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58話、働け!ニート居候









天文二十三年八月六日



本日は、義隆に大内氏館に呼ばれている。


「藤三郎、そなたの勇猛さを称え、出雲神門郡を与える。」


「ははっ!」


ん?神門郡?え、郡を与えられるの?


「神門郡は、4万石であるが、藤三郎なら抑えられるであろう。近い未来、出雲守護代にも任ずる故、覚悟しておれ。」


「はあ。」


よ、4万!?おれ、まだ15歳なんだけど、、、一石5万とすると、、、5万×4万で20億!?三億円事件6回してもお釣りが来るぞ!?



「若くしての大領であるが、心して勤めよ。」


「はは。」


「そして、この官途状を。」


小姓よりと渡された紙切れに目をやると、、要約すると兵衛少尉を名乗れと書いてあるではないか、、、


「今日より、陶兵衛少尉を名乗れ。」


「御意に。」


「うむ。」






大内氏館を歩いていると、10になったあのお方が前を歩かれていた。



「藤三郎ではないか。」


「これは、新御屋形様。」


「この館にも、藤三郎の活躍聞こえておったぞ。巷では、十人駆け藤三郎と呼ばれておるとか。」


「全ては大内の勝利のためにございます。」


「藤三郎、わしは父上の跡目を継いだらどうすれば良いのか?」


「新御屋形様は、大内家が持つ勘合を役に立てるのでございます。」


「明か?」


「いえ、その西の天竺、そのはるか西の英吉利(イギリス)や、西班牙(スペイン)などと交易を始めるのです。」


「天竺より西に国があるのか?」


「はい。日ノ本は、ちと狭うございます。海は、誠に広うございます。海は、長門と鎮西に繋がるように、天竺にも英吉利にも繋がってるのでございます。」


「そうか、鳥銃ははるか西の国より持ち込まれたのだったな。」


「その通りにございます。はるか西の国と交易を致しますと、鳥銃をはるかに凌ぐ武器を買い取れましょうぞ。」


「しかし、はるか西の国にあるのは、銃だけにはございませぬ。すごい速さで走る船に、燃えることの無い家までございます。」


「なんと!?ものすごい速さで進む船だと!?」


「はい、その通りにございます。それに大きな鳥銃を載せれば、出雲など、ものの数刻で滅ぼせたことでしょう。」


「藤三郎、わしの傍にて、これからも助言をくれるか?」


「もちろんにございまする。藤三郎は新御屋形様の右腕であり、懐刀にござる。」


「頼りにしておるぞ。」


「ははっ!」





ーーーーー若宮城ーーーーー



「というわけで御屋形様より、神門郡4万石をいただいた。」


「まぁ、藤三郎様おめでとうございます。兵衛少尉様の方が良かったかしら?」


「藤三郎でよいわ。」


「ふふふ、この周防若宮はどうなるのです?」


「それは、父上より俺の領地としても良いとの事だ。しかし、俺は神門へと移らねばならん。」


「そうですね。ならば、今まで貴方様に着いてきてくれた民達に、お礼をしないと。」


「そうだな。よし!ここ、若宮城に民たちを呼び寄せよう!!」


そうと決まれば、酒に飯の準備だ!やっぱり日本人は祭りだ!!!


「誰か!!!」


「ははっ」


「次郎三郎か。左衛門太夫殿を呼んで参れ。」


「承知。」



髪ボッサボサで、筋肉隆々な体に汗を流した左衛門太夫が歩いてきた。




「藤三郎殿、あ、兵衛少尉殿。お呼びでござるか?」


うん、まぁ悪い気はしないから訂正しないでいいや。


「近々、民への感謝の意を示して祭りを開こうと思うので居候の左衛門太夫殿にも手伝っていただきたい。」


若宮城下に屋敷が出来ても、居候してるあんたには働いて貰わないとな。


「お易い御用にござる。力仕事は得意ゆえ何なりと申し付けられよ。」


「それは助かりますな。では、蔵より、酒樽を運ばれよ。」


「ん!?酒樽???7樽で民たちに足りるだろうか?」


「7樽!?蔵には10はあったはずですが?」


「は、ははは、、、六樽開けてしまいもうした。面目ない。旧知の立原殿が、参られてな。何かお出しせねばと思いまして、、、、。」


あ、もしかして、先日の元服の義の時か、、、、


「仕方ありませぬな。民たちにには、量は少なくとも味の良い酒を出すしかありませぬ。」


「味の良い酒にござるか!?」


「酒の不摂生は不養生の元にございますよ。」


「申し訳ありませぬ。」


「働かざる者食うべからずにございます。働いて返されよ。」


「は、はい。」


「ふふふ。藤三郎様と左衛門太夫様は、仲がよろしいのですね。」


うん、舞が笑ってくれたのならいいや。



僕もニートです。

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