9 第一波終幕、そして──
後書きにちょっとしたお知らせがありますm(_ _)m
ぴろりーん。
いつものレベルアップのチャイムが聞こえた。
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スキルレベルアップ。
【虚空の封環】がLV21に上がりました。
【虚空の封環】がLV22に上がりました。
【虚空の封環】がLV23に上がりました。
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中空にメッセージが表示される。
瓦礫を吸いこみまくったり、尖塔を吸いこんだことでスキルレベルが上がったらしい。
「三つもレベルが上がったのか……」
別に強敵と戦った、とかじゃないんだが。
基準が謎だった。
と、
「避難はおおむね完了したわ。引き続き、呼び掛けるけど──当面は大丈夫じゃないかしら」
天馬に乗ったシャーリーが戻ってきた。
「キャロルさんは救護所で怪我人の治癒をしてくれているわ。エルザさんも手伝ってくれているの」
なるほど、キャロルの治癒能力はこんなときにも役立つな。
エルザがそれを手伝っているなら、俺も行こうかな。
「救護所には騎士団や治癒に長けた僧侶たちもいるし、マグナくんは周囲の警戒をしてもらったほうがいいんじゃないかしら」
シャーリーが言った。
「まだ空間震動が完全に収まったとはかぎらないし」
「なるほど」
それもそうだ。
「こっちは終わったぞ。とりあえず大きな怪我人はなしじゃ」
「今のは素晴らしい活躍だった、マグナ」
ヴルムさんとブリジットがこちらに来た。
さらに、
「君、すごいじゃない。ボクびっくりしちゃったよ」
「わたしの強化魔法、お役に立てたみたいですよかったです~」
女武闘家の『闘鬼拳』レイアと女僧侶の『蒼の聖女』アンもやって来た。
「アン……だったよな。さっきは助かった」
俺はアンに一礼した。
「えへへへ」
あどけない顔立ちに照れたような笑みを浮かべるアン。
まだ十一歳ということだけど、SSSランクになるだけあって、その能力は本物だ。
それを実感することができた。
「諸君、よくやってくれた」
ギルド支部長のバーンズさんが来て、俺たちをねぎらった。
「特にマグナくん、君の力には驚かされた。Sランクということだが、おそらく今回の活躍でSSランク昇格の動議があるだろう。私からも推薦させてもらう」
「どうも」
Sランクに上がったばっかりだっていうのに、次はSSか。
この分だと、そのうちSSSになったりして。
……俺がSSSランク、か。
さすがに現実感がなさすぎるな。
「ふん、意外と早く上ってきそうだな。俺たちの場所まで」
クルーガーがふんと鼻を鳴らした。
また頬を赤らめ、
「……べ、別に喜んでるわけでも、あんたを認めてるわけでもないからな。勘違いするなよ」
すっかりツンデレキャラになっていた。
──その後、クルーガーやギルドの観測で、空間震動現象が収まったことが確認された。
とはいえ、完全になくなったわけではなく、近いうちに第二波が来そうだということだ。
何かあればすぐに集まり、あるいは災害に対処してほしい──とギルドの指示を受けたうえで、いったん解散となった。
俺はキャロルやエルザとともに宿に来た。
「第二波は数日内には来そうだってさ。それまでここで待機だ」
「はいなのです」
「また、ああいうのが来るのね……」
と、キャロルとエルザ。
「それはそうと……マグナさん、大活躍だったと聞いたのです」
「救護所でも話題になっていたわよ」
「えっ、そうなのか」
二人の言葉に、なんだか面映ゆくなる。
「支部長からはSSランクに推薦するなんて言われたよ」
「すごいのです」
「おめでとう、マグナ」
「まだ決まったわけじゃないけどな。なんだかトントン拍子すぎて実感がわかないよ」
俺は苦笑した。
そして──三日後。
俺はふたたびギルドに呼ばれた。
空間震動第二波の前兆を感知したんだとか。
「よう、来たな。マグナ・クラウド」
会議室の前でクルーガーが挨拶してきた。
すでに、初めて会ったときのツンな態度はなくなっている。
「よろしく頼むぜ」
「ああ、こちらこそ」
この間のように建物に被害が出るなら、彼の風魔法は市民の救助に大きな力を発揮するだろう。
ヴルムさんやブリジット、レイアとアンも集まってきた。
「よく来てくれた、諸君」
支部長のバーンズさんが俺たちを見回し、一礼する。
「今回の現象は前のとは少し違うようだ」
「ああ、俺も感知していた。以前よりも魔力量がかなり高い」
と、クルーガー。
「単なる空間震動──天変地異だけでは終わらないかもしれない」
「……異空間から魔物の類が現れるかもしれん、ということかの?」
たずねたのはヴルムさんだ。
「それもあり得る。その場合、諸君らは救助活動ではなく戦闘に全力を尽くしてほしい。救助の方はレムフィールの僧侶たちや騎士団が担当する」
ちなみにキャロルとエルザもそちらに回ってくれていた。
今度は戦闘になるかもしれない──か。
どっちにせよ、俺が【ブラックホール】で全部片付けてやる。
決意を新たにしたそのとき、
おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!
獣の咆哮にも似た震動音が、周囲に響きわたった。
「来たか……!?」
俺たちは全員同時に席を立った。
空間震動、第二波襲来──。





