94話、次期当主と一門
今回は対話メインです。
読みずらいと思います
「ほう、大友の元にあったのか。であれば、氷上太郎、主に聞きたいことがある。」
「何なりと。」
「豊後では、天竺の西より商人が行き交うと聞く。」
「その通りにございます。南蛮人にございますな。」
「そうか。やはり、大内も南蛮人との交易を盛んにした方が良いな。」
「失礼ながら。」
「なんじゃ氷上太郎。」
「豊後での南蛮人どもは、交易だけでなく南蛮宗(キリスト教)の布教を行っております。」
「それがどうかされたのですか?長門や周防でも、御屋形様は布教を許されておられますが。」
「えぇ。布教自体はよろしいでしょう。しかし、南蛮宗を布教された国々は軒並み、南蛮の属国となり、奴隷を送っているようにございます。南蛮宗自体は素晴らしい教えなのですが、宣教師どもの中にはこの日本を支配する一つの方法とする者もおるのです。」
そうか。氷上太郎は、大分調べ込んだようだな。この小さな島国にありながら、植民地のことを言っているとはなかなかだ。確かにこの時期のスペイン、ポルトガルは大航海時代。イエズス会のカトリックが、植民地化の手段の一つと用いられたのであろう。
「なぜじゃ?南蛮宗は隣の者を愛せと素晴らしい教えと聞くが。」
「新太郎ど、失礼。大友新太郎は南蛮宗に入信していないといえども、深く関心を示し、かしこかも伊弉冉尊と伊弉諾尊が生み出された日の本の土地を南蛮宗に寄進致しております。」
「それの何がいけぬ?南蛮寺を作るには土地が必要であろう?」
「多くの田畑を南蛮宗に送るとなれば当然、既存の寺社から反感がきましょう。さらには、先ほど行った属国の尖兵をその土地に隠される恐れも。いや、そもそも宣教師たちが尖兵やもしれませぬな。」
大友宗麟は寺社を破壊し、教会の建設に励んだときいたな。そのような行為がヨーロッパの植民地支配に繋がっていくと言いたいのか。
「藤三。」
「ははっ。」
「その方、申しておったな。大内の発展のため、南蛮と交易をすべきと。」
「その通りにございます。」
「日の本の属国化に繋がるというではないか。」
「大内領には、よき輸出品がございますな。」
「それはどういうことじゃ?氷上太郎。」
「石見銀山の銀。これを商人との交易に使用するのです。銀を対価に南蛮の物品を宣教師を挟まずに、商人から購入致すのです。銀を売り、南蛮の貨幣を確保するのでも良いでしょうな。」
客将時代にこの男なかなか目を光らせていたんだな。
「さらに、付け加えますと神仏を信じる
国人たちの気持ちも、あまりに南蛮宗を許すと離れていきましょうぞ。」
「であるか。良き話を聞いた。」
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