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【完結】源氏物語溺愛逆行絵巻―紫の上を失った光る君は、もう一度春へ戻る―  作者: 木風
第十二帖 少女

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少女②

「……はぁぁぁぁ……よかった。本当に、よかった……」

「おにいさま!?」

「断られたら……今度こそ、生きていけないと思った……」

「だめ……そんなこと言わないで……!」


たったそれだけで、紫の上は不安で目を潤ませ、光る君の胸にすがるように抱きつく。

細い身体の重みと温もりを胸に感じながら、光る君は、その頭に指を絡めるように撫で、目元へそっと唇を落とした。


「大丈夫。紫。二度とあなたを一人にしない。

この命にかけて、約束する」

「本当……?」

「もちろん。永遠に。ずっと一緒に」


あぁ。

なんと眩しい笑顔だろう。

満開の花のように輝くその表情こそ、紫の上の真の美しさがより際立つのに。

過去の己はどうして、その姿を見ようとしなかったのか。

病の儚さを美しいなどと、なぜ思い込んでいたのか。


紫の上を抱きしめながら、光る君は、ようやく自分自身の愚かさから解放されていく。


そして、紫の命の温もりを胸いっぱいに抱き締めながら、

愛しい未来の道標を手にした安堵の中、二人は静かに、同じ温もりを分け合いながら眠りへと落ちていったのです。




藤の房が、柔らかな春の風に揺れるたび、夜露を含んだほのかな香が庭一面を包み込む。

その香は、北山の麓で初めて紫の上と出会ったあの日——

運命の糸が静かに結ばれた瞬間の、忘れがたい風の匂いを思い起こさせた。


「……紫。やっと、十八の春を迎えてくれたね」


帝・桐壺院より正式に下賜された牛車が、今日のためだけに清められた簀子の前に音もなく止まる。

薄紫の几帳越しに見える光る君は、威厳をまといながらも、

どうしようもなく優しく、愛に満ちた眼差しでそっと手を差し伸べた。


「迎えに来たよ。

今日この瞬間から、あなたは——俺の『北の方』だ」


紫の上の胸が、小鳥のようにふるりと震えた。

熱にうなされながら願い続け、魂の奥底で渇望し続けた、

長い長い祈りが、ようやく結実する日。


「……おにいさま。本当に……私が……?」

「本当に、だよ。あなたが望むものは、すべて——

俺がこれからあなただけに捧げるよ」


声音は柔らかいが、その奥にひと欠片の迷いもない。

六条(ろくじょうの)御息所(みやすどころ)の祟りと紫の上の告白によって、光る君はようやく『奪うだけの愛』を捨てたのです。


紫の上の小さく華奢な手が、そっと光る君の掌に触れる。

触れた瞬間、世界から守るように大切に包み込まれ、その頬が藤の花よりも深く紅に染まる。

その横顔が美しすぎて、光る君は呼吸すら忘れてしまうほど見惚れた。


牛車が恭しく進むと、屋敷中の女房たちの息を呑むささやきが聞こえる。


「まあ……あの光る君が……」

「ついに正式に北の方を……」


だが光る君は、世間のざわめきなど一切気に留めない。

ただ、隣に座る紫の上の指先を、愛の証のようにそっと握り続けた。


「寒くない?今宵は風が冷える」

「……大丈夫。おにいさまの側ですもの」


藤の房のように、紫の上の心がゆっくりほころんでいく。

厳かな参入の儀が終わり、寝所へと入ると、光る君は自らの手で、紫の上の長く美しい髪に櫛を通した。


「……美しいな。あの日の藤の花のように。

そして——十八のあなたは、こんなにも」

「おにいさま……そんなふうに見つめられたら……

緊張してしまいます……」


紫の上の瞳がゆっくりと雫で満ちる。

涙は悲しみではなく、長く願い続けた幸福が溢れ出す証だったのです。

光る君はその肩ごとそっと抱き寄せ、額に、頬に、運命をそっと包むように口づけを落とす。


「紫。どうか信じてほしい。

俺は今日、この魂すべてをあなたに捧ぐと誓う」

「……はい。私も……生涯の愛を、お捧げします」


紫の上は、胸の奥から熱が噴き出すようにあふれ、そっと光る君の胸に顔をうずめた。

藤の香が満ちる春の夜、過去の痛みも、祟りも、忌まわしい未来もすべて越えて——


二人の『新しい生』が、永遠の契りと共に静かに幕を開けたのです。

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よろしくお願いします( *・ㅅ・)*_ _))ペコ

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