87話、食客
お久しぶりです!!色々やることがあって投稿遅くなりました!!!
「時は今!!皆の衆、出陣じゃ!!!」
じいちゃん(内藤興盛)の号令で、1500の兵が敵、数万目掛け、駆け抜ける。
「鳥銃は、撃ちながらで放て!!弾が無くなれば、腰の刀を抜けぇ!!」
寝首を取られた、敵兵は為す術なく討ち取られていく。
「じい。これが大内の宿老、内藤興盛か。」
齢、56。この時代から見ると、長寿である。
「その通りにございます。これが内藤弾正忠様の御戦にございます。殿は、弾正忠様の御戦は、まじかで見られましてございましょう?」
「あの時は、こちらが数で勝っていた。策略と言えど、1500で、万を超える軍勢に身震いなく槍を交えるとは。」
「それは兵部卿様をお守りするという御覚悟にございましょう。じいは、大内の家人にございますので、内藤家の内情に詳しくありませぬが、先の戦で左衛門佐様(大内義隆養子)を失われて以降、臥していらした兵部卿様は、政務を怠け、戦に手を出さず、貴族共と、享楽の日々。それでは大内家臣の心が離れていきまする。それは、宿老である弾正忠様も変わりませぬ。しかし、ここに陶の和子が御生まれになり、兵部卿様は以前のように、政務に精を出し、更に、宿敵尼子を降されました。やはり、兵部卿様からも、弾正忠様からも、殿の存在は大きいのでございますな。」
そうか。覚悟か。
「伝令!!弾正忠様が、敵陣深くで失速!!!」
「頃合か。大爺様が、道を作ってくだされた!!!!我らが狙うは、敵将の首のみ!!!」
「「「「「応!!!!」」」」」
「いざ突貫せよ!!!!」
「鹿、次三、これがお前たちが、待ち望んだ戦だ。」
「我らがおる限り、殿に指1本触れさせませぬ!!!」
「殿に拾って頂いたこの次三の命、殿の御為に使いましょうぞ!!!」
「有り難い。しかし、2人とも、我らは数に勝るのだ。俺の事はいい。敵を討つことだけを考えよ。」
「「ははっ!!」」
「鉄砲隊、放て!!!」
側面、本陣近くに一斉に放った鉄砲によって、こちらに気づき、突撃してくる兵が一瞬怯む。
「よし、今だ。者共駆け抜けよ!!鉄砲隊は、後ろに下がれ!!!」
隙を見せてしまえばこちらのものだ。いくら本陣前を守る兵と言えども、500で事足りる。更にこちらは、選りすぐりの精鋭部隊で、敵本陣と数は互角。油断したのが悪かったな。
「馬廻り衆行くぞ!!敵旗本共を掻き回せ!!!」
「ははっ!!!」
ん?旗本衆の中に大内の旗が、、、。
「大内氷上太郎様とお見受けする。こちら、陶兵衛少尉隆護にございまする。ここを見るに、敵将、吉弘左近大夫も我らが討ち取りましょう。大内様の御身を討ち取るなど、私には出来ませぬ。我が方に降ってはくださいませぬか?」
「陶兵衛少尉。十騎駆け藤三郎殿か。この儂を知っておるのか?」
「御屋形様の叔父上様、大護院尊光様の御遺児、氷上太郎様を大内一家臣、陶兵衛少尉が存ぜぬ訳がありませぬ。」
ふっ、嘘だ。忍達に探らせてたまたまてめぇを見つけたんだよ。
「主のように、防長にも儂を見知ってくれておるものがおるとは。分かった。戦などしたことがない儂にも、もう、吉弘殿の命はないことはわかる。豊後に戻れど、たかが食客で儂を知るものもおらぬし、唯一儂を知ってくださっておった母上ももうこの世にはおらぬ。陶殿、我が父が仕出かしたことは許されることではなかろうが、この戦が終われば、兵部卿様の元へ連れて言って欲しい。」
「この命に変えましても。」
「吉弘左近大夫、この工藤次郎三郎が討ち取ったり!!!!」
「一の太刀は、この山中鹿之助が!!!」
2人の若者の大声で戦が終わった。
大内氷上太郎隆弘。大内義隆の父、義興の異母弟大護院尊光の子。尊光が、還俗し名を高弘と改め杉武明、大友氏らと共に謀反を起こす。それを大内義興、陶弘護、内藤興盛らにより鎮圧され、豊後に逃げる。そこで、産まれたのが、隆弘。




