第三話:流星の導き
その夜は、星がとりわけ深く、明るく輝く満月の日だった。
ルナはいつものように夜空を見上げていたが、突然、何かに突き動かされるように、宝箱を取り出した。
六年間、触れることすらなかった夜光石を、そっと手のひらに載せる。ひんやりとした石の感触が、なぜか温かい。
「アストロ……」
ルナがその名を呟いた瞬間、夜光石が微かな、しかし確かな青白い光を放ち始めた。
その光は、まるでアストロの瞳の色を映したかのように優しかった。
光は手のひらから立ち昇り、窓の外の夜空へと伸びていく。それは、伝説が語る「流星の導き」そのものだった。
光が指し示す先。それは、アストロと二人で、星の秘密を分かち合った、村の裏の小さな丘の上だった。
ルナの心臓が激しく脈打った。恐怖はなかった。ただ、溢れ出すほどの「大好き」と、六年間待ち続けた希望だけがあった。
「私……行くわ」
ルナは宝箱をしっかりと抱きしめ、夜光石の導きに従い、村の灯りの外へと駆け出した。
その一歩は、ルナにとって、閉鎖的な村から心を開放する、勇気の第一歩だった。




