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72話、老獪





ーーーーー天文二十四年五月二十七日ーーーーー


「公方様、お久しゅうございます。」


「うむ、右衛門督、大儀である。」


四職の一家、山名右衛門督祐豊は、但馬、因幡、伯耆、備中、備後半国を治める大大名だ。率いる兵は、1万5000。播磨、丹波、美作そして尼子残党への抑えがあると考えると、無理をしているのだろう。






「安芸国人、吉見式部少輔にございまする。」


「同じく安芸国人、毛利少輔次郎にございまする。」


「安芸より参るとは。その忠義しかと受けとった。」


吉見、毛利合わせて、3000騎。もちろんその中に、国人の下瀬や、吉川、小早川も含まれる。






「小笠原兵部少輔にございまする。」


「余の窮地に立ち上がるとは。さすが小笠原じゃ。」



石見小笠原。一族郎党、周辺の国人を率いた結果、兵は1500。一国人が率いる兵としては、破格の数だろう。




「尼子左衛門太夫にございまする。」


「尼子随一の将であったと聞く。さらに、率いる兵も皆一騎当千とか。」


左衛門太夫が率いる兵は、もちろん新宮党残党だ。500と言えど、単純な武だけでなく、左衛門太夫に忠誠を誓っているため、組織としても強い。





「このような忠義者に囲まれるとは、この義輝は果報者じゃ。三好は、主家細川を滅ぼし、さらにこの将軍家にも槍を交えた。相手は逆賊じゃ。我らは幕府軍として、討伐するのみよ。」


「「「「おぉ!!!!!」」」」








「して、兵をどこに置けば良いかよ。」


「兵を一気に摂津に寄せるべきでは無いでしょうか?」


「しかし、それであれば、大和、河内、さらには、丹波も警戒せねばなりませぬ。」


「丹波は、我が盟友荻野殿がおられまする。内藤某と言えども、丹波の赤鬼が、足止めしてくれるかと。」


「こちらの兵数は、大内様の軍3万、山名様の軍1万5000、吉見殿と(それがし)安芸衆の3000、小笠原殿の1500。尼子殿と兵衛少尉殿の遊軍1000にございますな。1万と幾千の4つの部隊に別れ、各個撃破していくべきかと。」


「しかし、少輔次郎殿、それであれば我が方の連携はどうする?」


「当家の草の者、世鬼一族、兵衛少尉殿の千賀地一族に任せましょう。」


「半蔵もそれで良いか?」


「公方様の仰せのままに。」


「よし。では、皆の衆、兵を興、、、」伝令!!!伝令にございます!!!」


「なんじゃ!!!」


「伊勢貞孝が、三好に内通!!伊勢、三好実休、松永久秀率いる計1万5000が将軍山城を占拠。」


「伝令!!伝令!!!!」


「今度はなんじゃ!!!」


「三好長慶率いる兵2万が、山城へと攻め込んでまいります!!!部将に十河や安宅の名も!!!」


「丹波の赤井殿が、内藤宗勝、松永孫六の兵に挟撃を受けているとの報が入りました!!」


「なんと、、どうすれば良いのじゃ、、、。」


「公方様、恐れながら、、。」


「どうした少輔次郎、申せ。」


「数でこちらは勝っております。三好本隊には、大内様の兵と小笠原殿の兵を当てましょう。杉殿、内藤殿、小笠原殿、あくまで、敵を山城より遠ざけるのが任にござる。鶴翼の陣にいたしなさい。深追いしなさるな。間違っても摂津に入ってはなりませぬ。この軍が本軍であり、本陣にございます。公方様は、鶴翼の中軍に居座られよ。幕臣の各々も同様になされよ。」


「承知。」


「山名様は、吉見殿と某の安芸衆を与力とし、1万8000騎で将軍山城を包囲致しましょう。無駄な兵の犠牲は必要ありません。とにかく将軍山城を固めましょう。」


「将軍山城に籠る1万余騎を封じ込めるのですな。」


「その通りにございます。」


「そして、尼子殿と孫殿は、手兵を率い丹波赤井殿の救援に行かれよ。次男、元春に精鋭500を預けます故、手足のように使われよ。存分に暴れるが良い。」


「あいわかった!!兵衛少尉殿、我らの出番ですな!!!!!」


元就の冷静さ凄いけど、なんか、バーサーカーと一緒にされてそうで遺憾だ。


「丹波の救援が成功すれば、丹波衆と共に、摂津に南下されよ。大内軍が引き付けている三好本隊を尻目に摂津の街を燃やされよ。もちろん民はきちんと保護なされい。」


「流石は少輔次郎じゃな。諸将よ、少輔次郎の策であれば必勝じゃ!!!」


「「「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」」」」

次回、三好との戦がついに始まります。



藤三郎に相対するのは、内藤宗勝、松永久秀・宗勝の甥、松永孫六。頑張れ、藤三郎!!!!!


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