夢浮橋③
熱い奔流にも似た余韻が、まだ体の奥に残っていた。
二人は抱き合ったまま衾に崩れ落ち、光る君は、汗に濡れた紫の上の髪を指先で梳く。
「紫……もう、二度と離さない。
この身体が、あなたを覚えてしまった」
囁きは熱を帯び、紫の上の耳元を震わせた。
「あ……そこは……だめ……もう、私……」
「……まだ、終わりじゃないよ」
その吐息は震え、喉の奥で甘く溶ける。
光る君が再び紫の上を抱き寄せると、重なった体をゆっくりと揺らすたびに、さきほどの余韻がふたたび目を覚まし、紫の上の細い身体が小さく震えた。
声はもう掠れ、涙と一緒に零れても、光る君はすぐには腕の力を緩めない。
奥の柔らかな場所を、優しく、しかし執拗に確かめるように抱きしめるたび、
紫の上の内側に、きゅん、きゅんと波紋のような震えが広がり、彼を離すまいとするように感じられる。
溢れた熱は、結んだ縁の証であるかのように、二人のあいだに静かに残り、
褥には、重ねた時間の気配だけが淡く染みて行く。
光る君は片手で彼女の胸を包み、頂を親指で円を描くように撫でると、
硬く尖った桜色が、触れられるたびに切なげに震える。
そして口を寄せ、舌先でそっと転がし、軽く歯を触れさせた。
「んっ……!」
紫の上が喉を反らせ、甘い悲鳴を漏らす。
同時に、重なった下の方でも、光る君はわずかに姿勢を変えて、いっそう深く抱き寄せた。
体のいちばん奥に届く想いを重ねるような感覚が走るたび、
紫の上の全身が電流でも走ったかのように跳ね、
内側の熱が波打って、彼の存在をしがみつくように受け止める。
それは、決して拒まない、最も純粋な愛の反応だった。
「もう……おかしくなる……あなたの中で、溶けそうだ……」
「あなた……私……もうっ……んっ……」
涙声で訴える紫の上の唇を、光る君は自分の唇で塞ぐ。
舌を絡め、唾液さえ分け合うほど深く唇を重ねながら、
重ねる動きは速く、深く、容赦なく、二人だけの世界を築いて行く。
褥の中で肌と肌がぶつかり合う湿った音が、次第に部屋中へと満ちて行く。
汗と熱が混じり合い、二人だけの甘い響きを立てるなか、
再び紫の上の体が、張り詰めた糸を切るように震えた。
奥底から押し寄せる波に飲み込まれ、彼女はすべての声を奪われ、ただ身を震わせるばかりになる。
その震えに引き寄せられるように、光る君もまた限界を迎え、
最後に強く抱き寄せると、全身を貫くような熱に身を委ねた。
二人は同時に息を吐き、汗にまみれたまま崩れ落ちた。
光る君は彼女を抱きしめたまま、額に、瞼に、唇に、そっと口づけを重ねて行く。
「まだ、足りない。紫、あなたを、朝まで離せそうにない」
「はい、もっとあなたでいっぱい……」
掠れた声で囁くと、紫の上は涙を浮かべたままうなずき、
震える手で彼の背中を抱き寄せる。
その夜、二人は何度も何度も体を寄せ合い、
汗と涙と笑みを交えながら、過去も未来も忘れて、ただ互いのぬくもりを確かめ続けた。
紫の上は、ただ、涙と笑みで頷き、再び唇を重ねます。
夜はまだ深く、二人の甘い吐息は、誰にも届かないまま、
朝を待たずに何度も何度も繰り返されるのです。
それは、運命を越えた二人の愛の祝祭でした。
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