22.兄とのふれ合い
ある休みの日のこと。
リビングに向かうと孝之兄様がお一人でテレビを見ていた。
私はのどを潤そうとコップに冷たいお茶を注いで一口飲んだ。
自室へ戻ろうとすると突然兄様が私に声をかけてきた。
「めぐみさん。最近表情が豊かになったね。何かいいことでもあったのかい?」
「何もありませんが」
「そうなのかい?ああ、そうだ。明日も休みだったよね」
「ええ。そうです」
「じゃぁ、明日僕とデートしてくれないかい?」
「…デート…ですか」
「うん!嫌なのかい?」
「嫌では…」
「じゃぁ、明日僕とデートしよう」
突然どうなされた、兄様。
何か食あたりでもあったのか。
それとも大学で嫌なことがあって憂さ晴らしに妹を揶揄おうとなさっておられるのか。
などと、色々考えてみたが当然兄様のお考えを理解することはできなかった。
そしてデート当日を迎えた。
孝之兄様は楽しそうに車を取りに家を出た。
私は玄関を出て兄様が車のドアを開けてくれている所へ向かった。
行き先が分からないまま車はどんどん進んでいく。
周りの景色を目にしていると運転されていた兄様が話しかけてきた。
「さぁ、どこへ行こうか」
「え?決めていらっしゃらないのですか?」
「うん。決めてない。めぐみさんはどこか行きたいところはあるかい?」
「ありません」
「そうか。それじゃ、水族館へ行こう」
「水族館…ですか」
「うん。水族館」
兄様の顔を見ると楽しそうに笑っていた。凄くご機嫌がいいのが気がかりになってしまう。
何か私に話したいことがあるのだろうか。
それとも他に何か企んでいるのだろうか。
そもそも私と水族館へ行こうだなんて兄様らしくない。
そう考えているうちに水族館に着いた。車から降りると兄様は私に手を差し出してきた。
「めぐみさん。僕がエスコートしよう。さ、手を出して」
「……恥ずかしいです」
「大丈夫。誰も見やしない」
恐る恐る手を差し出すと兄様は私の手をそっと握りしめた。
兄妹で手を繋いで外を歩く行為、これは何かの罰ゲームなのか?
他の人たちから見たら私たちの関係ってどう思われるんだろう。
そんなことを考えると余計恥ずかしくなってしまい、顔が熱くなってしまった。
今日の兄様は絶対変だ。
二人きりで水族館へ行くなんてことは、兄様のお友達とか恋人としてほしい。
水族館の入り口に着くと、兄様は笑顔で微笑んでから館内へと歩き出した。




