93話、月山富田城にて
またまた、間が空きましたね。
-----富田城-----
「城兵よ!門を開けい!!陶藤三郎だ!!」
「ご無礼仕りまする。城代様の命なくば、開門いたせぬことになっております。」
「わかった。城代武田源太郎を呼べ。陶藤三郎が参ったと伝えよ。」
「ははっ!」
さすが安国寺恵瓊、いや武田源太郎だ。この城に籠るのは、俺の奥・舞姫、大内次期当主とその弟。そして、俺の子を含めた非戦闘員たちだ。主人といえども、確認が取れないと簡単には門を開けないか。
「確かに、藤三郎様じゃ。開門じゃ!開門!!」
源太郎の確認が取れたようだな。
「殿、よくぞご無事で!山名様の元へ文を走らせておったところにございます。」
なぜこの状況で嫌味を言えるのか俺にはわからない。
「源太郎こそ、よくぞ富田城を守り抜いてくれた。礼を言う。」
「これも民部殿と弥左衛門殿が、神門川で敵を引きつけたおかげにございます。いや、この源太郎、戦場に出てもなんら役に立ちませぬよ。」
なぜこの男は飄々としているんだ。これが、武勇で鳴った安芸武田氏当主なのか。
「お前に武勇は求めておらん。」
「その方が助かりまする。さて、殿、まずは新屋形様とその御令弟のもとへ。」
「であるな。新屋形様は居館か?」
「いえ、新屋形様たちは大事をとって本丸に。奥方様もご一緒にございます。」
「そうか。」
「殿に御一報がございますが、それは後程に。」
「なんだ?」
「そうあせられますな。まずは陶新当主様、大内次期当主の元に。」
そうか、忍衆が富田城にも使いを出したか。しかし、頭領の半蔵はこんな戦さがあると言うのにまだ帰らないか。頭領代理として小猿が任されているようだが、、、。
「よくぞ、参った藤三郎。その方がこの富田城に参ると信じておったぞ。」
「ありがたきお言葉にございます。亀堂丸に鶴亀丸様、富田城での生活はどうにございましたか?」
「さすがは、代々尼子当主が構えておった城じゃ、よき城であった。鶴亀丸もそう思うであろう?」
「そうおもいまする。」
「して、藤三郎、主の前に控えるのは誰ぞ?」
「ご紹介遅れました。大内家御一門厚東氷上太郎隆武様にございまする。」
「亀堂丸様、並びに亀鶴丸様、お初にお目に掛かりまする。厚東氷上太郎にございまする。」
「厚東か。聞かぬ名だな。」
「氷上太郎様は、前大内御当主大内介(大内義興)様の弟君にて、大友家の食客として余生を過ごされた、大護院 尊光様の御嫡子。つまり御父上の従弟様にございます。」
「ほう、大友の元にあったのか。であれば、氷上太郎、主に聞きたいことがある。」
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