少女③
藤の花の香が満ちる静かな夜。
灯りのゆらぎは広々とした褥に、寄り添い始めた二人の影を静かに落としていた。
紫の上は、畳んだ膝の上で指を絡めたまま、ひと息吸うごとに胸元がかすかに震える。
衣の下で高鳴る鼓動が、隠そうとしても隠しきれないのです。
光る君は、その身の内から湧き出る震えを、決して見逃さずに見ていました。
彼の目の奥には、すべてを包み込むような静けさと、抑えきれない激しい愛の熱が入り混じっています。
「紫。……そんなに、震えて」
「……その、おにいさまが、あまりにも近いから……」
「近すぎる? じゃあ、離れようか?」
「! だめ……離れないで……離れてほしくない……」
光る君は、自らの理性が保てぬ距離へと、ゆっくりと紫の上の輪郭へ顔を寄せ、
わずかに唇が触れるか触れないかの距離で、熱を帯びた息と共に囁きました。
「……嫌じゃないんだね。
こんなにも素直に震えて、逃げようともしない。
俺が望むなら——全部、受け入れるつもりなのに」
「……逃げられないわ……おにいさまが……あまりにも優しすぎて……」
肩がぴくりと跳ね、細い指先が着物の端をぎゅっと握る。
その一つひとつの反応が、光る君の全身へ甘い衝撃を落とし、
血潮が熱を帯び、呼吸が深く、荒くなる。
灯りは薄く、几帳の隙間から流れ込む夜の風が、藤の花の、
甘く香る匂いを揺らしていました。
紫の上は羞恥に頬を染め、震える指先を必死に隠そうとするが——
光る君はその抵抗さえ愛おしくてたまらない。
彼女の呼吸は浅く、胸元はわずかに上下し、白く細い首筋には、微かな汗の粒が、宝石のように光っています。
「……紫。そんなに緊張しなくてもいいよ。
俺があなたを導くから」
「おにいさまに触れられると……すべてが熱くなって……
どうしたらいいのかわからなくなるの……」
弱く、吐息のように震える声。
それは『怖い』という、かつての拒絶ではなく、
『愛する人を求めてしまう自分』への、熱い戸惑い。
声が近づくたび、肩が跳ね、胸元が震える。
その反応が甘すぎて、光る君の奥底の理性が危うく揺らぐ。
「紫。熱も、戸惑いも……全部、俺を求めている証だ。
隠すことなんて、しなくていい」
その情熱的な一言だけで、紫の上の頬が真っ赤な紅に染まり、
指先がきゅっと着物の端を握りしめました。
光る君は、逃げられぬ愛の結界を張るように、ゆっくりと、
耳元で熱が落ちるように囁きます。
「……大丈夫。すべて、俺が教えていく」
紫の上は、抗えない熱に胸が乱れ、呼吸が白くほどける。
光る君の指が胸元へ触れ、衣の合わせ目にかすかに触れるたび——
さらり、と絹の布が肌から滑れる静かな音だけが、部屋に長く落ちる。
露わになった白い喉元は、灯りに照らされて淡く滲み、
紫の上はその場から動けぬまま、ただ光る君の気配に溶けていったのです。
「……おにいさま、恥ずかしい……見ないで……」
「恥ずかしいことなんて何一つないよ。
ずっと、見たかった」
迷いの欠片もない声。
紫の上は、羞恥で目を伏せたまま震え、視線を合わせられずに頬を染め、
光る君の指が顎をそっとすくうと、一瞬逃げるように顔を背けました。
「……そんなに、俺から目を逸らすの?」
低く、甘い、懇願するような声に、肩が再び震える。
光る君は、彼女の唇を赦しもなく口づけてきました。
最初は触れるだけの柔らかさ。
けれど紫の上が驚きと、熱に誘われ息を吸い込んだ瞬間、
光る君の手が後頭部にまわり、唇を深く、貪るように奪われました。
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