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なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~(゜ロ゜;ノ)ノ あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第6章 SSSランク冒険者編

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1 帰還と出立

「最高難度クエスト……か」


 それもSSSランク冒険者が集まるほどの。


「知らなかったの? ここ数日の天変地異もあって、かなり話題になっているはずだけど──」


 と、シャーリー。


「天変地異?」

「初めて聞いたのです」

「私も」


 俺たちは首をかしげた。


「……ちょうど四日ほど前から、断続的な地震や豪雨などに加えて、各地で空間震動が起きているわ」

「何かとてつもない力を持った存在が、この世界に現れようとしているそうだ」


 シャーリーの説明を引き継ぐブリジット。


「空間震動はその予兆さ」

「とてつもない力を持った存在、ってなんだ? 敵なのか」

「分からない。人類に益をもたらすのか、害をもたらすのか──それさえも。だが、後者だった場合は生半可な戦力では立ち向かえない」


 ブリジットはツインテールの先端を指でぴんと弾き、言った。


「だから私たちSSSランク冒険者を招集し、対策会議を開くそうだ」


 そんな大変なことになっているのか。


 それにしても天変地異って──。

 セイロードで戦っていたときは、そんな天候じゃなかったんだけど。


 もしかして、と思い当たる。

虚空の領域(ウォルドゥーム)】にいる間に、何日か時間が過ぎてしまっている……?


「あなたも一緒に来たらどうだ、マグナ・クラウド?」


 ブリジットが俺を見つめた。


「え、俺?」

「先の帝国との戦いでは、私とヴルム師の二人がかりでも劣勢だった超魔獣兵(イクシード)を、あなたは一瞬で倒してみせた」


 と、ブリジット。


「その戦闘能力は貴重だ」

「そうね。あたしからもお願いするわ」


 シャーリーが言った。


「SSSランク冒険者が集まるのは、我がレムフィール王国なの。空間震動の中心震動地がそこだから」

「レムフィールが……?」

「君の力をまた貸してくれないかしら。レムフィールの、そして世界のために」


 身を乗り出すシャーリー。


 世界のために、か。

 随分とスケールの大きな話だ──。


「行くか。俺の力が役立つなら」


 そう決めた。


「キャロルたちはアルトタウンで待機してくれ」

「何を言っているのですか。あたしも行くのです」

「そうよ、仲間じゃない」


 俺の言葉に、キャロルもエルザも首を振った。


「危険かもしれないし……」

「また変な世界にマグナさんが飲みこまれたら、離れ離れになるのです。そちらの方が心配です」

「そうよそうよ」


 いや、あの世界に危険はなさそうだぞ?


「とにかく、ついていくのですっ」

「私も」


 キャロルもエルザも退きそうになかった。

 ──しょうがない、三人で行くか。


 仲間、だしな。

 それに俺の【ブラックホール】で全員守れば済むことだ。




 SSSランク冒険者が集まるのは、今から四日後。


 俺たちはいったんアルトタウンに戻ることにした。


 ちなみに、現在地はレムフィール王国の国境付近の森らしい。

 シャーリーはちょうど別件でブリジットと落ち合い、その帰路で俺たちを見つけたということだった。


 で、そのシャーリーとブリジットも同行するということだ。

 二人は天馬で、俺たちは馬車でそれぞれ移動し、町で落ち合うことになった。


 その途中、


「通れない?」


 街道が封鎖されていた。


「何日か前から、向こうの山間に竜の巣ができたんですよ」


 通りがかった商人が教えてくれた。


「危険なので、周囲の街道を封鎖するそうです。私は商売を切り上げて、これから戻るところです」

「竜ですか……」

「あなたたちも迂回したほうがいいですよ」


 うーん、別に大丈夫じゃないかな。


 と、そのときだった。


 GYAOOOOOOOOOOOOOO!


 空から咆哮が響く。


 見上げると、そこには巨大なモンスターの姿があった。


 暗褐色の、巨大な竜である。


「ひ、ひいっ、来たぁ!」


 商人が腰を抜かした。


 なかなか強そうな竜だ。

 クエストでいうなら、おそらくS以上──たぶんSSくらいのランクだろう。


「大丈夫ですよ。今片付けます」


 俺は商人に微笑みかけた。


【ブラックホール】を展開する。

 前方に金の紋様に彩られた黒い魔法陣が出現した。


「あれ? 前と少しデザインが違うような……?」


 紋様の数が、明らかに増えていた。

 デザインも複雑化している。


 さらに、バチッ、バチッ、と魔法陣全体から金のスパークが飛び散っている。


「前よりかっこよくなっているのです」

「豪華な感じもするわね」


 と、キャロルとエルザ。


 もしかしたら【虚空の領域(ウォルドゥーム)】であの腕を取りこんだ影響だろうか。

 見た感じ、500メートル以上も上空の竜を吸いこめないところから、射程距離は変わってないようだけど。


 と、その竜が俺たちを見て降下してきた。


「いいぞ、近づいて来い」


 俺が告げた、次の瞬間、


 しゅおんっ……!


 射程内に入った竜は、黒い魔法陣に吸いこまれて消えた。

 いつも通りに討伐完了だ。


「竜はいなくなったし、予定通りの道を進みましょう」


 俺は御者に言った。


「り、竜をあっさり倒しちまった……? あ、あんたたち、何者……!?」

「? 別に竜くらいなら。もっとすごい敵も飲みこんできましたし」

「マグナなら普通じゃない?」


 キャロルとエルザはキョトンとしている。


 うん、俺もすっかり慣れてしまった。


 けど、竜を瞬殺って本来はとんでもない行為なんだよな。

【ブラックホール】を使っていると、その辺の感覚が麻痺してくる……。

掲載開始から一カ月ほどで100万PVを超えていました。読んでくださった方、本当にありがとうございます。引き続きがんばります。

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