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執事は苦労が絶えません。
眠そうな、ぼーっとした女の使用人を見かけると、前夜のお茶のお運び係か、と連想する。
その姿が無性に苛つき、あえてその少女にちょっとした‥‥確か、花瓶を取り替えるとか、そういったことを指示したことがある。
しかし、その少女は渋り、言いつけたことになかなか取りかかろうとしない。
叱責すると、少女は一瞬身を縮こませ、次の瞬間には得意そうな顔で「昨夜、あまり眠れなかったので」と言い訳した。
挑戦的な瞳を睨み返し、きつく言ってやろうと立ち上がると、部屋に執事が飛んできた。
すぐさま、他の使用人が仕事を代わった。
「彼女は体調が悪いようなので、休ませました。申し訳ございません。」
執事に頭を下げられたが、彼にそんなことをして欲しかったわけではない。




