89話、援軍
「兵5000を神門に。主将を氷上太郎。副将に藤三郎じゃ。氷上太郎、その方、此度の戦が初陣であろう?」
「ははっ。しかし、ご重臣方を差し置き、初陣であり謀反人の子である氷上太郎に主将とは、、、。」
「案ずるな。その方は、大内一門であり、我が従弟。それに、百戦錬磨の藤三郎が付いておる。大将として床几に腰をかけて居れば良い。」
まぁ、そう言うことだ。大内一門として、座っていてくれればいいんだよ。それに、三好軍は西を我ら大内、東を山名に囲まれた孤立無援。さらに、神門川城が落とされたとの報もない。さらにその東の富田城に大内次期当主とその弟を匿っている以上、そんな報あってはならないのだが。とりあえず、三好討伐により、諸将に氷上太郎を大内一門衆の一員として認めさせたいのであろう。そしてその手助けを同じく一門であるこの俺に、いや、氷上太郎をお飾りの大将に俺が副将として兵を率いよということか。
「二名とも、奮戦いたせ。そして、我が子達の危機をどうか頼む。」
「ははっ。」
ーーーーー天文二十四年六月九日・出雲国神門川郡ーーーーー
「与六郎。」
「ははっ。」
「矢文を。その方の強弓ならば神門川城まで飛ばせよう?」
「仰せのままに。文は?」
「誰か、紙と、硯を持ってまいれ。」
「藤三郎殿、これを。」
「ほう、見事な矢立硯だ。ん?氷上太郎様、このような事は、下の者に任せれば良いのでございます。」
「生憎、某は、戦働きは出来ませぬ。せめて、この硯だけでも、藤三郎殿のお役に達とうございます。」
「、、、、。有難く使わせていただきまする。」
「与六郎。これを。」
「ははっ。」
ひいふっ!! ドッッッ!!!!
こりゃあすごい。今回は目標が、壁であるが、人だったら一溜りもないな。




