33話、ばれたのか?
あけおめです。
新年一発目の投稿です。
5日の時を有して、食料の保管庫となる城が出来た。
まず、城壁から築いて行ったため、尼子敬久を他とする尼子氏からすると、一夜を経て城が築かれたようなものだろう。
「父上、頃合にございます。」
「うむ。伊豆、兵500で、左馬助の助太刀をせよ。左衛門太夫殿は、生け捕りにせよ。」
「御意に。」
半刻ほどの時間を経て、山崎伊豆が宮川左馬助と共に、1人の男を伴い本陣へと戻ってくる。
「そなたが、尼子左衛門太夫殿か?」
「左様にござる。陶尾張守殿にござるな?」
「いかにも。」
「藤三郎、左衛門太夫殿のお縄をお解きしろ。」
「ははっ。左衛門太夫殿、失礼いたします。」
尼子敬久が、じっと俺の顔を見る。
「そなたが、藤三郎殿にござるか?」
「その通りにございます。陶藤三郎隆護にございます。左衛門太夫殿尼子御一門のお1人にございますのに、こちらの軍門に下って頂きかたじけのうございます。」
「藤三郎殿、そんなことはござらぬ。わしは、尼子を我がもの顔で歩く兄上も、兄上をここまで増長させるまで当主として何もできんかった修理太夫様も好かんかった。更に、大内殿に対抗せねばならぬのに、内乱をいたす始末。こちらこそ内応のお誘い忝ない。我が部下のこともお頼み申す。」
まぁ、その内乱を起こさせたのは俺なんだがな。
「誰か、左衛門太夫殿に床机を。」
父付きの小姓が、敬久が座る床机を用意する。
「尾張守殿、忝のうござる。」
「左衛門太夫殿は客将にあらせられる。これくらいは当たり前にござるよ。」
「尾張守様、遠江守様が、お戻りになられました。」
「そうか。」
本陣に岳父が戻ってくる。
「尾張守殿、婿殿、周防より、兵糧を持って参ったぞ。」
「遠江守殿、御足労おかけした。」
「岳父殿、いかほど持ちましょうか?」
「ざっと1万の兵が、1年籠城できるほどの兵糧じゃ。しかし、さすがは婿殿の手の者じゃ。5日でこの城を作るとはのぉ。」
父に、呼ばれ、まだ名も無き城の櫓の一つに登らされる。
「よし、これで兵站の心配もないな。藤三郎の策略通りだな。」
「左様にございますな、父上。」
「お主の臣下のものが1人増えているようだが?」
「工藤千代丸のことにございますか?」
「千代丸というのか。工藤氏と言えば、工藤氏の末裔か?」
ふっふっふっ、そうだ。吉川氏は工藤氏の流れを組む一族。千法師が、工藤氏を名乗ってもおかしくは無い。吉川興経の廃嫡の裏には、義隆が関わっていたから、バレないようにせねばな。故に工藤氏を名乗らせ、千代丸と名を改めさせた。
「その通りにございます。千代丸は正真正銘藤原為景公の末裔にございます。」
「安芸の工藤氏であろう?」
ん!?もしやばれたか!?わりぃ千代丸。雇って早々お前死ぬかも。
「その藤三郎の反応であれば、あのの一族の者で間違えないようだな。よい。強き味方を得たことと、篭城できるほどの城を5日で作った藤三郎の功績に免じて、吉川千法師の事は兵部卿様には黙っておこう。工藤千代丸と名を変えておるなら兵部卿様のお目にも届かぬであろう。」
よ、良かった〜。
良かったね、千代丸(千法師)^_−☆
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