表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~(゜ロ゜;ノ)ノ あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第6章 SSSランク冒険者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/168

4 クエストに向けて

前半はマグナ視点、後半ルネ視点です。

 翌朝、俺たちはレムフィールに向けて出発することになった。

 アルトタウンに戻ったときと同様、俺とキャロル、エルザは馬車、シャーリーとブリジットは天馬で移動である。


 その出発場所で、


「いいなぁ、天馬に乗れて……うらやましいのです」


 キャロルがぽつりとつぶやいた。


「空を飛ぶのは気持ちいいものね」

「あれ? もしかしてエルザさんも天馬に乗ったことがあるのです?」

「私は実家にいたころに何度か遊覧飛行をしたことがあるの」


 と、エルザ。

 天馬で遊覧飛行するのってかなり高額なはずだけど、そういえば彼女は公爵令嬢だったっけ。


「マグナさんも以前に乗ってましたよね? あたしだけ……うう」


 キャロルが涙目で俺を見た。


 うっ、なんかすまん。


「じゃあ、今回はあなたが乗せてもらったらどうだ? 私はマグナやエルザとともに馬車で移動しよう」


 ブリジットが提案した。


「え、いいのですか?」

「あたしは構わないわよ」


 と、シャーリー。


「やったー!」


 キャロルは大喜びだった。

 狐耳としっぽが、ぴょこぴょこぴょこっ、とせわしなく動いている。


「みなさん、ありがとうございます、なのです」

「よかったな、キャロル」

「はいなのです!」


 俺の言葉に、嬉しそうにうなずくキャロル。


「では、お先に行ってくるのです。シャーリーさん、よろしくお願いしますね」

「ええ。振り落とされないようにしっかりつかまって」

「はいなのです」


 天馬に乗って、キャロルとシャーリーは空を翔けていった。


「じゃあ、道中よろしく頼む」


 俺とエルザはブリジットと馬車に同乗し、レムフィールに向かう。


「今さらだけど、SSSランク冒険者たちに俺が混じってもいいのかな?」


 客室内でブリジットにたずねる俺。


「あなたのランクはSだが、すでにレムフィールでの戦いは冒険者業界で広く知れ渡っている。昨日、支部長を通じて本部にも確認を取ってみたが、問題ないということだった」


 答えるブリジットはあいかわらず表情一つ変えず、クールだ。


「公式にはあくまでもクエストの参加人員はSSSランク限定で、あなたは予備戦力ということになるが──実質的には主力の一人という位置づけさ」

「主力……か」


 ちょっと前までは最底辺冒険者だった俺が、SSSランク限定のクエストで主力扱いとは。


「セイロードでも魔軍長を倒したんだし、おかしなことじゃないわよ」


 エルザが言った。


「魔軍長──魔王の腹心クラスか。しかも不死王(ロードアンデッド)ライゼルといえば、鳳炎帝(ギガフレイム)邪神官(プリースト)に次ぐ強さだと聞く。それを撃破したとは、大した戦績だよ」


 ブリジットはクールな表情はそのままだが、俺を見る視線には熱いものが宿っている。


「あなたのような冒険者とふたたび共闘できて光栄だよ、マグナ・クラウド」


 ……さっきから褒められっぱなしで、なんだか背中がむずがゆくなってきた。


    ※


(とんでもねぇプレッシャーだぜ、このジジイ……!)


 魔族ルネは、SSSランク冒険者ヴルムと対峙していた。


 小柄で飄々とした好々爺──そんな雰囲気からは信じられないほど強烈な威圧感が、まるで烈風のように吹きつけてくる。

 並の魔族なら、それだけで失神しかねないほどに。


(構えにもまるで隙がないな。どう攻めるか……)


 ルネは大剣を構え、思案する。


 ただでさえ勇者たちとの戦闘で消耗していることに加え、体調も万全とはほど遠い。

 だからといって、ここで見逃してもらえるほど甘い相手ではあるまい。


(守勢に回れば勝ち目はない──仕掛けるしかねぇ!)


 ルネは大剣を手にじりじりと間合いを詰めた。


 一息に駆け寄ることはしない。

 慎重に、一歩ずつ距離を詰めた。


 二刀流の──それも、おそらくは達人クラスとの実戦経験はない。

 性急に仕掛けるのは、ためらわれた。


「血気盛んかと思えば、意外と用心深いのう」


 ヴルムが笑う。


「なら、こちらからいくとしようか、の」


 どんっ!


 大地が、震えた。

 それがヴルムが地面を踏みしめた音だと気づいた刹那、


「速い──!?」


 すでに、老剣士は爆発的なスピードでルネの間合いに侵入している。


 繰り出された右の初撃を、跳ね上げた大剣でかろうじてさばく。

 続けざまに放たれた左の二撃目を、刃を返した大剣でなんとか弾く。


「ぐっ……!」


 たったの二撃で、ルネの両腕がしびれた。


(ジジイのくせに、なんて速くて重い斬撃だ……っ!)


 たまらずバックステップして距離を取るルネ。


「いかんのう。簡単に下がっては」


 すかさずヴルムの追撃が来た。


 守勢に回ってはいけない、と分かっていたにもかかわらず、守勢にならざるを得ない。


 左右の剣が超高速で迫った。

 打ち下ろし、薙ぎ払い、突き、また打ち下ろし──。


 流れるような斬撃の一つ一つを、ルネは防ぐだけで精いっぱいだ。


「並の使い手なら、とっくに真っ二つになっておるが……なかなかやるのう」


 ヴルムの方はまだまだ余力を残している様子だった。


 強い──。

 全身が畏怖で震える。


 同時に、激情が湧き上がる。


「真剣勝負の最中に随分と余裕を見せてくれるじゃねーか、ジジイ!」


 あふれる闘志のまま、ルネは前に出た。


 先ほど勇者たちを相手に突撃したときと同じく、最高速での捨て身の突進だ。


 生半可なことで勝てる相手ではない。


 殺るか、殺られるか。

 ヴルムを倒せる可能性があるとしたら、それは死をも覚悟した全身全霊の一撃のみ。


「ぐっ……ううっ……!」


 双剣に肩と脇腹を切り裂かれ、激しい痛みが走る。


「ほう、まだ歩みを止めんか」

「お前がいくら強かろうが、俺は退かない! たどり着きたい場所が──手に入れたい『強さ』があるからな!」


 構わずさらに踏みこんだ。

 まさしく肉を切らせて骨を断つ。


「お前を乗り越えて、俺は──さらに強くなる!」


 吠えて繰り出した大剣が、大気を軋ませながらヴルムへと迫る──。

次回は前半がルネ視点、後半はマグナ視点の話に戻ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼書籍化作品です! タイトルクリックで小説ページに飛べます!▼

☆黒き剣帝 元最強のアラフォー全盛期を取り戻して無双ハーレム

▼ノベマ限定作品です。グラスト大賞に応募中! 応援していただけたら嬉しいです!▼

☆冴えないおっさん、竜王のうっかりミスでレベル1000になり、冒険者学校を成り上がり無双

なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~ (゜ロ゜;ノ)ノ
あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!

モンスター文庫様から2巻まで発売中です! 画像クリックで公式ページに飛びます
eyrj970tur8fniz5xf1gb03grwt_p5n_ya_1d3_y





ツギクルバナー

cont_access.php?citi_cont_id=314270952&s

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ