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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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山形公平ゥ!なぜ君がアドミニストレータになれたのか以下略

「どうしたの、公平くん?」

「えっ? あ、ああいやいや何でもないよ。ははは」

「ふーん?」

 

 何やら不穏な解説が付いている称号を賜ってしまった俺。

 あんまり動揺したもんで硬直が長く、梨沙さんの訝しげ、というか心配そうな声でようやく再起動を果たしていた。

 

「弁当にGでも入ってたか、公平」

「うわサイアク、食事中にやめてよ松田ー」

 

 松田くんがかなり悪質なジョークを飛ばし、隣の遠野さんにツッコまれる。片岡くんと木下さんは苦笑いしているが、同時に俺と梨沙さんを面白そうに見てもいる。

 ともあれ正気に返った俺は、改めて彼女に向き直った。

 

「あー、実はさ。近々また、変なことになりそうな雲行きでして」

「それって、探査業だよね? なんで? 公平くん、なってすぐのペーペーさんじゃん」

「本当になんでだろうね? まあ、縁とか成り行きのもの、なのかな」

 

 不安げな梨沙さんに問われたところで、こっちだってなんで俺なのかさっぱり分からないので答えようもない。

 本当になんで俺なんだろう? アドミニストレータなんてやらせて、何なんだねリーベくんやい。

 

『こっちが聞きたいくらいですよー。なんでただの人間が、アドミニストレータ用スキルをそんな大量に獲得できたのか。なんでただの人間が、コマンドプロンプトに接続できるのか。あまつさえ、なんで新しいスキルまで作れてしまうのか……何でです?』

 

 知るか! こっちが聞きたいわ、俺は何者なんだ!

 とまあ、リーベの反応でも分かるように、地味〜に謎な山形公平のことについてはシステムさん側すらお手上げらしい。

 俺、間違いなく父ちゃんと母ちゃんの子だよなあ? 黄金に光る竹からとか、川をどんぶらこどんぶらこと流れてきた大きな桃からとか、生まれてないよなあ?

 

『DNAについてはリーベの方でも何度も何度も調べてますよー。純度混じり気なし、100%山形公平さんは人間ですよー。親も、御母堂様と御尊父さまの御子息様ですー』

 

 だよねー。

 まあこの辺はもう、考えたって仕方がない。そのうち何やかや分かって、なんだよはははー、で済むんだ。俺は知っている。これまでの人生、割とそんな感じだし。やだ、俺の人生大雑把すぎ……?

 

 ともあれ、心配する梨沙さん、だけじゃないな。何だかんだと松田くんたちも気遣わしげなので、せめて笑って大丈夫だよアピールをしておく。

 なあに心配いらない、俺はドラゴンだってどうにかしたんだ。今回だってなんとかなる。

 

「大丈夫、大丈夫! シャイニング山形を信じてちょうだいよ」

「まあ、光るもんな……」

「光るものね」

「何ワットくらい出てるんだろう? 何ルクス?」

「映画館で売ってそう」

「ソフビ人形じゃねえか!」

 

 ひどい。誰が前売り券を買った時に付いてくるオマケなんだ。

 こういう、くだらないやり取りとか他愛もない弄りをしてくれる友だちはありがたい。日常生活ってものを楽しく思えるし、学校に行こうと思う、モチベーションにもなるからね。

 

 昼休憩も終わり5時限目、6時限目と過ぎていく。あと一ヶ月したら期末テストで、それが終わったら夏休みだ。授業中、何とはなしに思いを馳せる。

 思えば去年は受験のため、夏休みもずーっと勉強しまくってた。塾に通って、参考書とにらめっこして、毎日毎日長いこと勉強してたっけな。

 

 高校に入っても、まあ俺は俺、適当にのんびりやってくんだろうな〜って考えていたのをよく、覚えている。

 何しろ中学の時分にそんな風に適当こいて過ごしていたもんだから、ずっとそういうのが続くと信じて疑ってなかったんだよ。

 

 まさか、こんなことになるなんてなあ。

 無縁とばかり思っていたスキル覚醒。しかも他に例のない、やたらポエミーなスキルと称号。家族総出で慌てふためいていた時からつい2ヶ月かそこら程度、ずいぶん濃い方向に様変わりした俺の人生よ。

 

『人生ってそんなもんらしいですねー。中々変わらないのに、変わる時は一瞬ですべて変わっていくって話、よく耳にしましたよー』

 

 誰からだよ。お前も大概謎だよな、ほんと。

 でもまあそのとおりで、香苗さんを筆頭に、これまでなら絶対に関わることなんてなかった人たちと多く、関わることになった。

 そのお陰かな。体はもちろんのこと、心も少しは強くなれた気がする。俺の想うアドミニストレータとしての在り方とか、見出だせたからかな。

 

『もう、システムさんもリーベもあなたに何か、アドミニストレータかくあるべし! みたいな促しはしません。あなたを信じます……公平さんこそ、新たな時代のアドミニストレータです』

 

 ありがとう。

 でも、間違ってるって思ったら言ってくれよ?

 意見するのと命令するのはまた、違うことだ。縛られるわけにはいかないけれど、聞き入れないこともしたくない。

 難しい塩梅だし、俺もまだまだ努力しないと、だけどね。

この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間4位、週間2位、月間1位、四半期2位

総合月間11位

それぞれ頂戴しております

また、総合評価70000pt到達しました

本当にありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方、よろしくお願いいたします

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― 新着の感想 ―
身体は人間でも魂が人間だとは言ってないよね(笑)
[気になる点] もうすぐラストバトル!みたいな雰囲気出してるけどまだ200話も行ってねぇンだよなぁ
[一言] 先の震災や新型コロナのせいで、変わる時は一瞬で変わると言うのを実感したよ。
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