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ナーアヴェン~ある雨雲の物語~  作者: シャムローズ
第四章:グレーイの帰還
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~雲脚~

♪ BGM : BLEACH- Mysterious

 公園の真ん中で、笑い声と叫び声がはじけていた。ネフェリアの中心部にあるその公園で、小さい雲たちが騒いでいた。薄暮(はくぼ)が迫り、別れる時間が近づいていた。


 そのエルムたちの中に、一際かしましいのがいた。若く活発なエルムで、名をウルナーという。他の仲間と同じように成長し、少し大人びた姿になっていた。


 グレーイの一件以来、ウルナーの両親は、日没後に帰宅することを禁じていた。ウルナーはあの出来事について、くよくよと考えるのをやめた。そうするうちに、時々は思い出すことがあっても、時が思い出も巻き込んで流れていった。疑念と悲しみの数日間を過ごした後、他の子供たちと同じように、毎日を楽しむ日々に戻っていった。


 家に向かって歩いていると、風がスーッと体を撫でていくのを感じた。ブルッと少し身震いし、歩調を速めた。まだ半分しか来ていないところで、背後から足音が聞こえた気がした。


 そこで思い切って振り返ると、なんと、そこには、地平線の他に何もなかった。気味が悪い…と少し速足で歩き始めたその時、


「ウルナー!」


 と、誰かに名前を呼ばれた。しかし、声だけで周囲には誰もいなかった。どこかの家から聞こえたのか?ウルナーは怖くなり、家と家の間の、狭い横道を通って帰ることにした。その時、誰かに急に肩を掴まれた。恐怖のあまり叫び声を上げ、パニックになりそのまま地面に倒れこんだ。


「怖がらないで!」と雌の声が言った。「傷つけるつもりはないから!」


 ウルナーは呆然とした。何もないところから声がする!精霊が話しかけてきているのだろうか?身震いしながら深呼吸をして立ち上がり、その神秘的な声に向かって、勇敢にもこう尋ねた。


「あなたは精霊なの?」


「いいえ。」と、しばらく考え込んだような間があってから、声が答えた。「アタシはグレーイの友達よ。」


 その瞬間、ウルナーの記憶が一気に蘇った。灰色の雲はまだ生きていて、もしこの声の言うことが本当なら、グレーイも近くにいるはずだ。


「グレーイ?」混乱しながら繰り返した。


「覚えてない?」


「ううん…でも、もう一年前の出来事だし、最後に見た時は、おっきなフクロウの背中に乗って、遠くに行っちゃうところで…まさか、またグレーイの名前を聞くことになるなんて、思ってなかったから…」


 声は黙っていた…まだそこにいるのだろうか?ウルナーにも確信が持てなかった。その声からは一切のジンを感じないのだ。だから思い切って、手を伸ばしてみた…すると、やった!指先に何か柔らかくて不思議な感触がして、それに驚いて飛び上がってしまった。


「何すんのよ!」とイライラしたトーンで声が話した。「アタシに触らないで!聞いて。アタシ、ここにお喋りしにきたわけじゃないの。バーダルがどこにいるか知らない?」


「バーダルおじさん?えっと…えっと…ちょっと待って!グレーイもそこにいるの!?もしいるなら会いたい!それに第一うち、あなたが誰か知らないのだけど!」


「お願い、アタシを信じて。」と見えない誰かが言った。「あんたがグレーイに会いに行くのは危険すぎる…」


「いや!」ウルナーは断固とした口調で言った。「グレーイに会わせてくれないと、何にも教えてあげない!」


 ウルナーは頑固なところがあった。そのお願いに従う以外の選択肢はなさそうだ。どちらにせよ、下まで連れて行くのはこの『声』にとっては朝飯前だった。なぜなら、この声の持ち主はあの白の貴婦人、パリなのだから。


 ウルナーの腕のところを掴み、抱えて飛び立った。


 しばらくすると町の外に出た。ジンを隠しているお陰で、誰にも気づかれなかった。町の外に出た途端にパリが姿を現した。エルムの姿だった。それを見てウルナーは身震いした。美しさで目がくらむ思いだった。


「はぁ、みんな同じ反応しかしないんだから…」パリはため息をついた。


「わぁ~あなたってとってもキレイ!!!」


 パリは目を見開いた。こんな風に、率直に褒められるとは思ってもなかったのだ。何も答えずに振り向き、付いてきて、とだけ言った。ウルナーには見えなかったが、パリの顔には笑みが零れていた。


 ウルナーはまだ、この不思議な生き物のことを訝しく思っていたが、グレーイにもう一度会いたいという、好奇心の気持ちには勝てなかった。


挿絵(By みてみん)

一年後、ウルナーは友である雨雲に再会する為に飛び立った!

グレーイは初めて、あの出来事の続きを知ることになる…

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― 新着の感想 ―
ウルナーが子供らしい日々を過ごせていたなら、それが何よりのことですね。グレーイの冒険は刺激的ですが、子供を巻き込んでほしくない気持ちもあります。どんな悲劇であれ、子供と無縁であってはくれないかと、近年…
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