105話、筑後十五大身
ーーーーー筑後国・陶氏陣所ーーーーー
「されど、悩みどころじゃな。筆頭が大友につくとなると、それに続く十五大身も敵方になろう。」
「ならばしょうがありませぬな。」
「しょうがありませぬなではない、源太郎!なんのためにお前を連れてきているか分からなかろう!」
「お言葉にございますがそもそも殿が蒲池様の心を掴めなかったのに問題がございますぞ。交渉は相手を騙す気持ちでなされ。」
「源太郎殿のもうされる通りにございます。殿はお心が広すぎる。あの時、もう少し圧をかけた方がよろしかったのでは?」
「弥左衛門まで何を言う!!」
なんで家臣にダメ出しをされないとならないんだ。しかもこれは義父のせいだ。あの人が義が〜とか言うから俺も乗せられたんだ。こんな時にも限らず、尼子さんは槍を振るってる。才蔵と鹿之介に手を解きをしてくれるのは嬉しいのだが、お前も副使の1人として九州まで来てることを理解しろ。その家臣の主水とその手下はたちは奴らは奴らで尼子さんの宿で寝てるらしいし。まぁ、義父の護衛という名目らしい。そう言えば小猿はどこだろう?
「そもそも何か手を打つべきなのでございます。そのような有様では、出雲国守護代から降ろされますぞ?」
「無礼者!!何やつじゃ!!!」
なんだ?外が騒がしいな?この声は陣所外の守りを固めさせている左馬だ。
「出雲様!!みずほらしい身なりをしたものが1人!!!」
外からうるさいな。
「あいわかった。されど気になる。出よう。五助脇を固めよ。」
「ははっ!」
なんだ?刺客か?しかしこちらには豪傑湯浅五助と尼子左衛門大夫が控える。さらには、笹の才蔵になるであろう人物と七難八苦鹿之介かもしれない子供もいる。どんな刺客であろうとも俺に指一本触れさせない。しかも弥左衛門も俺の右を固めてくれている。あら?源太郎は?まぁ、あいつはいい。
「無礼者なんて失礼だなー。逆にあんたが誰だよ。おいらは陶家家臣忍衆下柘植小猿だよ。さぁ、おいらが名乗ったんだからあんたも名を名乗りな。」
「おぉ!小猿殿帰られたか。あの件はどうなった?」
「その前に源太郎さん?」
「そうであったな。」
源太郎が猿面の少年に銭を手渡す。こいつらギブアンドテイクの関係だったの?てか小猿は俺の家臣、、とは言えないのか。しかも家中の中でのことだし。
「失礼仕った。先日より出雲介様に仕えることとなり申した、蒲池左馬にござる。小猿殿でござったな。以後お見知り置きを。」
「はぁ、全く失礼しちゃうぜ。この服装だって目立たないように流民に紛れてたんだぜ?おいらは歴とした士分なのによ。」
「して、源太郎、小猿。2人で何をしてあった?」
「それはその手紙にある通りにございますな。」
「怪しい。お前がよめ。」
「"会って話を"と。」
「その差し出し人はどこの誰だ?」
「高橋三河守様にございまする。」




