15 クエスト終了
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スキルレベルアップ。
【虚空の封環】がLV71に上がりました。
【虚空の封環】がLV72に上がりました。
(中略)
【虚空の封環】がLV80に上がりました。
【虚空の領域・第三の扉】の開閉が可能になりました。
扉を開きますか? YES/NO
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ん、どうしてレベルが上がったんだ?
土の王を倒したのはベルデなんだけど……?
首をかしげたところで、ハッと気づいた。
「あ、そうか。隕石を吸いこんだほうの経験値か」
今回の戦いでは随分とスキルレベルが上がったな……。
領域内部にいる【レベルアップ評価チーム】が決めていることなんだろうけど、基準はあいかわらず謎だ。
「【虚空の領域】の第三層にも行けるようになったのか」
けど、今すぐ行く必要もないかな。
「『NO』だ。今回は領域には行かない」
「えっ? もしかして、またスキルの中に入っちゃう感じなの?」
シャーリーがたずねた。
スキルの説明メッセージは俺にしか見えないのだ。
「ああ。でも、今回はやめておくよ」
俺はシャーリーに答えた。
「まだ他にも神の兵器が出てこないとも限らないし」
「……そっか。二人っきりになるチャンスなのに」
ぽつりとつぶやくシャーリー。
「えっ」
「あ、ううん。なんでもないの」
言いながら、彼女の顔は赤くなっていた。
「マグナくんの言うとおりよね。敵に備えて万全の体勢を取らないと。うん、二人っきりとかそういうのは後……二人っきりとか……二人っきりとか……うう……」
なぜか涙目でつぶやいている。
よく分からないけど──。
いったん、みんなの元に戻ろう。
──その後、空間震動現象は無事に収まった。
雷の王に氷の王、そして土の王──三体以外には『天想機王』が現れることはなかった。
ギルドやクルーガーの探知では、とりあえず空間震動現象は当面、これ以上起きる心配はなさそうだということだ。
で、集結したSSSランク冒険者たちも解散ということになった。
「今回は助けられたな、Sランク」
クルーガーが俺に頭を下げる。
「……いや、マグナ・クラウド。初対面のときに失礼なことを言って悪かった。俺の目が節穴だったみたいだ」
「いいよ、そんなの」
「あんたの力ならすぐにSSSまで上がってくるだろう。また一緒にクエストをこなすときはよろしくな」
ニヤリと笑って右手を差し出すクルーガー。
「こちらこそ」
握り返した手は武骨で、まるで戦士みたいで。
そして──温かかった。
「じゃあ、俺は行く。またな」
クルーガーが去ると、
「ボクたちも行くね。マグナくん、またどこかで会おうねっ」
「みなさん、お元気で。それではまた~」
レイアとアンもそれぞれ去っていく。
「ワシも次のクエストがもう入っておるからな。そろそろ出立するかのう。マグナくんも達者でな」
「同じく。私も次のクエストのために移動する。それでは」
ブルムさんやブリジットも立ち去った。
さすがにSSSランク冒険者はみんな忙しいんだな。
これだけのクエストをこなした後でも、休む間もないのか……。
「あたしも騎士団の方でいろいろと事後処理があるから」
と、シャーリー。
「みんな、ありがとう。今度はクエストじゃなく、普通に遊びに来てね」
「ああ、いずれな」
「じゃあね。マグナくん。キャロルさんやエルザさんも」
言って、シャーリーは天馬に乗って翔けていった。
残されたのは俺とキャロル、エルザだけだ。
「俺たちも帰るか。アルトタウンに」
「なのです」
「お疲れさま、マグナ」
「二人もな。二度の空間震動で怪我した人の手当てとか、がんばってたって聞いたぞ」
そう、二人は救護所でずっと働きづめだったのだ。
前線に出て戦った俺たちだけが、今回のクエストの貢献者じゃない。
キャロルやエルザ、天馬騎士団の人たちや、その他にも大勢の人たちががんばったと聞いている。
一歩間違えば、大災害になっていたかもしれない空間震動現象を──。
みんなで凌ぎ、食い止め、なんとか最小限の被害にとどめることができたんだ、と思う。
「これでクエストも無事終了だな」
やり遂げたという達成感と、そして安堵感。
俺たちは懐かしのアルトタウンへの帰途についた──。
次回から第8章「超戦士たちの邂逅編」になります。
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