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63.元旦、新年会の計画、姉妹の時間

初詣から自宅に帰ってすぐに着替えをした。

凄く楽しかったからなのか、どっと疲れが襲ってきてしまった。


リビングでは兄様達がお酒やおつまみを食べながらテレビを見ていたが、私は自室へ向かうことにした。

いつでも眠れるようにお風呂と歯磨きを済ませ髪の毛をドライヤーで乾かしていると、スマホから着信音が鳴り出した。


画面を見るとあいちゃんからだった。


「もしもし、あいちゃん。どうしたの?」

「もしもし、ごめんね。こんな時間に電話しちゃって。ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

「うん。何?」

「めぐちゃんってお正月の予定はあるのかな?」

「ん~っと。元旦は家で過ごして、二日目に親戚で集まって新年会があるくらいかな」

「そっか~。忙しそうだね。もしよかったら新年会やろって誘うつもりだったんだけど。無理そうかな…」

「いつやるつもりだったの?」

「まだ具体的に決めてないけど。私も親戚周りが3日にあるし。4,5日当たりって考えてたところ」

「4,5日は何もないから私参加出来ると思うよ。誰か誘う人いるの?」

「ん~…実は、めぐちゃんと二人でやりたいなって……」


ああ、そういうことなのね。

私と二人きりで新年会をしたかったというわけね。

そういえばクリスマスとか初詣とかここ最近のイベントごとで二人きりになってなかったからか…。


「いいよ。二人でやろっか、新年会」

「やったぁ~!!めぐちゃんと新年会だ~」

「あはは。あいちゃん、夜中だよ。そんなに騒いで大丈夫?」

「あ、しまった…。えへへ。それじゃ、どこでやろっか」

「私の家でもいいよ。4日だったら私しかいないし。5日は兄様達だけだし。あいちゃんの都合は?」

「私もどっちでも大丈夫。だったら4日にしようか」

「わかった。どうせなら泊っていく?」

「いいの?」

「いいよ。久々にお風呂一緒に入ろっか」

「わ~い!やった~。すごく楽しみっ」

「うん。それじゃ、そろそろ寝るね」

「あ、ごめんね。お休み~」

「お休み~」


スマホをテーブルに置いてドライヤーで髪の毛を乾かした。

時刻は2時半を過ぎていて流石に眠気が襲い始めていた。

私はベッドに横になると布団をかぶり目を閉じた。


次の日、目を覚まして時計を見ると午後3時過ぎになっていた。

私はベッドから起き上がり洗面所で顔を洗って部屋着に着替えるとリビングに向かった。


「あれ?誰もいない…?」


リビングには誰もいない様子だった。

喉が渇いていたのでコップに水を入れて一口飲んだ。

家族の居場所が気になっていくつかの部屋を見てみたが居る様子はなかった。

仕方がないのでテレビでも見ようとリモコンのボタンを押してソファに座ってテレビを見ることにした。

暫くすると橘さんがリビングへやってきた。

夕飯の支度をするのだろう。

橘さんに他の家族の行方を訊ねることにした。


「旦那様と奥様は会社の新年会でご出席されいます。夜は遅くなるとの事でした。孝之様はご学友の方との新年会へ、凛久様は冬期講習に参加されています」

「そうなんですか。では今日は私と橘さんだけですね」

「そうなります。寂しいですか?」

「大丈夫です。毎年の事でしたね。忘れてました」

「はい。例年と違うことといえば、お嬢様がご友人との初詣にお出かけされたことですね」

「確かにそうですね。先ほどまで寝てました」

「お疲れだったのでしょう。皆様起き上がるまで寝かせてあげてほしいと言ってお出かけされました」

「そうだったんですね。橘さん、私もお手伝いします」

「有難うございます。ではお嬢様には野菜を洗って切ってもらってもいいでしょうか」

「分かりました」


橘さんの指示で野菜を流水で洗った後水を切ってから野菜を切った。

橘さんとこうして夕飯の支度をするのは久しぶりのことだった。

いつもはお一人で手際よく準備している姿を見ているだけだったが、いつからか橘さんから声を掛けてくれるようになった。

それから手が空いている時は橘さんの家事の手伝いをするようになった。


夕飯の下準備が終わると橘さんがお茶に誘ってくれた。お菓子を用意してテーブルに並べて紅茶をカップに注いだ。


「どうぞ。今日はダージリンです」

「頂きます。おいしいです」

「ふふふ。めぐみお嬢様はお紅茶お好きですものね。私が進めたからなのでしょうかね」

「橘さん、二人きりの時はめぐみって呼んでくださいってお願いしたじゃないですか。今日は私以外誰もいませんよ」

「あらら。ごめんなさい。めぐみ。私のかわいいめぐみ。大好きよ」

「私も璃子お姉ちゃん、大好き」


橘さんと仲良くなっていくうちに二人だけの秘密があった。

凛としていて美人でスラっとした体系の橘さんをいつしかお姉ちゃんと呼ぶようになったのだ。

橘さんも私の事を妹として慕っていたらしく、二人の利害が一致していた為二人きりの時は姉妹の関係になることにした。

久々の姉妹ごっこが出来ると思うととても嬉しくなった。


「璃子お姉ちゃんは好きな人いないの?」

「え…?突然、どうしちゃったの?」


橘さんがびっくりした表情でカップを持ったまま私の事を見つめていた。

橘さんのような美人に男性が惹かれないわけがない。

橘さんはまだ24歳で若い。

いつか結婚してこの家を出ていくことになるだろう。

しかし今まで彼氏がいるとかそんな話を聞いたことがなかった。

だから気になっていたのだ。


「ちょっと気になったから。お姉ちゃん凄く美人だから、恋人いてもおかしくないかなって」

「…いないわ。今はそんな気分じゃないもの」

「どうして…?」

「……高校生の時に好きな人がいたの。でも告白することができなかった。高校3年生の夏が終わるころだったかしら。私が密かに思いを寄せていた人が交通事故で無くなってしまって…。それ以来、誰も好きになれなくなってしまったの」

「ご、ごめん…。そんなことがあっただなんて……」

「昔の話よ。それに今はここで働いているから、そんな暇ないもの」

「でも、お姉ちゃんいつまでもここで働くわけにはいかないでしょ?」

「私、辞めるつもりないけど」

「いつかさ、お姉ちゃんだって結婚とかするでしょ?そうなるとここにいることもなくなっちゃう。私、お姉ちゃんと離れたくない。我儘だよね」

「私はめぐみのお姉さんとしてここにずっといたいって思ってるわ。だから心配しなくていいのよ」

「うん。今日一緒に寝てもいい?」

「甘えんぼさんね。今日だけよ」

「有難う、お姉ちゃん」


橘さんとの会話が終わりカップとお菓子皿を片づけると、二人でソファに座ってテレビを観た。

ずっと新年の特番ばかりやっていて飽きていた私に橘さんがすぐ気が付くと私の肩に手を置いた。


「つまらない?」

「ちょっと飽きたかな。まだご飯前だよね。暇だな…」

「そうね。そういえば最近めぐみって恋人出来たの?」

「え…?な、何それ」

「え?違うの?あのよく家に来る女の子。めぐみの恋人だと思ったんだけど。違った?」


何故バレている。

橘さんとあいちゃんってあんまり顔合わせしていなかったはず。

女の子が恋人だと分かるってどういうことなんだ?

とにかくごまかしたほうがよさそうだよね。

私は橘さんの顔を見て話し出した。


「お友達だよ。女の子だよ?恋人っておかしいじゃない」

「そうかしら?私も女の子とお付き合いしたことあるけど」

「え!?そうなの!!」

「うん。私中高一貫の女子学校だったから」


え?

じゃ、さっき高校の時の想い人って…女の子ってこと??

頭の中が混乱してしまいうまく言葉に出来ず沈黙していると橘さんが私の手を握りしめて話し出した。


「高校生の想い人は女の子よ。私レズビアンだから」

「……そうだったの。びっくりだわ」

「ふふふ。だから結婚はしないのよ。めぐみのお母さんもそのこと知ってるわよ」

「そうなの。知らなかった。でも今は同性結婚もありじゃない?」

「まぁ、そうだけど。でも今はめぐみにゾッコン、よ」


そういって私の頬に軽くキスをしてきた。

こんな橘さん初めて見た私は動揺してしまい目の前のテレビ番組の内容が全く入ってこなかった。

橘さんはそれから何も言わずソファから立ち上がり夕食の準備をし始めた。

私もお皿や箸をテーブルに並べて準備のお手伝いをした。

いつも通りに戻った橘さんは私にお手伝いの指示をしてくれていた。


「それじゃ、頂きます」

「頂きます」


二人きりの夕食は鶏のから揚げとポテトサラダ、ご飯とお味噌汁だった。

食べ終わると食器を食洗器に置いて先にお風呂を済ませた。

歯磨きを済ませて自室で髪の毛をドライヤーで乾かしていると橘さんが部屋にやってきた。


「髪、やってあげるわ」

「有難う。お姉ちゃん」


橘さんに髪をやってもらうのはすごく好きだった。

綺麗に整えてくれるし、可愛く結ってくれるのでいつもお願いしている。

作業を終えた橘さんはお風呂に行く言って部屋を出て行った。


それから暫く時間が経過し夜の11時を過ぎたところで再び橘さんが私の部屋にやってきた。

私を迎えに来てくれたのだ。

私はベッドから自分の枕を抱きかかえると、橘さんと手を繋いで橘さんの部屋に向かった。


「どうぞ。あがって」

「お邪魔します。久々だ…」


部屋に入ると机と椅子、セミダブルベッドと箪笥と本棚、あと衣装ケースが3つ置いてあった。橘さんがベッドに入ると手招きして私をベッドの中へ入れてくれた。


「さっきの話だけど。本当にお友達なの?」

「え…?う、うん。そうだよ」

「お友達とチュウとかするんだ。めぐみって」

「え!なに、それ??」

「偶々見ちゃったから。隠すことないじゃない」

「……他の人に言わないでね。私も女の子とそうなるとか想像してなかったから。ま、男の子とそういう関係になることも想像してなかったけど」

「秘密は守るわ。でも恋愛するつもりはなかったの?」

「うん。どうせ私にも兄様達のように許嫁がいると思うから。結婚もその人とするから考えられなかったの」

「そう。でも良かったじゃない。好きな人が出来て。今幸せでしょ?最近のめぐみって凄く可愛くて、キラキラしてるわよ」

「うん。幸せ、だよ。私そんな変わったの?」

「変わったわ。中学より表情が豊かになった。私凄く安心したのよ。めぐみが幸せになってくれて」

「うん。璃子お姉ちゃんの事も好きだからね。今日はびっくりしたけど」

「あははは。始めて言ったからね。これからはちょくちょくお話ししようか。結構楽しいわ」

「うん。お話ししたい。お姉ちゃん、そろそろ眠たくなっちゃった…私」

「うん。それじゃ、寝ましょ。おやすみ、めぐみ」

「おやすみなさい…」


私は橘さんに抱きついた。

お風呂上りのいい匂いを嗅ぎながら橘さんの体温でぬくぬくになり、目を閉じた。

今日は凄い事が判明したことに驚いたが、久しぶりの姉妹ごっこが楽しくていい一日だった。

でも皆がいるとき橘さんは使用人として振る舞うのが心なしか寂しい気持ちになってしまった。


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