95話、和子
書き上がりました。
「殿、次は奥方様の元へ。良き報せは自分で確認されますれ。」
「あぁ。」
本丸の奥の間へと通される。某大奥のようなところであろうか?
「舞!!」
「陶殿、和子がすやすや寝ており、舞殿も女の戦場に立たれていたのです。大声は御控えなさい!!」
「あなたは、、?」
「ほう、藤三郎は会ったことがなかのぉ?御屋形様が御側室にて、我が娘。そして、御屋形様御次男亀鶴丸が母、お蘭じゃ。」
むむっ!?なんでじいちゃんが俺よりも早く、、、?ってえ?舞の横で、舞の手を握っているのは御屋形様の御側室兼俺の親戚だったのか!!!
「これは!門田の方様にございましたか!?なぜ私の奥のもとに?」
「お蘭で良いのです、陶殿。この和子は内藤の血を分けた子、つまり我が父の外孫。さらには、亀堂丸様と亀鶴丸に御使えする身にございます。我が子達の郎党を自ら取り上げることができ、逆に幸せにございますよ。」
「しかし、、。」
「良いではないか、藤三郎。お蘭も暇なのであろう。御屋形様や御継室おさいの方様もおらず、羽を伸ばせるのであらう。それより、お前は奥を労え。」
あぁぁぁ!そうだった!!!舞、本当にありがとう!!!!でかい声を出せば門田の方に叱られてしまう。ボリュームを落とそう。
「奥、舞!本当にありがとう。かわいい我が子をありがとうな。」
「殿、、。元気なややこにございますでしょう?」
「あぁ!ありがとう。本当にありがとう!!」
前世ではまた半ばで、生き絶えたわけだが、この世界では20前にして子持ちになっちまった。
「かわいい男子にございますよ。」
舞の侍女(長?)のおぎんが、我が子の顔も見せてくれる。
「殿に似ておりますね。」
「目は、舞にそっくりだ。気の強い武者になるやもしれないな。」
「まぁ、殿ったら!!殿のような弱虫にならないよう乳母には、おぎんがよろしいのではなくて?」
「うむ、悪くないな。くノ一であるから、もしもの時和子を守ってもくれる。おぎんどうであろうか?我らよりの願いである。」
「この千賀地ぎんには恐れ多い大役にございます!千賀地は、陶の御家に取り立てていただいたとはいえ所詮は草の者。その草の者の養育を受けるとは、若君に申し訳なうございます。どうか御容赦くださいませ。」
「出自がなんですか?貴女は私の侍女の長よ。藤三郎殿が、戦で不在のときずっと私のもとにいてくれるのは誰?奥の身辺を警護してくれているのは誰?貴女は武家の娘の立派な郎党で、名門大内家の宿老・陶尾張守藤三郎様の目と鼻の頭なのです!!」
「おぎん殿、気負うでない。俺の家臣からも傅役を出すのだ。さらに、この俺自らも和子の養育に参加したい。」
「それはようお考えでござますね。おぎん、私も和子とともに成長していきますよ。であれば、貴女が私を良き母に鍛えあげてくださいな。」
「ははっ!!藤三郎様、お方様、そして、和子様!!千賀地おぎん、命に変えても御家の新しい希望を守り抜きまする。」
「はっははははは!!頼もしい乳母殿じゃなぁ??お蘭!!」
「そうにございます!!!これで大内の御家と陶の御家は安泰にございますわね!!」
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