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第4章ー1 満州の開発(黒龍江省油田の発見)

第4章の開始です。

 満州国のトップの蒋介石には、夢があった。

 それは、いずれは自分が本来の中華民国の領土全てを統一し、そのトップとして君臨することである。

 だが、1930年代前半、いわゆる満州国事変勃発に伴う満州国(本来からいうと、この世界の蒋介石は中華民国正統政府のトップなので、呼称としてはおかしいのですが、小説上の呼称ということで、ご容赦ください。現代における中華民国と台湾との関係のようなものと考え、それに準じて考えてください。)建国時点では、それは遥かな道のりだった。


「日米両政府は、まずは国力を蓄え、その上で南征をし、中華を統一しろか。納得できる話ではあるが」

 この当時の満州国のトップ、蒋介石は、日米両国政府の意向に逆らえない自分に内心で自嘲しながら、続けて思っている状況だった。

「満州は、本当に豊かな土地なのだろうか。満州が豊かな土地でなければ、それは夢に過ぎない」


 だが、本当に満州は、豊饒極まりない大地だったのである。

 蒋介石は、第二次世界大戦後に、こう述懐した。

「満州を手に入れられたのは、本当に幸運であり、ここ以外の土地で、同じ面積の土地を私が手に入れられたとしても、私の力では、これほどの国力は貯えられなかった」


 満州の国力を蓄える方策として、蒋介石は幾つかの手段を考えた。


 まず1つ目が、満州国内の農業生産力の向上である。

 何だかんだ言っても、農業は国の第一の基盤である。

 日米韓の農業技術や移民を活用して、農業生産力の向上を図ることが考えられた。


 2つ目が、鉱山等、満州国内の資源開発である。

 満州国内に、未知の資源が埋蔵されており、それが発見され、利用されるようになれば。

 それは、満州国の国力増大につながることになると考えられた。


 3つ目が、国内の商工業の振興である。

 そもそも、満州は、その土地の関係から、ソ連の沿海州や、モンゴル、中国本土、朝鮮半島の十字路ともいえる要地と言えた。

 この位置を活用して、商工業を盛んにしようと考えられた。


 蒋介石は、上記の手段を最大限に活用して、満州国の国力の大幅な増大を図ろうとした。


 そうした中で、満州国で一番に力を注がれたのが、意外と思われそうだが、農業だった。

 当時、世界大恐慌の渦中に置いて、満州の重要な作物である大豆や小麦の価格が世界的に下がっており、更に満州事変は、中国本土やソ連市場からの満州産農作物の締め出しを引き起こし、満州の農業に大打撃を与えていたのである。

 この当時の満州は、まだまだ農民が多く、農業の打撃は、満州国の国力の低下につながるものだった。

 また、食糧の自給率向上も至上命題だった。

 こうしたことから、農業に力を蒋介石は力を注ぐことになったのである。


 このために、日米から農業技術者を呼び、良い農作物の品種導入を行ったり、転作を進めたりした。

 例えば、甜菜の導入を進めた結果、満州国は1940年代以降は、砂糖の輸入国から輸出国へと転じている。

 価格が低迷する大豆や小麦については、米や綿花、トウモロコシ等への転作を推進した。

 実際、満州国は悪戦苦闘しながらも、日本や韓国から耐寒性の強い稲の品種を導入したり、北海道から指導者を招いたり等した結果、1940年代後半、米の輸出が可能なまでに稲作が発展することになる。


 後に、満州は、いわゆるジャポニカ米の世界的な大産地となり、日本の食糧輸入の大半は、満州に仰ぐとまで言われるようになるのだが、その基盤となったのは、この満州事変による満州国建国をきっかけにした農業改革にあった。

 そして、これにより満州国の住民の大半を占める農民層の支持を蒋介石は集めることに成功し、満州国の統治を安定させることにも成功を収めるのである。 

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