70話、いざ、京へ
ーーーーー天文二十四年五月二十二日ーーーーー
「公方様、これより京へと登りまする。」
「うむ。頼むぞ、兵衛少尉。」
「ははっ。」
「兵衛少尉殿、公方様をお頼み申す。」
「任されよ。またいずれ酒でも呑み交わしましょう。信濃守殿とは、良き友人になれそうだ。」
「もちろんにございます。その時は出雲の酒を。」
「信濃守殿に負けじともてなさせて頂きまするぞ。」
「では、京へ。」
「殿!!二騎かけて参ります!!」
「何!!曲者か!!!」
幕臣達が騒ぎ立てる。細川藤孝1人は別に騒ぎ立ては無いが。
そう騒ぎ立てることもないだろ。こっちには500の兵と100丁近くの火縄銃がある。たかが二騎現れたところでどうにかなるものでは無い。
ん?前の一騎はでかい体に大太刀を腰に差している。まるで下瀬与六郎だな。ってあれ?ほんとに与六郎じゃん!!顔めっちゃ焦ってるけど??
「公方様の御前であるぞ!!その方ら何やつか!!!!」
「進士殿、我が家臣、下瀬与六郎にございます。」
「なんじゃ、兵衛少尉殿の御家臣か。」
「そんなに慌てた様子で如何した?」
「そ、それが、お、奥方様が、ご、ご、ご、御懐妊なされました。」
「なんと!!でかしたぞ舞!!!」
「して、与六郎殿、若か?姫か?」
「じい、与六郎は、懐妊と申しておる。まだ分かるまい。」
「あぁ、それもそうにございました。」
「ほう、兵衛少尉の正室が子を宿したか。なんと目出度い。此度の京への道、安全の兆しじゃな。なにか引き出物を送らねばな。」
「公方様、気が早うござます。」
うん、藤考の言う通りだ。まだ男の子か女の子かも分からないのにどいつもこいつも気が早い。
「ならば、刀と単衣を送ればよかろう。後馬じゃ。馬ならば姫でも乗れれば損は無い。うむそれが良い。急ぎ京へ戻らねばな。刀でも単衣でも、余直々に選ぼうぞ。」
まぁ、確かに利に叶ってるのか?
「して、与六郎、後ろの御仁は?」
「花房助兵衛殿にございまする。なかなかの御仁でしてな。囲碁をしておった時に相手がイカサマをし、それを助兵衛殿が咎めると相手が逃げたので、曲がったことが嫌いな助兵衛殿はカッとなり、碁盤をひっくり返すと対局相手が倒れたとか。そこを海路で通ったおりに、たまたま美作で小休止がありまして、与六郎が散策しておりますと仕官先を探しておった助兵衛殿にお会いしたということにございます。」(説明調になっちゃいました。)
「花房助兵衛職秀にございます。兵衛少尉様は何よりも民を慈しみ、戦場では我先にと十騎で駆け抜けられると与六郎殿より聞き、この助兵衛がお仕えいたす方はこの方しかおらぬと思い、与六郎殿について行ったのでございます。」
は、花房職秀〜!!!!なんて有能なやつを連れてきたんだ、与六郎!!
「あいわかった。助兵衛、その方を我が家臣の1人に加える。励めよ。」
「ははっ!この助兵衛、兵衛少尉様にこの命を捧げまする!!!!」
「うむ、期待しておるぞ。」
「公方様、申しわけありませぬ。京へ行かねばならぬのに。」
「許す。それに兵衛少尉に家臣が増えるということは余を守るものが1人増えたということじゃからな。それにその下瀬も大太刀を腰に差しておる。なかなかの使い手と見た。」
「与六郎は、それはそれは大剣豪にございます。当家は一騎当千の武者ばかりにございます。」
だから文官が欲しいんだよ。1人くらい幕府から貸してよ。
「うむ、それは良い心がけじゃ。新しき命と新しき出会いにあやかり、京へ登ろうぞ!!!」
「「「おぉ!!!!!」」」
本日二投稿目です。
花房職秀が仲間に!!!与六郎は、陸路より海路の方が早いためた(・)ま(・)た(・)ま(・)海路を選びた(・)ま(・)た(・)ま(・)美作で花房職秀とであったそうです。
あ、お子ちゃまの名前募集します。感想でもメッセージでも送っていただければ参考にします。男の子か女の子かは僕も分かりません。いや、まじで。




