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攻略!大ダンジョン時代─俺だけスキルがやたらポエミーなんだけど─  作者: てんたくろー
本編

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138/1892

経験値検証中☆

 マニアックな趣味をお持ちな、S級探査者ビアンカさんのお話はひとまず置いておいて。

 俺たちはPCの画面、次のスライドに表示された称号に目を向けた。古今東西、妙な嗜好の探査者はよくある話といえばよくある話。この会が終わったあとにゆっくり話すのも良いだろう。

 まずは何より会を進めよう。

 

 

 称号 正しき使命を抱く人

 解説 まさしくあなたは救う人。探る者、生きる人を支え護る人

 効果 モンスター討伐時、獲得経験値5倍

 

 

「こりゃまた、インチキだねえ」

「インチキ……まあ、とんでもないですけど」

 

 効果を一瞥、バッサリ両断。マリーさんの顔に、呆れたやらおかしいやらと言った、苦笑いが浮かんでいる。

 たしかにインチキだ。インチキだけど、正直他の効果よりは若干おとなしい方だとすら思うのは、俺が毒されているんだろうか? だって5倍止まりだぞ? 10倍じゃない、一桁だ。

 

 内心で首を傾げていると、マリーさんはさらに続けて言った。

 

「もしくはトンチキだ。モンスターを倒した時の経験値5倍? まったく、そんなマスクデータまで絡めてどんだけ、システムさんは公平ちゃんに強くなって欲しいんだか」

「マスクデータ? って、なんでしょう?」

「隠されていて、通常分からないようになっている数値のことですね。ゲームなどでよくあるものです」

 

 望月さんが問いかけ、香苗さんが答える。そう、マスクデータってたしかプレイヤーからは通常、知る手段がないデータとかステータスのことだったよな。

 ゲームじゃない現実世界において、経験値がそれにあたるのかっていうのは、謎だけど……まあ、たしかにマスクデータなんだろうな。

 

「経験値という概念はレベルに絡めて散々、検証されては来たけどね。それこそ大ダンジョン時代初期からずっと、有志たちがこぞって地道な作業を積み重ねているよ」

「モンスター経験値表ですね。WSOが出版しているモンスター大全集に記載されていますが、あれもいわばプレイヤー側の、検証勢による考察に過ぎないのはたしかです」

「公式な、この場合だとシステムさんからかね。立場のなにがしかからその手のアナウンスがあったわけじゃない以上、経験値なんてのはマスクデータとしか言いようがないのさ」

 

 ああ、俺も一応買ってはいるな、モンスター大全集。やたら高いんだよな〜あれ、一冊3万円するのが十二巻まで出てるし。

 でもその分、載ってあるデータ量は大したもんなんだ。モンスターの写真から、攻撃法から対策、ドロップする素材まで大体知りたいことが書いてある。

 

 種類によっては解剖図まであるからとんでもない。攻撃性の高いモンスターをわざわざ捕まえて、解剖したってことだよな? 怖ぁ……

 いやでもそういう実験とかがあってこそ、今日の大ダンジョン時代は保たれてるわけだしねえ。まあ、アイを解剖とか言い出したらそれは止めるけど。そこは救った手前もあるし、もう知らない仲でもないからね。

 

「そもそも経験値なんて呼称さえ、スキルやら称号やらで用いられたことは一度もないはずだよ。経験値ブーストなんて効果も初見だし」

「初めて尽くしですね。公平くん的にはもう、割と慣れたことでしょうが」

「そもそもスキルの名前とかからして、ですからねー」

 

 苦笑い。思えば最初の、《風さえ吹かない荒野を行くよ》の時点で既におかしいものな。

 称号だって軒並み初獲得のものばかりで、いわゆる普通の、一般的な探査者としてのものなんて本当に一つもありやしない。

 

 このステータス画面を見せてどうだ探査者だぞう、なんてとてもじゃないけど言えない気は、正直ずっとしている。

 ていうか、考えてみれば本当にこれはどういうことなんだろう。アドミニストレータってここまで、探査者っぽい何かみたいな感じになるものなのかな。

 

 リーベさん、リーベさん。

 過去のアドミニストレータさんってみんな、俺みたいな感じだったの?

 

『いえ、全く違いますねー。そもそも先代までのアドミニストレータにはレベルの概念なんてありませんでしたから、肉体の強度も今の探査者とは比べ物になりませんでしたね』

 

 ……えっ。レベルがない?

 

『《誰もが安らげる世界のために》一つ習得した時点でキャパシティも限界。出力も、100倍まで出したら肉体が崩壊しちゃうような有様でしたよー。ほんと、こればかりは忌々しいですが大ダンジョン時代に感謝ですねー』

 

 困ったものでしたねーと、笑うリーベだがそれどころじゃない。

 レベルの概念がないって何だ、どういうことだ。そんなことってあるのか? レベルは、スキルを持つなら誰にでもあるものじゃないのか。

 

『というか認識がおかしいですよ、公平さん。あなたが、アドミニストレータがオペレータっぽいのではなく、オペレータこそがアドミニストレータのそっくりさんなんです。世に広くあるスキルも元は、アドミニストレータの専用スキルを人間にも扱えるよう、ダウングレードさせたものですからね!』

 

 おいおい驚愕の真実〜!

 レベルにしろ今の、オペレータの源流がアドミニストレータってことにしろ。リーベちゃん最近、不意にビックリ情報流すこと多くないかな?

そろそろ一旦投稿ペース落ちそうです。具体的には昼夜二回

ご了承ください


この話を投稿した時点で

ローファンタジー日間3位、週間2位、月間1位、四半期2位

総合月間9位

それぞれ頂戴しております

本当にありがとうございます

引き続きブックマーク登録と評価の方、よろしくお願いいたします

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― 新着の感想 ―
管理者権限をダウングレードしたものがスキルで、普通なら、一つだけでキャパシティギリギリのところを公平はいくつも保持していて、現状で130倍まで可能。 真の意味でチート(ズルい)ですね。
[良い点] 目次でサブタイ読むだけで楽しい。このサブタイが一番つぼった。
[良い点] ん~、つまりこの世界は『システムさん側か邪悪さん側が何らかの手法でゲームみたくアップデートをしてる(回数不明)→新機能が実装されてるバージョンが現在の世界』って感じなのかな? んで山形…
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