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未来から吹いた風 ~5人でひっくりかえす太平洋戦争~  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

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幕間: とある艦攻乗りの述懐

 俺の名前は、鈴木健一。


 海軍で艦攻乗りをやっている。

 操縦員じゃなくて、偵察員だけどな。

 敵が近寄ってこないか、目を皿のようにして見張る役目だ。


 3年前に入隊して、日々訓練に励んでいたら、とうとう戦争が起こっちまった。

 なんかアメリカが、ケンカを売ってきたんだってさ。

 列強でも随一の大国が、なんで日本をいじめるんだ?


 でも我が大日本帝国だって、世界の列強の一角なんだ。

 しかもイギリスやドイツと一緒に戦うんだから、そうそう負けはしないだろう。


 最初はグアムのアメリカ軍基地と、そこに駐留してる艦隊が相手だった。

 我が第1機動艦隊に比べれば、なんてことない相手だったんで、戦闘はわりとあっさり終わったな。

 それで艦隊の編成と休養をしながら、しばらくはのんびりできたんだ。


 しかしとうとう西太平洋にも、アメリカの大艦隊が押し寄せてきた。

 奴らはまずマーシャル諸島を占領して、このグアムに攻めてくるらしい。

 へっ、来るんなら来やがれってんだ。

 我が軍自慢の99式魚雷を、どてっ腹にぶち込んでやるぜ。


 そんな勇ましいことを言ってるうちに、本当にアメリカ艦隊が攻めてきやがった。

 そこで俺たちは空母翔鶴に乗って、迎撃に向かったんだ。

 そしたらあれよあれよという間に、出撃命令が下る。


「我々はこれから、敵艦隊の攻撃に発進する。敵は金持ちアメリカ軍だが、なに、そう心配することはない。普段の訓練どおりにやれば、必ず敵に打ち勝てるはずだ。それから万一、撃墜されても、簡単に諦めるんじゃないぞ。お前らの訓練には、莫大な金が掛かっとるんだ。なるべく助けに行くから、生き残る努力をしろ。それでは解散」

「「「はっ!」」」


 うわ~、とうとう発進だよ。

 緊張するな~。

 だけどうっかりしてドジを踏まないよう、がんばんなきゃ。


 そうこうするうちに、指揮官機に導かれた俺たちは、とうとう敵艦隊に遭遇する。

 どうやら敵の直掩機は、戦闘機隊が先に片付けてくれたらしい。

 よ~し、次は俺たちの出番だな。


 やがて指揮官機から攻撃目標の指示があり、機長が本機を攻撃コースに乗せた。

 するとどんどん、目標の戦艦が視界に入ってくる。

 まだまだ遠いから、今は辛抱だな。


 うおっ、敵の砲弾が向かってきやがった。

 だけどちょっとやそっとの攻撃で、この97艦攻はやられはしないぜ。

 なんてったって防弾ガラスや、防弾鋼板が仕込まれてるからな。


 俺も万が一に備え、見張りを怠らない。

 多分そろそろ、投弾距離だろうな。

 やがて下部に搭載されていた99式航空魚雷が投下され、機体が浮き上がる感覚を味わう。

 それと同時に機長(操縦員)が左に向きを変え、敵艦から距離を取ろうとする。


 当たるなよ~、当たるなよ~、敵の弾。

 よしっ、どうやら敵の攻撃圏は抜けたようだな。

 良かった~。


 するとやはり安心した機長から、声が掛かる。


「ふうっ、なんとか無事に切り抜けられたようだな。みんなもご苦労だった」

「いえ、機長こそお疲れさまです。やっぱり敵に突っこむのって、怖いっすね」

「はっ、こんなの昔に比べたら、屁でもねえよ。以前の魚雷は、もっと近くまで突っこまないと、絶対に当たらなかったからな」

「あ~、そうらしいっすね。ほんと、99式航空魚雷さまさまっす」


 そうなんだ。

 ひと昔前は、魚雷は目標の未来位置に向けて撃たなきゃ、絶対に当たらなかったんだ。

 しかも目標から、2千メートル以内には近づかないとならなかった。


 それが99式航空魚雷は、敵のスクリュー音を追ってくれるから、ある程度方向が合っていればいい。

 射程距離も3千メートル以内に緩和されてるから、被弾する可能性が激減してるんだぜ。

 なんてすばらしい兵器なんだろう。


 その開発者になら、俺の妹をくれてやってもいいと思うくらいだ。

 まあ実際には、妹なんかいないけどな。


 そうこうするうちに、目標の戦艦から、水柱が上がった。

 1、2、3本、全弾命中だ。


「敵戦艦に水柱3! 当機の攻撃も、当たった模様です」

「お~、やったな。ほんと、99式航空魚雷さまさまだ」

「そうっすね~」

「だけど油断するんじゃねえぞ。敵は世界一の金持ち国家だからな」

「「はいっ」」


 おいおい、これでも油断できねえのかよ。

 見た感じ、我が軍が一方的に勝ってると思うんだけどなぁ。

 あ、でも帰ってみたら、翔鶴が沈められてるって可能性もあるのか?


 ほんとに、なんでアメリカなんて国と、戦争になっちゃったかなぁ。

 だけど向こうからケンカを売ってきたんだから、反撃はしないとな。

 早く戦争、終わらないもんかね~。



 ちなみに翔鶴に帰り着いたら、全然無傷だった。

 なんか一発も攻撃を受けなかったんだって。

 日本の技術力、すげえなぁ。

あくまで現場の雰囲気を描きたかっただけなので、細かいところは気にしないでください。

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それゆけ、孫策クン!の改訂版を投稿中です。

それゆけ、孫策クン! 改

がっつり校正して、ストーリーも一部変更予定です。

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