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【完結】源氏物語溺愛逆行絵巻―紫の上を失った光る君は、もう一度春へ戻る―  作者: 木風
第十四帖 藤裏葉

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藤裏葉③

「紫。不安になる必要なんて、一つもないよ。

不安になる隙がないくらい……

今日も、明日も、その先も、ずっと愛すから」

「あなた……」


その呼び名の響きに、光る君は一瞬息を呑み、歓喜と独占欲が入り混じったように腕に力がこもるのです。


「あぁ……だめだ。本当に、その呼び方に弱いんだ」

「や、やめて。そんなこと言われたら……恥ずかしくて……」

「恥ずかしがる紫の『あなた』が……俺は一番好きだから」


紫の上は耐えきれず、光る君の胸元へそっと顔を埋める。


「そんなふうに言うと……胸が苦しくて……

息ができなくなりそう……」

「紫、それは反則だよ。その甘い声で誘うと……

本当に抱いてしまいたくなる」


耳元で落とされる熱い吐息。

そのまま光る君は紫の上を軽く抱き上げ、衾のしつらえられた寝所へと横たえた。


紫の上は小さく震え、けれど愛に満ちた不安と期待が胸に満ちる。


「……あなたが……そうしたいなら……」

「それは……すごい殺し文句だな……」


光る君は紫の上の頬を両手で包み、そのまま深く、魂を重ねるような甘い口づけを落とした。


薄闇が深まり、愛の影がお互いの肌に溶けていく。


「紫……愛しい人」

「……あなた……」


囁きがほどけ、呼吸が重なり、夜の闇はふたりをそっと包み込む。


こうして、

正式な夫婦として迎える三日籠り・三日目の夜は、控えめな光と濃い愛の気配の中で、静かに始まっていくのだった。




三日籠りが明けた翌朝。

夜の静けさの名残をとどめた薄霜が庭に降り、光る君は、

妻となった紫の上を女房に預けると、ゆっくりと歩いて内裏へ向かった。


「光る君、三日も邸を離れられなかったとは……

新婚とはいえ、ずいぶん熱心なことだ」


帝はあきれ半分、興味半分の微笑を浮かべる。

光る君は初夜の余韻と恥じらいを胸に押し込み、深く頭を下げた。


「はい。幼き日より私の側にあった紫を……

この度、『北の方』として正式に迎えました。

三夜、共に過ごし、今後も妻として大切にいたします」


帝はしばらく沈黙し、見透かすように静かに目を細める。


「……あの娘は、幼い頃からあなたに懐いていたな。

苦しい時でさえ、あなたの傍を離れなかった。

あなたがようやく、自らの立場と、人の心を正しく扱えるようになったこと……嬉しく思う」

「……ありがたきお言葉にございます」


光る君は、帝の言葉の中に、若き日の奔放さへの諫めと、

現在の愛への祝福を感じとり、胸の奥がじんと熱くなる。


その時、静かな気配が御簾の向こうから漂った。

香が揺れ、忘れるはずのない、清らかな香りが近づいてくる。


藤壺の宮の御方——


「……光る君、おめでとうございます」


御簾の内に立つ藤壺の宮は、静謐で、どこか母性の影を帯びているようです。

光る君は自然と姿勢を正し、初恋の残滓を断ち切るように深く頭を垂れる。


「藤壺の宮様……ご祝辞、恐れ入ります」

「どうか……幸せにしてあげてくださいね」

「……必ず。この命に代えても」


藤壺の宮の眼差しは、慈しみと静かな赦しを湛えていた。

沈黙が落ちる。その沈黙自体が、祝福であり、別れであり、

昇華であった。


——公の場で、藤壺の宮から祝福される日が来るとは。


光る君は胸の奥が静かに震えるのを感じた。

初恋の痛み、後悔、背徳。

そのすべてを知っている人の口から放たれる祝福。


ああ……やっとだ。

俺は過ちを繰り返さない未来を、選び直したのだ。


藤壺の宮は、光る君がかつて抱いていた感情のすべてを知っていただろう。

だが——今の光る君の瞳の奥にある『紫への真の愛』は、

それとは根本から違う。

彼女は、その変化を確かに見取り、赦し、祝福の形で返してくれた。


それは光る君にとって、過去の罪を清め、正しい道へ足を踏み入れたという何よりの証であったのです。


——あれほど深く、忘れがたかった初恋。

叶わない初恋ほど苦しいものはないと思っていた。


だが、成就しなくても……

その終わりが、こんなにも清らかで、温かく、幸福なものになるとは。


こうして光る君の藤壺の宮への初恋は、静かに、清らかに幕を閉じたのだった。


彼の胸にはただ一人——

紫の上だけが、揺るぎない真の愛として残されたのです。

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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