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神竜に丸呑みされたオッサン、生きるために竜肉食べてたらリザードマンになってた  作者: 空松蓮司@3シリーズ書籍化
第三章 カムラ聖堂院

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第七十三話 最強の一矢

――騎士団本部最上階。


 堂長ヨスガは1人、玉座に寝転がっていた。


(あの刀……)


 ヨスガが思い浮かべるは神竜刀ヒグラシ。


(あれも神竜と、リゼラと同じ空気を纏っておったな……)


 神竜刀――

 ダンザと同じく、神竜を吸収し、進化した刀。


「それにしては性能はいまいち。リゼラが生み出したのならば、あの程度で終わるはずがない」


 あれはまだ発展途上だ。とヨスガは確信する。


(ワシの勘違いでなければ、あの刀からは()を感じた。あの刀は生きておる。生物と同じく、()()()()()()()()()()刀……か)


 ヨスガは旧友の顔を頭に浮かべ、微笑む。


「まったく、おぬしは常にワシの想像の上をゆくな……」



 ---


 

 突如万識の腕時計(ワイズウォッチ)に映し出された謎の文言。

 形態変化?

 なんで急に新しい効果が……いや、考えるのは後だ。


「ウィルス掃除ぃいいいいいっ!!!」


 法の番人(スイーパー)の雑巾がけアタック。空間を抉り取りながら法の番人(スイーパー)が突進してくる。

 あの雑巾に当たると俺の防御力でもどうなるかわからない。

 今の法の番人(スイーパー)はケツに噴射穴が空いていて、その穴から空気を射出することで加速し飛ぶことができる。空へ逃げたり、足場を崩しても無駄だ。地上で逃げ回るが最善。


 ゴン!!!!


 法の番人(スイーパー)は一度思い切り、地面を蹴った。その衝撃で、俺の足もとが地割れを起こす。


「しまっっった……!!」


 相手をただの知の無い獣として見ていた。ゆえに文字通り足元を掬われた。

 迷宮の掃除・修復を担当する存在。まったくの無能であるはずがなかった。

 地割れに呑まれ、空中に投げ出される俺。法の番人(スイーパー)は空を飛び、俺に迫る。

 俺は咄嗟に喰肉黒衣(スカルベール)のフードを下ろし、スカルリザードマンに変化。魔力の値を大幅に上昇させる。


ジェット噴射(そういうこと)できるのはお前だけじゃねぇ!)


――“竜炎(りゅうえん)ジェット”!!


 俺は下に顔を向け、口から炎のブレスを吐き上に飛ぶ。それから更に二度、ブレスを吐いて空中を移動し、法の番人(スイーパー)の背後に回る。

 ほぼ一瞬で俺は移動した。同じジェット噴射でも出力がまるで違うということだ。


「!?」

「さすがに驚いたか?」


 俺はフードを脱ぎ、元のリザードマンになる。

 この距離、約50メートル……一般的な弓の射程内だ。

 どうせ俺の手札に有効打はない。ならば、この新しい能力に頼ろう。


「形態変化!」


 俺が叫ぶと、神竜刀が黄金の弓に、鞘が黄金の矢に変わる。

 弾数は一発限りってことか。俺は空中で弓矢を構える。


「……一通り武術は習っていたからな。要領はわかる」


 人間時代と違い、矢を放ってもブレない体幹、風を読み切る眼がある。

 空中という不安定極まりない場所ではあるが、今のこの体ならば完璧な射撃ができるはず。


「神竜弓……頼むぞ!!」


 俺は弦を引き、手を放して矢を放つ。


「うおっ!?」


 矢を撃った瞬間、大気が弾け雷鳴の如き轟音が鳴り響いた。射撃の際の反動は予想以上だったが、なんとか堪えることはできた。

 放たれた矢は黄金の闘気、神竜のような形をした闘気を纏い、法の番人(スイーパー)に迫っていく。


「グオオオオオオッ!!!!」


 まるで竜の雄たけびのような轟音を上げ、矢は法の番人(スイーパー)にぶつかり、その胴体を喰い破る。あの闘気には実体があるようで、神竜の形をした闘気が法の番人(スイーパー)の体を喰い破った。


 ただ撃ち抜くだけじゃない。矢の当たった相手を喰らいつくし、無に帰す。これが神竜の矢の力……確殺の一撃!!


 対象を喰らいつくした矢は空へと舞い上がり消失する。気づくと弓は刀に戻り、鞘が空から降ってきた。

 俺は鞘をキャッチし、刀を収める。


「なんてパワーだ……!!」


 俺の防御力でも防ぎきれないであろう威力。あの法の番人(スイーパー)を容易く破壊しやがった……!

 法の番人(スイーパー)は消滅した。これで一安心――


「!?」


 ゴゴゴゴゴゴゴ!!! とこの部屋、いや、恐らくは迷宮全体が揺れ出した。


「嫌な予感……!」


 地面が、空が、この空間が壊れていく――

 法の番人(スイーパー)という迷宮の管理者を破壊したことで、なにか基盤のようなモノが崩れたのだろう。迷宮は全て崩れ、消滅し、そして……迷宮の中にいた挑戦者たちは迷宮の跡地、何もない平地に転移された。

※お知らせ※

渾身の一作『 間違いなくVtuber四天王は俺の高校にいる!』もよろしくお願いします。ガチ面白いので、ぜひ読んでください。そして思いっきり書籍化狙っているので、評価とブクマを何卒よろしくお願いします。

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