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66.ラブレター

今日、私の下駄箱にピンクの便箋が入っていた。

取り出して差出人を探したがどこにも書かれていなかった。

一緒に登校していたあいちゃんとあさやちゃんが私の持っていた便箋を見つけると声をあげた。


「え~!!何それ!?めぐちゃんどうしたのそれ」

「下駄箱に入ってた。なんだろう、コレ…。差出人の名前も書いてない…」

「あらら。それってもしかして…」

「もしかして…?」


私は首を傾げた。

いったい何のお手紙なのかさっぱり見当もつかないのだ。

不思議そうにしている私にあいちゃんが再び話し出した。


「それってさ…。ラブレター…だったりして」

「何それ。ラブレターって何?」

「え…?めぐちゃん知らないの??ラブレターだよ」

「知らないよ。そんなのもらったこと一度もないし。あいちゃんは分かるの?コレ」

「分かるよ。それってラブレターじゃない?中身読んでみたら?」

「…うん。教室で読んでみる」

「教室で読むのはダメだよ。こっそり読まないと」

「そうなんだ…。分かった。後で読んでみるね」


私は便箋を鞄に仕舞教室へ向かった。

朝のホームルームが終わり一時間目の授業が始まる前にトイレで手紙を読んでみることにした。個室へ入って鞄から取り出した手紙を読み始めた。


『鷹司めぐみさんへ 始めまして。お話したいことがあります。今日の放課後体育館裏のベンチ前まで来てくれませんか?待ってます』


誰か知らない人から呼び出しをされてしまった。

このことをあいちゃん達に知らせたほうがいいのかな、そう思っていたら予鈴が鳴ったので慌ててトイレから出た。


午前中の授業が終わりお昼休みになった。

友達と一緒に学食でお弁当を食べてお昼休みを過ごして午後からまた授業を受けた。

段々放課後が近づいてくるとなんだかザワザワした気持ちがし始めていた。

誰かわからない人から呼び出された理由が私には検討がつかない。


まぁ、女子高だから女の子から呼び出されたのだけはわかるけれど…。

もしかして集団リンチとかされちゃうのだろうか。

やっぱりあいちゃんには伝えたほうがいいのかもしれない。

何かあってからでは遅いんだから。


放課後、あいちゃんにそれとなく手紙の内容を伝えた。

するとあいちゃんが一緒に付いていくと言い出した。

もし虐めとかだったら止めに入るから、そういう理由だ。

心強い、私の恋人はとても勇敢で頼れる存在だと改めて実感した。


手紙に書かれている場所に向かうと一人の女の子がベンチの前で立っていた。

この人が私を呼び出したのだろうか。

私はベンチの傍に向かった。


待っていた子が振り返り私の事を見つめていた。

少しもじもじしているように見える。

暫く沈黙が続いていたが、女の子から話を始めた。


「は、始めまして…。手紙呼んでくれてありがとう…」

「え、あ、はい。それで私にお話しがあるとか…?」

「えっと…はい。あ、あのっ。私は4組の久利生凪咲です…。えーっと……あ、あの、鷹司さんに伝えたいことが、あります…」


なんだか歯切れの悪い話し方だった。

緊張しているのか、少し顔が赤くなっていた。

あいちゃんが傍で見ているから安心してこの人の話を聞くことが出来る。

さっさと話を済ませたい、そう思った私は久利生さんに話の続きを訊ねた。


「えっと…。私去年の文化祭で鷹司さんを見かけたときから気になってました。それでやっと自分の気持ちに気が付いたんです。えーっと…わ、私、鷹司さんの事がす、好き…になってしまいました…」


ん…?

これってもしかして告白されているってこと…?

あいちゃん達が言っていたラブレターだったってこと…?

一度も話もしたことがない女の子から、私は人生二度目の告白された、ということだと理解した。

目の前で真っ赤に顔を染めて下を向いている久利生さんにお答えしなければ……。


「有難うございます。でも、久利生さんのお気持ちに答えることができません。ごめんなさい」


私は久利生さんに頭を下げた。

すると久利生さんは慌てて両手を降り出し声を出した。


「あ、あのっ。頭上げてください!もしよかったら理由、教えてもらえますか?やっぱり女性だからですか?」


私は頭を上げて彼女の目を合わせて凛とした態度で答えた。


「違います。私には恋人がいます。それが理由です」

「恋人…。もしかして他の学校の男子、とかですか?」

「いえ、違いますよ。詳しくは言えませんが…」

「そ、そうですよね…。わ、分かりました。お答えくださって、有難うございました。し、失礼します!」


久利生さんは頭を下げて小走りにその場から離れていった。

一人になった私の傍に隠れていたあいちゃんがそばに寄ってきた。


「何の話だったの?」

「告白された。あの子に」

「やっぱり…。めぐちゃん可愛いし、そら好きになっちゃうよね」

「可愛くないと思うんだけど…私って世間じゃネクラ?とかいうキャラクターなんだと思うんだけどな…」

「そんなことないよ。可愛いよ、凄く魅力的だよ。でもそっか~あの子めぐちゃんの事好きなんだ~。んで答えたの?」

「うん。恋人がいるから御免って断ったよ」

「そっか~。それはキツイね…。私だったら当分凹むかも」

「私、悪いことしちゃった…?」

「全然。本当の事だから仕方ないよ。私、めぐちゃんの彼女でよかった~。いつかこういう日が来るかもって思ってたもん」

「そんなのと考えてたの?私に言い寄ってくる人なんてあいちゃんくらいだと思ってたよ、私は」

「めぐちゃんは本当に自分の事を卑下し過ぎだよね。もっと自信持ったらいいのに…」

「そういう学生生活送ったことないから分からないの。人生二度目の告白されるとは思わなかった」


私とあいちゃんはベンチに座って話をすることにした。

恋人繋ぎをして話のは結構好きだ。


「最近寒さが強くなってきたね。あいちゃん寒くない?」

「寒いかも…めぐちゃん温めて~」


温めてと言われても私の上着を貸せばいいのか、それともカイロを渡してあげればいいのだろうか。

おどおどしている私を見てあいちゃんがいきなり抱きついてきた。

お互い厚着をしているので温めるという機能は発揮していない。


「こうしてほしかったの。こうしてると温かくなるでしょ」

「そうなの?でも二人とも上着着てるから。温かくならないんじゃ…?」

「物理的な温かさじゃくて、精神的な温かさがいいの。こうしてるとめぐちゃんを感じる」


私を感じる…。

抱き合っていることがそういう作用につながるということなのだろうか。

外で誰もいない場所で女の子同士が抱き合っている風景を改めて想像すると恥ずかしさがどんどん増してきてしいまった。


「あ、あいちゃん。ちょっと恥ずかしいんだけど…」

「大丈夫。誰もいないし。今だったらキスも出来ちゃうよ?」

「そ、それはちょっと…」

「ほっぺにキスしてもいい?」

「…それなら、いいけど…」


するとあいちゃんが少し身体を離し私の頬にキスをした。

その後あいちゃんは自分の頬を私に向けてアピールするようにキスをおねだりした。

私は黙ったまま突き出されたあいちゃんの頬にキスをした。


「今日はこれくらい、ね。最近大人のキスしてないから、今度しよ?」

「う、うん…。頑張ってみる…」

「ふふふっ。めぐちゃん可愛い」


恥ずかしくてもじもじしている私にあいちゃんそういって頭を軽くなでた。

暫く二人抱き合って過ごしてから教室へ戻った。


すると教室に一人で残っているさやちゃんが私の席に座って本を読んでいた。


「二人とも、おかえり。どこに行っていたの?」

「え、えーっと…。ちょっと散歩に行ってたの。ね、あいちゃん」

「うん。偶には校内を散歩するのもいいかと思って。学校デートってやつ」


私たちの話を聞いたさやちゃんは本を閉じて鞄に仕舞った。

椅子から立ち上がると私の目の前に来て話し始めた。


「そういえば、今朝の手紙はどうしたの?」

「あ、あ~。あれね。あれは何でもなかったよ。誰かの悪戯だったかも」

「大丈夫なの、それ」

「大丈夫だよ。ね、あいちゃん」


私はあいちゃんに助け舟を出した。

さやちゃんの洞察力はとても鋭く感もいいからこれ以上私がとぼけることは出来ないと判断したのだ。


「まぁ、何でもいいじゃん。めぐちゃんの問題なんだから。私たちが口出すのはどうかと思うけど」

「…それもそうね。危ない話じゃないのなら私には関係のないことだわ。めぐみさん、怖がらせてごめんなさい。心配だったから気になってしまったの…」


さやちゃんはそういって頭を下げた。

私はさやちゃんに頭を上げるように伝えた。


「心配してくれてありがとう。もうこの話はここまでにしよ。暗くならないうちに帰ろう」

「そうだね。沙也加、帰るよ~」

「そうね。帰りましょう」


三人で校舎を出て駅に向かった。

道中私たちを待っていたさやちゃんは私と話足りないのか、色んな話を私にしてくれた。

それを横目で見ていたあいちゃんも負けじと話題を振っていた。

私は二人に挟まれた状態でお互いの話に相槌を打つことくらいしか出来なかった。


その日の夜。あいちゃんからメールが届いた。

放課後の事で改めて私の事が好きになったと。

もっともっと一緒に過ごしたい、そういう内容だった。

私もあいちゃんに同じことをメールで伝えた。


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