69話、いざ朽木へ!
視点が藤三郎⇒二人称⇒藤三郎のサンドイッチでお送りします。
ーーーーー天文二十四年五月二十日ーーーーー
「太郎左衛門尉、頭は大丈夫か?」
「なんとか、、、。まだ頭痛がしますが仕方ありますまい。」
山科言継にたらふく飲まされたんだろうな。こんなことなら山科邸には五助を派遣すればよかった。一応藤原氏の流れを汲む湯浅党の末裔だし。
「恵瓊、いや源太郎だったな。兵衛少尉殿にしかとお仕えせよ。」
「お任せくだされ、お師匠。」
「恵心様、源太郎は我が臣として、そして安芸武田当主として立派に役目を果たしてくれますぞ。」
「我が不詳の弟子ですがどうかお頼み申す。」
「才蔵も兵衛少尉殿に迷惑をかけるでないぞ〜!」
「分かっております!!」
「鹿之助、槍の鍛錬を心得よ。」
「はい。いずれ奈良へ行きます。その時はまた稽古をつけてくだされ!!!」
「うむ。待っておるぞ。」
師匠との、別れの言葉も済ませたようだ。
もう出立の時だ。
「では、兵衛少尉隊500、いざ朽木へ!!!」
「「「「おお!!!!」」」」
ーーーーー朽木谷・第十三代公方足利義輝ーーーー
第十三代将軍足利義輝は、三好長慶に京を終われ朽木谷にて生活を送っていた。
「半蔵、主の主はいつ来るのじゃ?」
「配下の草の者より本日出立したとのことでしたので、夕刻程になりましょう。」
「そうか。やっと余も、京へと戻れる。元綱、思えばそなたの父よりいつも助けて貰ったな。主は誠の忠臣じゃ。」
「勿体なきお言葉になります。」
「大内介に稙綱。余は忠臣に恵まれておったのか。三好のような逆臣もおるのだがな、、。これも余の力不足か、、、。」
足利義輝は自分の置かれた境遇を思い返す。細川に、三好に背かれ何度も京を追われその度に逃げてきた人生であった。しかし、今度は西国で強大な力を持つ大内兵部卿が後ろ盾となる。父の義父、流れ公方足利義種は大内兵部卿の父である大内義興によって京への復帰を果たした。今度こそはと思う義輝であった。
ーーーーー天文二十四年五月二十日夕刻ーーーーー
’首領。’
「うむ。」
「どうした?半蔵。」
「主が京より到着致しました。」
「おぉ!来よったか!!早速出迎えなければ!!」
義輝は、急ぎ足で朽木谷を出る。
ーーーーー陶隆護ーーーーー
やっと、朽木谷に着いた。思えば、出雲を出て、今日このごろまで、忙しい1週間だった。
「ん?殿、誰か御仁がたたれております。傍付きのような者のなかに半蔵殿らしき者がおりますな。」
前に立つ男は朽木元綱か?いや、元綱にしてはこの時7歳。じゃああの人物は?
「朽木殿の縁者にございましょう。忍の首領という半蔵殿もおられるようですし、近くに寄っても問題ないかと。」
「源太郎の申す通りじゃな。皆、あの者達に寄せるぞ。」
「大内兵部卿家臣、陶隆護か。よくぞ参った。」
ん?朽木の縁者にしては、なんか上からだな。
「失礼だが、そなたは?」
「おい!!!貴様!御無礼であろう!!!」
「藤英、良い。申し遅れた。余は足利義輝じゃ。」
「!!失礼致しました!!!!!」
やばい、馬から飛び降りなければ首が飛ぶ!!!!
「はっははは!良い、面を上げよ。改めて兵衛少尉、よくぞ参った。大儀である。」
「ははっー!」
「ん?主の刀、二振りとも立派なものじゃのぉ。抜いて見せて貰ってもよいか?」
「もちろんにございまする。」
「ほう、これは長船か。」
「その通りにございまする。関白殿下から下賜された業物にございます。」
「誠に美しき波紋じゃ。」
「もう一振は?」
「尼子攻めの際、我が主大内兵部卿より授かった千鳥一文字にございます。」
「千鳥一文字といえば、大内秘伝の五名刀の一振とか。」
「御明答。」
「は、はっははははは!!兵衛少尉、気に入ったことを申すな!!気に入った!!!!!」
これくらい誰でも言えるだろ。現にみんなしけてるもん。
「では、長旅で疲れたであろう。兵衛少尉一行、度の疲れを癒すが良い。元綱、頼む。あぁ、この者は、朽木の当主、朽木竹若丸じゃ。聡明な子でな。齢7つとは思えぬ。」
「朽木竹若丸にございます。ゆるりとお過ごし下され。」
「陶兵衛少尉隆護にございます。よろしくお願いいたす。」
こうして、朽木谷で、我ら一行は、長旅の疲れを癒すことになった。
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