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92話、帰城

だいぶ間空きましたね。









「陶藤三郎、帰城!!じい、開門せよ!!!」


「若様の御帰城確かに!!!開門じゃ!!開門!!開門!!」


「じい、並びに弥左よくぞ、この城を持ち堪えてくれた。礼を言う。」


「若より、この伊香賀民部、神門の守将を任された身にございますれば容易く城を落とされたりはさせませぬ。」


「富田城には、奥方様と和子そして、大内新御屋形様が詰められており、我らが抜かれるわけにはいきませぬ。」


「であるな。そして、」


「忍衆より、殿が討ち死になさったと。」


そうか、大寧寺より忍たちが伝令を。


「御一門、この城に!!」


「通せ。」


「ははっ!」






「お久しゅうございます、陶安房守隆満にございます。藤三郎様が和子のころよりでございますな。」


「恐悦至極申しまする。安房守嫡子兵庫隆秋にございます。」


「屋形様の元より馳せ参じ申しました。陶右馬允隆康にございます。後ろに控えますは嫡子の中務少輔隆弘にございます。」


「お初目お目に通りまする、中務少輔隆弘にございます。」


これだけなのか、、?


「尾張守様に、陶一族のほとんどは尾張守様にしたがっておりもうした。尾張守様が打ち取られ、一門皆散り散りに。討ち死にしたものも数知れず。側に控えておりましたこの兵庫頭、尾張守様より、神門川城にて藤三郎様にと。」


初老の男が、肩にかけていた刀を差し出してくる。


「これは?」


「尾張守様の御愛刀、若楓にございます。」


「父上の腰差物か。」


「御屋形様より、言伝にございます。尾張守様が討ち死になされた今、陶家御当主を藤三郎様にと。並びに、代々陶御当主が名乗られてきました、尾張守を名乗られよとのことにございまする。」




俺が陶当主なのか。

俺の父が討ち死に。今は戦国なのだ。今世では俺の命もどうなるかはわからない。しかし、陶隆房ちちうえは、俺が生きていた世界の陶晴賢とは違い、主君を身を呈して守り切ったのだ。今世の陶家は、戦国一の大謀反人を出した陶家ではなく、忠臣陶隆房の出自であるのだ。陶隆房は、この世界の歴史本には、忠義の家臣として、語られるのだろうか?いや、大寧寺の変の首謀でない世界なのだから、陶家の一当主として語り継がれるのかも知れない。




「大内一門、この厚東氷上太郎、陶尾張守藤三郎隆護殿の当主継承をしかと見届けましてござる。証人として、御屋形様に。」


「我ら、陶一門も御当主陶尾張守尾張守様にお従いしまする。」




しかし、陶一門といえど元々は父の直臣ではなく、大内義隆おやかまさまの家臣だろう。俺に従うとはどう言うことなんだ?


「御屋形様より、新当主尾張守藤三郎様は、御若年ゆえに我ら一門、与力としてでなく、陶尾張守藤三郎様のゆくゆくは一門衆として、御支えしまする。されど、山口の復興により、安房守殿とこの中務少輔は御屋形様のもとに御仕えなさねばなりませぬ。故に、若武者ではございまするが兵庫殿、そして、我が嫡子、中務少輔をお側にお付けくだされ。」


「この兵庫、藤三郎様を主としてお支えいたしまする。」


「陶一門として、陶尾張守藤三郎様に従いもうします。」





「この野上隠岐を始め、藤三郎様を陶御当主にと。それが譜代衆の総意にございます。」


野上隠岐、父からの直臣だったな。


「皆、よくぞもうしてくれた。陶の当主は今よりこの尾張守藤三郎が引き継いだ。若輩者故、皆の手を煩わせることになろうがどうか頼むぞ。」



「「「はははっ!!!」」」

今空港です。

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