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なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~(゜ロ゜;ノ)ノ あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第8章 超戦士たちの邂逅編

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8 勇者ギルドの策動

「せっかくのお誘いですけど……天軍に入るとか、勇者になるとか、俺はそんな大それた存在にはなれそうにありません」


 俺は首を左右に振った。


 ちょっと前までは最底辺の冒険者だったんだ。

 SSSランクまで上がったのも夢みたいな話だけど、神に選ばれた存在──みたいな話になってくると、もはや何がなんだか。


 俺はもうちょっと分相応な生き方をしたい。

 それに──。




『なんだか、随分と遠い人になってしまった気がするのです』




 先日の、キャロルの言葉が脳裏をよぎる。




『マグナさんが英雄になっても──ときどきは、こうやって穏やかな時間を過ごしたいのです』




 そうだな、キャロル。

 俺も同じ気持ちだ。


 たとえ、以前とは違う力を手に入れても。

 たとえ、スキルの力で英雄的な功績を上げても。


 そして、こんな大それた勧誘を受けても──。

 俺は俺、マグナ・クラウドだ。

 だから。


「俺は、これからも冒険者として生きていきたいので」

「な、何、本当に断る気か!?」

「歴史に名を残す存在になれるのだぞ?」

「冒険者などといういかがわしい職業とは違う」

「聖なる戦士として、永遠に君の名前は残る──」


 モノリス群が激しく明滅していた。

 上層部の動揺を表すように。


「いや、気に入ってるので。冒険者生活」


 俺はそっけなく言った。

 それに──冒険者を勇者より下に見るような発言は好きじゃない。


「用件がそれだけなら俺は失礼します」


 言って、部屋を後にした。


    ※


 マグナが去った後、勇者ギルドの上層部メンバーは意見を交わしていた。


「あっさりと断るとは」

「簡単には、我らの手駒にならぬか」

「欲がないというか、なんというか」

「いずれにせよ、あの者にはさらなる戦いを経験させる必要がある」

「因果律の外に在る力──あの【虚空の封環(ブラックホール)】もまだ成長の余地がある」

「ならば、より過酷な戦場にあの者を送りこむとしよう」

「だが、あの者が我らの言葉に素直に従うか?」

「欲で動かないなら、情で動かせばよい」

「情に訴えかける……か」

「ふむ、よいかもしれんな」


 十のモノリスは次々に明滅し、次の策を練る──。


    ※


大聖堂(カテドラル)』を出た俺は、近くで待機していたキャロルやエルザのところに戻った。


「マグナさんが最上級の勇者に……?」

「しかも断ったの?」

「いやー、俺には分不相応だと思って」


 驚いたようなキャロルとエルザに、俺は苦笑を返した。


「あれ? エルザの奇蹟兵装ってそんなデザインだったか?」


 彼女の持っている盾が、以前と違うことに気付いた。


 エルザの奇蹟兵装『スヴェル』は白い六角形の盾だ。

 だけど今、彼女が背負っているのは黄金に輝く八角形の盾だった。


「ああ、これ? さっきギルドから新しく授けられたのよ」


 エルザは縦ロールの金髪を、ふぁさっ、とかき上げた。

 ドヤ顔全開だ。


「どうやら私の『心の力』が以前より上がっていたらしくて、もっと上位の奇蹟兵装を扱えるようになっていたの」


 言って、新しい盾を掲げる。


主天使(ドミニオン)級奇蹟兵装『アイギス』。以前の第九階位から一気に第四階位までランクアップよ! おーっほっほっほ!」


 と、高笑い交じりに説明する。


「へえ、よかったな。エルザ」

「あたしはさっきも一度言いましたけど、あらためて──おめでとうなのです」

「ありがとう、二人とも」


 俺たちの祝福に、エルザははにかんだ笑みを浮かべた。

 と、


「少しよろしいですか、マグナ・クラウドさん」


 突然、背後から声をかけられた。

 ギクッとして振り返る。


 直前までなんの気配もなかったっていうのに──。

 まるで風のように現れたのは、一人の青年だ。


 年齢は二十代後半だろうか。

 つばの広い帽子の下には、柔和な顔立ち。

 華奢な体つきには草色の衣。

 背中には長い弓を背負っている。


「お前は……?」

「お初にお目にかかります。わたくし、『風』の四天聖剣(セイクリッドエッジ)セルジュ・ティノドーラと申します。以後お見知りおきを」


 青年は丁寧な仕草で俺たちに一礼した。


「四天聖剣──」


 エルザが息を飲むのが分かった。


 それは、最強と呼ばれる四人の勇者たちのことだ。


「勇者ギルドの上層部からのお達しで、あなたに会いに来ました。協力していただきたい任務があります、マグナさん」


 セルジュが恭しい口調で頭を下げた。

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