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なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~(゜ロ゜;ノ)ノ あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第6章 SSSランク冒険者編

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3 ひとときの平穏

「ところで、なんで二人はアルトタウンまで来てくれたんだ?」

「えっ、そ、それは……」


 俺の問いにシャーリーがギクッとしたような顔になった。

 なぜか両手の指を合わせ、モジモジし始める。


 ん?

 いかにも凛々しい女騎士、って感じのシャーリーにしては珍しいリアクションだ。


「マグナと一緒にいる機会を確保したかったんだろう」


 横から言ったのは、ブリジットだった。


「ち、違うったら! 違うんだからぁ……」


 たちまち顔を赤くするシャーリー。


「えっと、これは、その……そう、クエスト前に互いの親睦を深めるというか、実戦での連携を磨くための一環というか……」


 しどろもどろだ。


「ふふ、でもみんなで一緒にいられて楽しいのです」

「そうね」


 微笑むキャロルとエルザ。


「私もクエスト前に一息入れるのは、士気の高揚のためにも有用だと思う」


 ブリジットが言った。


「そ、そう、それ! あたしはまさにそれを言いたかったわけよ!」


 シャーリーは我が意を得たりとばかりに胸を張った。


「連携ってことは、もしかしてシャーリーもクエストに加わるのか?」

「ええ、天馬騎士団の精鋭も何名か、今回のクエストに帯同するわ。王命で、ね」


 と、シャーリー。


「なんといっても、『あれ』が落ちてきたら、一番被害を受けるのは我がレムフィール王国だもの」


『あれ』が落ちてくる──どういう意味だろう?

 それが今回のクエストと関係しているんだろうか。

 天変地異とか言っていたけど……。


「詳しくは、向こうで話すわ」


 シャーリーが声を潜めた。

 なるほど、人が多いところで軽々しく話せることでもないよな。


「とにかく、ひさびさに騎士団から離れて羽を伸ばせ……じゃなかった、ちょっとした旅行気分……でもなかった、あたしたちはクエストに備えて、ここにいるわけ。分かった?」

「本音がダダ漏れのような……」

「もうっ。そこは聞かなかったことにしてよ」


 ぷうっと子どもっぽく頬を膨らませたシャーリーは、まるで年下の少女のように可愛らしかった。




 二人は、俺たちの定宿に泊まることなった。

 キャロルたちの隣の部屋である。


「わーい、みんなでパジャマパーティなのです」


 キャロルがはしゃいだ。

 狐耳と尻尾が嬉しそうに、ぴょこぴょこ、と跳ねている。


「ふふ、いいわね。勇者の養成機関にいたころをお思い出すわ」

「あたしも騎士学校に通ってたときに、そういうのをしたわね」


 顔を見合わせ、微笑むエルザとシャーリー。


「ふむ、楽しそうじゃないか」


 ブリジットも口元をほころばせていた。


 女性陣は盛り上がっているようだ。

 楽しそうで何よりである。




 で、俺は当然のごとく、一人部屋だ


 べ、別に拗ねてなんていないんだからねっ。

 ……まあ、ちょっぴり寂しいというのが本音ではあるが。


「【ブラックホール】展開」


 部屋の中で、俺はスキルを発動した。


 もちろん敵を吸いこむためじゃない。

 ちょっと見ておきたいことがあったのだ。


 俺の前方に黒い魔法陣が出現する。


 黒い円形で、内部には金色の紋様が浮かんでいた。

 ちなみに表も裏も同じ模様である。

 魔法陣の縁からは、バチッ、バチィッ、と金色のスパークが散っていた。


「やっぱり、紋様が増えてるな……」


 俺はあらためて確認する。

 金色の紋様が単なるデザインなのか、それともなんらかの文字なのか──そのあたりは不明である。


 魔法に詳しい人なら分かるんだろうか……?


「あ、今度SSSランクの冒険者たちに会ったら、聞いてみてもいいな」


 たぶん、その中には高レベルの魔法使いもいるだろう。

 今いるメンバーで魔法に詳しそうな人はいないから、向こうに着いてからの話だな。


 とりあえず、現時点で俺がこのスキルについて解明できることはなさそうだ。


「……ん?」


 と思ったら、魔法陣の奥に何かが見えた。


 扉だ。


 わずかに開きかけているそれの向こうに──。

 揺らめく黒い炎のような人影が見えた。


 以前に見たときよりも、はっきりと。


「……誰だ、お前は」


 問いかけてみる。


 答えは、なかった。

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