53話、鰐加賀
本日2話目です。
敵将・大塚与左衛門を討ち取ると、吉見勢と毛利勢にまとわりついていた敵兵たちも引き上げ、右翼の敗北を見た尼子左翼も同時に兵を引いたようだ。
「藤三郎殿〜!!藤三郎殿〜!!待たれよ!!!!」
「吉見殿?」
率いた兵を連れ、本陣へと戻っているとよしみんが、側近らしき数騎を率い駆け寄ってくる。
「如何なされたか?」
「此度の、藤三郎殿の助太刀がなければ、わし諸共我が勢は討ち取られておりました。何と礼を申せばよいか。」
「当然のことをしたまでにございますよ。しかし、私が敵騎馬に槍を放たれた時、誰かの矢によって助かりました。命の恩人を探しておるのですが、私が連れてきた兵50騎の中に弓の扱いに長けた者はおらず、礼も言えず心残りにございます。吉見殿の御家中に弓に覚えのある方は、おられませんか?」
「もしや、この下瀬加賀守にございませぬか?」
よしみんが向いている方を見てみると、大太刀を佩刀とした、ガタイがいいいかにもな猛将が馬に乗っている。
弓の扱いに長けた下瀬加賀守、、、、吉見家の忠義の名臣鰐加賀か!!
「貴殿が、私の命を救ってくださったですな?」
「いえいえ、命をとして救ってくださった藤三郎様を死なせてはお家の恥と思い矢を放ったまでにございます。」
「いやいや、加賀守殿がおられなければ今頃地獄の閻魔の前に立たされておったでしょう。誠に鰐加賀の異名通りにございますな。」
本当にその通りだ。お前がいなければ絶対地獄落ちてたって、、、あ、そうだ!
「吉見殿、筆と硯と墨を貸していただけますか?」
「わかり申した。誰か、筆と硯、墨を藤三郎殿に。」
吉見御家中のお方が、書道道具一式を持ってきてくれた。いや〜すいませんね。
俺の甲冑から右の大袖を取り外し、その大袖に鍾馗の水墨画を描きあげる。
「今は、こんな物でしか送れませぬが、いずれまたちゃんと礼はしまする。」
「絵師としても優秀な藤三郎様の美品をこの加賀守に!有難く頂戴しまする。」
「わしからも礼をせねば。藤三郎殿、わしに礼をできる礼はございませぬか?」
「であれば、鰐加賀殿を私に。」
は出来ませんよね〜。分かってます。
「申し訳ありませぬ。加賀守は、当家の筆頭の武者ですゆえ他家に仕官させることは、、、」
ですよね、、、、
「であれば、殿、某の次子与六郎を藤三郎様の元に。」
「良いのか?加賀守。与六郎はまだ元服したばかりであろう?」
「我らの大恩人に、仕えれるのなら与六郎も本命にございましょう。」
え〜鰐加賀の子が、俺の家臣になるパターン?
「誰か、与六郎を呼んで参れ。」
「藤三郎様、これが我が次子与六郎頼盛にございます。」
うん、鰐加賀に似た巨漢だ。その横にいるのは、鰐加賀の長男坊か?
「下瀬与六郎にございます。藤三郎様、これからよろしくお願いいたします。」
「ああ。与六郎、お前の諱のもりはどう書く?」
「盛んという字にございますが。」
「ならば、与六郎。今日から俺の家臣となったのだ。偏諱を与える。読みは変わらぬが、俺の諱、隆護から一字とり、下瀬与六郎頼護と名乗れ。」
「ありがたきお言葉。今日より、与六郎頼護と名乗らせていただきまする。」
家臣が、1人増えちゃいました。
もちろん本当は父頼定に劣らず活躍した長男の、頼直が良かったのですがさすがに長男を他家に引き抜くのはあれなので、次男の頼盛に、隆護軍団の1人になってもらいました。
通称は僕の頑張りが足りなかったのかもしれませんが、調べても出てこなかったので頼直の通称弥五郎の、弥から五十音順で一字後ろに、五から一字足し、与六郎頼護とさせていただきました。
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誤字報告も本当に助かってます!!!!!




