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なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~(゜ロ゜;ノ)ノ あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第6章 SSSランク冒険者編

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2 天馬騎士と魔弾の射手

 竜を瞬殺した後、特にトラブルらしきトラブルにあうこともなく、俺たちはアルトタウンに到着した。

 その足で冒険者ギルド支部に向かう。


 建物の入り口で、長い緑髪の女騎士と紫のツインテールの美少女が待っていた。

 シャーリーとブリジットである。


 さすがに天馬を使っての移動は、馬車よりも格段に速かったらしい。


「悪い、待たせた」

「ううん、あたしたちも昼食をとってたし、今ここに着いたところよ」


 と、シャーリー。


「あなたが待ち遠しかったみたいだぞ、マグナ。彼女はずっとソワソワしていた」


 ブリジットがぽつりと言った。


「ち、ちょっと、ブリジット!?」

「ん、言ってはいけなかったのか? ポーッとした顔で『またマグナくんと一緒にいられるのね……』などと、夢見る乙女のような顔でつぶやいていたが」

「な、なななななな何言ってるのよ!?」


 シャーリーはたちまち顔を赤くした。


「もしかして……シャーリーさんもマグナさんを意識していたりするのです?」


 なぜかジト目になるキャロル。


「シャーリーにそんな一面があったのね……むむむ」


 同じくジト目になるエルザ。


「はわわわわわっ!? ち、違うの、誤解しないで!?」


 ──などと会話しながら、俺たちは全員でギルド支部内に入った。

 受付に続く廊下を進む。


「そういえば、ここのギルドって強い人は所属しているの?」


 シャーリーがたずねた。


「強い人……か」


 ここを拠点にしている冒険者を全員知っているわけじゃないが、ほとんどはBからDランクだろう。


「確か一人、SSランクの冒険者がいるって聞いたことがあるわよ」


 エルザが言った。


「SSランクなら、かなりの猛者よね。もし会えたら、せっかくの機会だから手合せしたいわ」


 爛々と目を輝かせるシャーリー。

 何気に戦闘マニアだよな、シャーリーって……。


「ちなみに、あたしはSSランク冒険者に勝ったことがあるわよ。SSSには、さすがにかなわなかったけど──」

「いや、いい線いってたよ。修行次第で、いずれシャーリーもSSSランク並の強さになると思う」


 と、ブリジット。


 シャーリーってそんなに強かったのか。


 俺が見た彼女の戦いぶりは超魔獣兵に敗退しているところくらいだ。

 けど、あれは相手が悪すぎるしな。


 何せSSSランクのヴルムさんとブリジットの二人がかりでも苦戦するモンスターだし。


「ありがと、ブリジット。今度手合せしない?」

「ふむ、久しぶりにやるか」


 ……ってことは、以前にも戦ったことがあるのか。


「そういえば、二人って前からの知り合いなのか」

「ええ、初めて会ったときに『SSSランクに知り合いがいる』って言ったのを覚えてる? あれはブリジットのことよ。一年くらい前にレムフィールでの魔族討伐絡みで共闘する機会があって、それ以来の友だちなの」

「彼女とは気が合ってね。折に触れて、親交を深めているのさ」


 と、ブリジット。

 クールな彼女が、口元をわずかにほころばせる。


「私はあまり人づきあいが得意な方ではないが、彼女といると心地がいいんだ。数少ない、大切な友人だ」

「あたしにとっても同じよ。ブリジットは大切なお友だち」


 二人とも嬉しそうだ。

 彼女たちの関係性が良いものなんだと伝わってきて、ほっこりした。




「みなさん、よかった! 無事だったんですね!」


 窓口嬢のナターシャが顔をほころばせた。


 受付カウンターにいるのは俺とキャロル、エルザ、そしてシャーリー。

 ブリジットは支部長に挨拶があるとかで別行動だった。


「一週間以上おいでにならないので心配したんですよ。セイロードは魔族の大規模侵攻を受けたって聞きましたし……」

「ちょっと戻ってくるのに時間がかかってしまって」


 俺は苦笑した。


 ……っていうか、一週間も経ってたのか。

 やっぱりこの世界と【虚空の領域(ウォルドゥーム)】では時間の流れが違うんだろうか。


「心配させて悪かったよ」

「いえ、ご無事で何よりです。それと──マグナさんが不在の間にランクアップの通達が来ていました。晴れてSランク冒険者ですね」


 にっこりと告げるナターシャ。


「おめでとうございます、なのです!」

「とうとうSまで来たのね。おめでとう、マグナ」


 キャロルとエルザが祝福してくれた。

 嬉しい。


「お祝いにもふもふをどうぞ」


 と、キャロルが狐耳を差し出す。


 おお、これはすごく嬉しい!


 俺は遠慮なくもふらせてもらった。

 あいかわらず極上のさわり心地にうっとり。

 柔らかく、ふわふわとして、温かく、触れているだけで癒される──うん、控えめに言って最の高だ!


「すごいじゃない、マグナくん。今度手合せしてね」


 爛々と俺を見つめるシャーリー。

 手合せって……。


「強い相手だとウズウズするわね……しない?」

「いや、別に……」

「あたしも別に、なのです」

「私も」


 俺とキャロル、エルザは三人で顔を見合わせた。


「うーん、あたしの乙女心、意外と共感してもらえないわね」


 それ、乙女心とは別物だと思う。

 と、


「挨拶が済んだのなら、そろそろ出発しようか。私の方からここの支部に要請を済ませておいた」


 ブリジットがやって来た。


「お、おい、あれって……ブリジット・シファーじゃないか?」

「マジだ、SSSランク冒険者『魔弾の射手』……!」

「マグナの奴、あんな大物とも知り合いなのかよ」


 周囲の冒険者たちがざわめいていた。


 まあSSSランク冒険者といえば、英雄クラスの人材だ。

 ざわめく気持ちも分かる。


 俺も、以前に彼女やヴルムさんと共闘したっていうのは、いまだに現実感がないもんな……。

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