表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
65/168

4 VS雷の王

 前方では、ヴルムさんと雷の王の戦いが続いていた。


「どうした、人間よ。汝の戦闘力を見せてみよ」


 黄金の鳥型兵器が両翼から稲妻を降らせ続ける。

 ひたすら攻撃の手数で圧倒する戦術か。


「ひゅうっ……ぅぅぅっ……!」


 ヴルムさんは細い気を断続的に吐き出し、身体能力を連続で加速。

 斬撃で空気の断層を作り、雷を防ぎつつ、後退する。


「逃げても無駄だ」


 羽ばたき、老剣士の逃げ道を塞ぐように雷撃を放つ雷の王。

 完全に狙い撃ちにされていた。


 何せ相手は戦闘における絶対死角ともいえる、空中から好き放題に攻撃できるのだ。

 空を飛ぶ手段を持たないヴルムさんは、あまりにも不利な戦況だ。


 だけど──、


「逃げる? 違うな」


 ヴルムさんが、ふいにニヤリと笑った。


 そうか──。

 その意図を、俺はすぐに理解した。


 逃げているんじゃない。

 ヴルムさんは『誘導』しているんだ。


 俺たちがいる方向に、雷の王を。


 そうやって少しでも、俺のスキル射程に近づけようとしているんだろう。


「シャーリー!」

「分かっているわ。少しでも──一秒でも早く、敵のもとへ!」


 雷撃の爆風で乱れる気流の中、彼女は必死で天馬を操っている。


 さすがに騎士団長だけあって、その手綱さばきは一級だ。

 ほとんど揺らさず、天馬は衝撃風を切り裂くように翔けていく。


「むっ、新手か」


 雷の王は、接近する俺たちに気付いたようだ。


「だが、無駄だ。すべて撃ち落としてくれよう」


 放たれた雷が、俺たちに迫る。


 しゅおんっ……!


 俺が展開している【ブラックホール】が、それらをすべて吸いこんだ。


「むっ!? これは──」


 常に超然としていた雷の王が、初めて戸惑いの声をもらす。


 ふたたび放たれる雷。

 それも俺のスキルはすべて吸いこんだ。


 さらに数十、数百と放たれる雷が、黒い魔法陣の中に消えていく。

 たとえ神の兵器だろうと、【ブラックホール】の吸引防御は破れない。


「馬鹿な!? 人間ごときが、因果律の外に在る力を──運命をも超えた力を手にしているというのか──」


 雷の王が驚愕の声を上げた。


 その瞬間、射程圏内である500メートルまで接近できた。

 行け、【ブラックホール】──!


 しゅおんっ……!


「ば、馬鹿なぁぁぁぁぁぁっ……!」


 雷の王は黒い魔法陣の中に吸いこまれ、消えていった。




「……神の兵器もおかまいなしじゃな」

「あいかわらず規格外のスキルだ」


 こちらを見上げて呆れたような顔のヴルムさんと、小さく苦笑するブリジット。

 シャーリーが天馬を操り、俺たちを地上に下ろしてくれた。


「怪我はないですか、ヴルムさん」


 俺は老剣士に駆け寄る。


 甲冑のあちこちが焼け焦げ、体のあちこちに軽い火傷を負っていた。

 とはいえ、致命傷には程遠い感じだ。


 そのことにホッとする。


────────────────────

 スキルレベルアップ。

虚空の封環(ブラックホール)】がLV24に上がりました。

【虚空の封環】がLV25に上がりました。

        (中略)

【虚空の封環】がLV50に上がりました。


虚空の領域(ウォルドゥーム)・第二の扉】の開閉が可能になりました。

 扉を開きますか? YES/NO

────────────────────


「レベル上がりすぎだろ!?」


 俺は思わずツッコんでしまった。

 LV○○に上がりました、ってメッセージが多すぎるせいか途中が省略されている。


「ん、第二の扉?」


 虚空の領域って前にも行った【ブラックホール】内部だよな?

 興味はあるけど、今はもう一体のモンスターを倒すことが先決だ。


「『NO』で──」


 言いかけたところで、ふと気づく。

 黒い魔法陣のような形をした【ブラックホール】の中心部に、何かが浮かんでいる。


「あいつは──」


 黒い炎のような人影。

 しかも以前より姿が鮮明になっていた。


 炎に見えるのは、そいつが身にまとっているローブのようだ。

 一体、何者なんだろう。


 知りたい──。


────────────────────

 術者の意志を確認。

虚空の焔(ドゥームフレア)】との対面シークエンスを実行します。

────────────────────


「えっ?」


 嫌な予感がした。


────────────────────

 対面シークエンス実行のため、術者を【虚空の領域・第二層】に移送します。

────────────────────


「お、おい、これってまさか──」


 次の瞬間、魔法陣から突風が吹き荒れる。


「う、うわっ……!」


 まるで、風の鎖だ。

 俺はそれに絡め取られ、ものすごい力で引き寄せられる。

 さらに、


「きゃあっ!?」


 すぐ近くで聞こえる悲鳴。

 この声は、シャーリーか!?


 次の瞬間、俺はシャーリーとともに扉の向こう側へと吸いこまれていく──。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼書籍化作品です! タイトルクリックで小説ページに飛べます!▼

☆黒き剣帝 元最強のアラフォー全盛期を取り戻して無双ハーレム

▼ノベマ限定作品です。グラスト大賞に応募中! 応援していただけたら嬉しいです!▼

☆冴えないおっさん、竜王のうっかりミスでレベル1000になり、冒険者学校を成り上がり無双

なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~ (゜ロ゜;ノ)ノ
あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!

モンスター文庫様から2巻まで発売中です! 画像クリックで公式ページに飛びます
eyrj970tur8fniz5xf1gb03grwt_p5n_ya_1d3_y





ツギクルバナー

cont_access.php?citi_cont_id=314270952&s

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ