14.あれから数週間
彼女のお家にお泊りをしてから数週間が経過した。
私と彼女はある取り決めをしている。
それは学校では普通のお友達という事にしておくということだ。
小鳥遊恵梨香、瀬戸愛子、前田結衣の三人組と同じように接する事にしていた。
私が教室に入ると三人組が私の傍へ近寄ってくる。
お互い挨拶を交わし、私は自分の席に座る。
すると彼女たちは私の席の近くで会話をし始める。
最初私は聞いてるだけだったが、今では話の中に私も交えるようになった。
大分こういう光景に慣れてきたと思いたいが、実は全く慣れていない。
高校生になる前までは友達と話すことはなくずっと一人で過ごしてきたから、会話するという行為に違和感があるのだ。
人の話を聞いているだけだったらまだ耐えられるのだが、人と話すことに対しては正直苦痛であった。
家でも家族と会話しない私にはコミュニケーションが欠如していると思う。
でも今更話したくないとか言って彼女たちを拒絶したら大事になりそうだと思うから耐え忍ぶしかないと思っていた。
放課後になり三人と私は一緒に教室を出る。
この行動は友達になってからずっと続いている行動パターンである。
下駄箱までの道中三人は私を交えて会話をしている。
私はなるべく主役にならないように相槌をしながら時々作り笑いを混ぜながら三人のペースに合わせていた。
下駄箱に着くと私と一緒に駅に帰る為にあいちゃんは待ってくれていた。
「お待たせ」
「さっき着たとこだよ。行こっか」
「うん。それでは、小鳥遊さん、瀬戸さん、前田さん、また明日」
私は三人に別れを告げてあいちゃんと一緒に校門を出た。
ある程度学校から離れるとあいちゃんはそっと私の手を握っている。
彼女の顔に目線をやると彼女も私を見つめていた。
彼女がニコっと笑うと私も笑顔をお返しした。
駅までお互いあまり会話をしない。
私が話下手だということを理解してくれているのか、それともあえて黙ったまま歩いているのか、私にはその本心は分からない。
会話がなくても彼女の手から伝わる温もりと偶に彼女の表情を見るだけで、彼女はとても満足していることが分かった。
「駅、着いちゃった…ね」
「うん。また明日、だね」
「うん。今度さ、またデートしない?」
「いいよ。どこ行きたいの?」
「前に言ってた洋服、見に行かない?」
「分かった。今度の土曜日行こうか?」
「うん!楽しみが出来ちゃった」
あいちゃんはそう言って私に笑顔を向けた。
私は頷き彼女に笑顔のお返しをした。
久々のデートの約束。
お泊りをしてから今まで何も無かったのは、テストだったりお互いの都合がつかなかった。
やっとデート出来ると嬉しそうな彼女。
私も嬉しいという感情を味わってみたい。
そう思いながら彼女と別れた。
また明日、学校で……。




