52.学園祭①
来月の中旬に学園祭があるとホームルームの時先生から話があった。
この女子高校は二日に分けて所謂文化祭行事があるのだ。
各学年各クラスから出し物をすることになっていて、各部活動でも出し物参加が可能との事だった。
私は部活に入っていないからクラスの出し物に参加することになっている。
午後のホームルームで学園祭の出し物を話し合う時間が設けられた。
体育祭実行委員をやった私たちの仕事ぶりを先生が高く評価してくれたお陰で、学級委員になってしまった私と愛子ちゃんが学級会を仕切ることになった。
司会は愛子ちゃんにお願いしようと声を掛けたら、愛子ちゃんから司会をやると申し出てくれた。
愛子ちゃん…有難うね。
「それじゃ、ウチのクラスの出し物を決めまーす。何かやりたいことがある人は居ませんか?」
愛子ちゃんがクラスの皆に問いかけたが、誰も発言しようとはしなかった。
このままでは終わらないぞ、と先生からの横やりが入るとクラスの生徒が少しざわついた。
「意見が出ないと決まらないから、私が提案するもので多数決取っていいかな?」
愛子ちゃんの提案にクラスのみんなが賛同するという意味の拍手が鳴り響いた。
愛子ちゃんはメモ用紙に何か書くと、メモを私に渡した。
「めぐみさん、これ板書してくれる?」
「うん。分かった」
私はメモに書かれた箇条書きに書かれた5つの言葉を板書した。
私が書き終わると愛子ちゃんが再びクラスのみんなに問いかけた。
「この中から選んで。やりたいのがあったら挙手してください」
板書に書かれた言葉はそれぞれ『写真館』『カフェ』『お化け屋敷』『クレープ屋』『たこ焼き』の5つだった。
愛子ちゃんが順番に皆に訊ねていき結果決まったのは『カフェ』だった。
「カフェが一番多かったから決定でいいですか?」
愛子ちゃんが確認の為最終決定を問いかけると一人の生徒が手を上げた。
愛子ちゃんが手を挙げた人の名前を言うとその人は立ち上がった。
「カフェってだけじゃ面白くないから、何か要素を入れたほうがいいんじゃない?」
「要素かぁ~。貴女の意見はあるの?」
「…例えば、コスプレカフェ…とか?」
「コスプレか~。皆はどう思う?コスプレやりたいって人は手を上げて」
愛子ちゃんの問いかけに多数の女子が手を上げた。
意外にもコスプレをやりたいと思う人がいたことに私は驚いた。
愛子ちゃんは先生にコスプレは許可されるのか訊ねると先生はこういった。
「まぁ、あまり派手な物出なければいいと思うけど。あと肌出しすぎとかはダメ。学生らしいのであれば許可します。事前に先生にどういう服を着るのか確認させてもらいます」
「分かりました。ではそういうルールに従ってコスプレカフェに決定します。次に学園祭実行委員を決めたいんだけど、やってくれる人いませんか?」
学園祭実行委員はこれまた大変そうな役目だなと思った。
誰もやってくれる人がいないと思っていたら二人の手が上がった。
一人は名前だけ知っていた『二階堂 歩』さん。もう一人は藤原律さんだった。
他にやりたい人がいなかった為、この二人が学園祭実行委員に決定した。
学級会はこれで終了した。
皆は其々部活に行く人、帰る人で教室がごった返した。
私と愛子ちゃんは先ほど委員に決まった二人に今後のスケジュールを説明していた。
私は愛子ちゃんの隣で黙って説明を聞いていた。
「今後の事は二人に任せるね。何かあったら言って。手伝うから。宜しくね」
「うん。二階堂さん、宜しくね」
「こちらこ、よろしく。藤原さん」
二人はお互い挨拶をした後握手を交わした。
そのあと私とあいちゃんとさやちゃんは校門を後にし駅に向かった。
歩きながらあいちゃんは先ほど決まった出し物の話をし始めた。
「コスプレって恥ずかしいなぁ~。めぐちゃんってコスプレ大丈夫なの?」
「私も恥ずかしいよ。一度もやったことない。どんな衣装になるんだろう。不安でしかないよ」
「そうだよねぇ。過激なのは禁止だから、変な衣装にはならないと思うけどねぇ」
私とあいちゃんの会話にさやちゃんが割って入ってきた。
「そっちはコスプレするのね。見に行かなきゃ」
「げ…。来なくていいから。それより沙也加のクラスって何するか決まったの?」
あいちゃんのあからさまな拒否発言にも動じないさやちゃんは自分のクラスの出し物を話した。
「私のクラスの出し物は、お祭りの屋台よ」
「何それ…」
「色んな屋台をやるの。射的とか、輪投げとか」
「へぇ~。それ大変そう…」
「楽しそうだと思うけれど。二人とも是非来て」
さやちゃんがそういうと私は首を縦に振った。
あいちゃんも行くと言っていた。
「当日は法被を着るそうよ。皆で手作りするの。めぐみさんのクラスの衣装はどうするの?」
さやちゃんの質問に私はどう答えたらいいのか。
今日はそこまで話し合っていなかったからな。
私が悩んでいるとあいちゃんが私の代わりに話をしてくれた。
「今日はまだ決まってないんだよね。でも多分作ると思う。まずは衣装を決めてからだけど」
「そうなの。大変そうね。コスプレするだけ?」
「あ~、えっとね、コスプレ喫茶だよ。ね、あいちゃん」
「そうそう。喫茶店」
「楽しそうな喫茶店ね。絶対行かなきゃ」
さやちゃんはそういって笑みを浮かべていた。
あいちゃんは私のコスプレの姿を絶対に写真を取るんだと興奮気味で言っていた。
私はそんな二人の間に挟まれとても恥ずかしくなっていた。
明日から学園祭の準備も始まる。
私に出来ることがあれば手伝いたい。
そう思いながら家路を急いだ。




