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なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~(゜ロ゜;ノ)ノ あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第8章 超戦士たちの邂逅編

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6 混戦、そして

今回まで魔族ルネ視点、次回からマグナ視点に戻ります。

「剣術のパターンが突然変化した……!?」


 リオネスが戸惑いと驚きの入り混じった表情でつぶやく。


「へっ、強い奴と戦い、その戦いを覚えて──俺はもっと強くなる」


 ルネはニヤリと笑った。


 ゾッとするような恐怖感と。

 ゾクゾクするような高揚感と。


 その狭間で──。


 ルネは右手に大剣を、左手にナイフを構え、リオネスとの距離を詰める。


「まだあがく気か」


 最強の勇者は大剣を手に、同じく距離を詰めてきた。


「諦めろ。お前では私に勝てん」

「ぬかせ! これくらいで心折れるかよ!」


 ルネはますます闘志を燃え立たせた。

 そのとき、


「だーかーらー、僕を忘れちゃ困るってば!」


 怒りの声とともに、横合いから無数の触手が殺到する。


 ラグディアだった。


 痩せた顔にニヤリとした笑みを浮かべ、背中から生えた触手を振り回している。


「何っ……!?」


 ルネは表情をこわばらせた。


 完全な不意打ちだ。

 しかもリオネス相手に全神経を集中していた最中だけに、迎撃態勢を取ることなどできるはずもない。


「ふざけやがって……」


 こちらに向かってくる触手は全部で三本。

 いずれも甲殻類の脚を思わせる、硬質なフォルムをしている。


「速い──」


 大気を切り裂きながら、無数の関節を複雑にひねり、予想外の角度から襲いかかる。


「ぐあっ……!?」


 ルネはひとたまりもなく三本の触手に腕と脚、胸を切り裂かれた。

 そのまま吹き飛ばされ、地面に激しく叩きつけられる。


「スキル【海破障壁(リアクトアクア)】」


 一方のリオネスは奇蹟兵装のスキルを発動し、触手を防いでいた。


「へえ、完全に不意を突いたつもりだったんだけど……やるねぇ」

「あいにく、私はお前を常に注視していた。ダークブレイダーごときの相手など、片手間で十分」


 平然と告げる最強勇者。


「……今はまだ、な」

「僕との勝負なら片手間では無理だよ」

「だろうな」


 リオネスとラグディアが十数メートルの距離を置いて対峙する。

 互いの放つプレッシャーがぶつかり合い、見えない火花が散っていた。


(ちっ、俺は問題外ってわけかよ)


 二人の超戦士を横目に、ルネは内心で舌打ちした。

 悔しいが、確かに彼らと自分の間には大きな実力の隔たりがある。


(だが、可能性はつかんだ)


 最後の攻防で繰り出した、とっさの二刀流。

 見様見真似だけに、とても実戦で使えるレベルではないが、しかし──。


(いずれ、必ず)


 と、


「大丈夫ですか、ルネ様」


 駆け寄ってきたのはミジャスだ。


「『ラージヒール』」


 治癒呪術で彼の傷を治してくれた。


「……ふうっ」


 ルネは息をついて立ち上がった。

 さすがにミジャスの治癒の腕は確かで、すっかり全快していた。


「もはやラグディアは手に負えません。ですが、彼の戦闘力は予想以上に高いようです。リオネス相手にもある程度戦えるかもしれませんね」


 言って、ミジャスは周囲を見回した。

 切れ長の瞳に妖しい光が浮かぶ。


「私に捕まっていてください」

「何?」

「早く」


 促され、理由が分からないながらも彼女の腰に手を回すルネ。


「ふふ、殿方とこれだけ密着するとドキドキしますね」

「……戦場で冗談言ってる場合か」

「あら、冗談のつもりはありませんよ?」


 艶然と微笑むミジャス。


「で、何をするつもりなんだ」

「あら、つれないですね」


 ミジャスは笑みを深くして、視線を背後に移した。


 そこにいるのは三人の男女。


 双子勇者のアイラとキーラ、そして──。

 もう一人は見慣れない女勇者だ。

 艶やかな黒髪の美女で、顔の下半分をヴェールで覆い隠している。


「彼女には利用価値があります。リオネスがラグディアに気を取られているのは、計算外の好機──この隙に連れて帰りましょう」


 ミジャスが言った。


「あなたは双子勇者の迎撃を」

「なんだかよく分からないが、分かった」


 うなずくと同時に、


 ぐんっ!


 いきなりミジャスがすさまじいスピードで前進した。


 移動用の呪術なのか。

 まさしく風のようなスピードであっという間に三人の勇者たちの元へと肉薄する。


「っ!?」


 アイラたちが驚いた顔でこちらを振り向いた。


「遅い──」


 微笑んだミジャスが手を伸ばす。


 黒髪の女勇者を脇から抱えるようにして、さらに直進する。

 どうやらミジャスの狙いは、最初から彼女だったらしい。


「ま、待て……っ!」


 虚を衝かれたらしい双子勇者は、すぐに追ってきた。


「ルネ様!」

「ちっ」


 舌打ちまじりに、ルネは手持ちのナイフをすべて投げつけた。

 もちろん、こんなものでアイラたちは倒せないが、牽制にはなる。


 その間に、ルネたち三人は戦場から離脱した。

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