」

 

 俺は今後、何かあるといきなり光りだす面白人間として生きていかなきゃいけないのか? テレビでたまにやってる、世界の不思議人間特集! みたいなドキュメンタリーに出られそうだな。

 ていうか夜、万一にでも道を歩いてる時に光りだしたらもう駄目じゃん。不審者確定。もしくは練り歩くランタン男として町内の名物になれる。

 戦慄の未来に怖ぁ……ってなってると。

 

「はい、はい。分かりました、至急向かいます。では……公平くん」

「どうしました?」

「……町中にモンスターが襲撃をかけてきました。いわゆる『スタンピード』の発生です」

 

 深刻な面持ちで御堂さんの、言葉が響いた。

この話を投稿した時点で、

ローファンタジー日刊ランキング1位

総合日刊ランキング3位

をそれぞれ頂戴しております

ありがとうございます、これからもがんばります

引き続きブックマーク登録と評価のほど、よろしくおねがいします

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― 新着の感想 ―
この称号って阿弥陀如来の後光ですよね。 スキルや魔法だと《安らぎserenity》、《平静tranquility》、《沈静calm》とかかな?
[良い点] >癒し効果アリの発光 つまり公平くんは「フェイ○フラッシュ!」ならぬ「全身フラッシュ!」が使えるようになった訳ですか···う~ん救世主!
[良い点] システムさん「救世主降臨伝説に1シーン入れるため、ちょっとスタンピード引き起こしました。さぁ、輝かんばかりの伝説を作り上げましょう♪」 文字通り輝きながら、ね(。。
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