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56話、凱旋






やっと、尼子討伐も終わりました、、




尼子晴久とその家族を伴い、義隆本陣へと戻る。


念願の尼子打倒に成功した義隆はものすごくウキウキしている。



「藤三郎、でかした。尼子の投降を促すとは、何たる功じゃ。」


まぁ、晴久を決断させたのは、あなたのご子孫をどうにかしちゃえよ〜って提案しちゃったからなんですけどね。


「そなたには、この千鳥一文字を。」


え?それ大内氏の家宝の一太刀じゃないの?いいの?


「私には勿体なき代物にございまする、、」


「よい。それだけのことを藤三郎はなしたのじゃ。この棒切れ一本では足りなほどよ。」


「ありがたきお言葉にございまする!!これからも御屋形様、新御屋形様に忠節を尽くしまする!!!」


「そなたは儂に過ぎたる者よ。次代でもその才どうか亀童のために。」


「もちろんにございまする。新御屋形様の代では、一層私が大内家を盛り上げましょうぞ。」


「誠に頼もしい言葉じゃ。藤三郎、頼んだぞ。」


「ははっ。」





これにて、尼子討伐軍は、新宮党残党、但馬そして、山名への備えとして、一門の門田隆盛、副将として杉重矩を残し山口へと凱旋となった。





ーーーーー天文二十三年七月九日・周防若宮城ーーーーー



「舞、ただいま戻った。」


「貴方様のご活躍、ここ若宮より聞いておりました。藤三郎様の奥として誇らしい限りにございます。」


「ほう、この姫君が藤三郎殿のお方殿にござるか。聞いた通り美しい女子(おなご)じゃ。」


「あぁ、このお方は御屋形様より与力として、我が館へと参られた尼子左衛門太夫殿だ。」


「左衛門太夫にござる。ここ、周防には縁もゆかりも無い故、居候させて頂きたいのじゃがよろしいか?」


「藤三郎様の室、舞にございます。もちろんにございます。」


「しかし、藤三郎殿の領地は素晴らしいですな。御屋形様より、領地はいただいてはおるがこの城下に居を構えたいのですが?」


「、、、、、。」


「もちろん御屋形様には許可は貰って居りますゆえ、我が領は儂の直臣となりました、多胡左衛門尉に任せますしな。わしは政の方はからっきしにございますから左衛門尉は適任にござる。」


「であれば仕方ありませぬ。左衛門太夫殿の館は、、」


「あぁ、それなら喜助殿に頼んでおりますよ。」


この男、仕事が早い、、、、



てか今回の戦で俺の家臣が何人か増えたから喜助達からするとホクホクだろうな。





「夫婦の営みを邪魔してしもうた。とりあえずはこの館の空き部屋に住まわせて貰う故、御用の際はおよびくだされ。」


そう言って、左衛門太夫は出ていった。





「左衛門太夫殿は、嵐のような方にございますね。」


「戦陣では、素晴らしいお働きなのだがな、、」


「ふふふ、与力とはいえ、藤三郎様にあのような剛気な方が控えられるのなら舞は安心して留守を守れます。」


「心配してくれたのか?」


「もちろんにございますよ。天之御中主神に藤三郎様の帰りを願っておりました。」


「そなたの祈りのおかげで、天之御中主神のご加護を得られたようだ。ありがとう。」


「貴方様の息災をいつも願っております。」


本当に俺にはもったいない妻だ。






「藤三郎様、お楽しみのところ申し訳ないですが、、」


この声はじいか。またお小言を言いに来たのか?


「よい。じい、入れ。」


「ははっ。」


「藤三郎様の家中で、そろそろ元服を済ませねばならぬ者たちがおるのをお忘れではないでしょうか?」


「あ、」


「あ、ではございませぬ。甚太郎、千代丸、そして甚次郎は少し早いですが、もう良い頃合にございましょう。」


「そ、そうだな。いや覚えていたぞ。用意をいたせねばな。次の大安はいつだ?」


「明日にございます。」


「よし、再来週、元服を取りなう故、3人に伝えておいてくれ。」


「承知致しました。3人には伝えておきますゆえ、くれぐれも忘れることはせぬように。」




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