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11 決着、そしてその先へ

 ポルカが去った後、ルネはその場にたたずんでいた。


 すべてを出し尽くした爽快感。

『勝負』ではいちおう引き分けのような形になったものの、『実力』ではまったく叶わなかったという悔しさ。

 そして、それらを圧する清々しさ──。


 まだまだだ。


 ルネは自身に言い聞かせる。


「俺はもっと強くなれる」


 なってみせる。


「いずれはポルカを超えてみせる──」


 いずれは、すべての頂点に立つ強さを得てみせる。


 と、そのときだった。


「──!? 何かが、いる……!」


 ルネはハッと周囲を見回した。


 全身の血が沸騰するような強烈な緊張感。

 重圧感。


 魔力だ。


 世界を歪めるのではないかと思えるほどの、信じられない膨大な魔力が──そう遠くない場所からあふれてくる。


 ポルカとの戦いに全身全霊を注いでいたから気づかなかったが、魔力の出どころは城の最上部のようだ。


「お、おい、なんだよこれ──」


 魔法使いらしき冒険者がうめいている。

 他の二人も青ざめた顔だ。


 それも当然だろう。


 威圧感ならポルカと同等。

 魔力ならば、ポルカをはるかに上回るだろう。


「おいおい、次から次へと──」


 ルネはゾクゾクとした。


「行ってみるか」


 次はどんな強者と出会えるのか。


 心を躍らせながら、魔族の剣士は最上部へと向かう──。


    ※


 俺は帝国最強兵器──【超魔戦刃】のラグディアとの再戦を終えた。

 奴は自らのスキルを極限まで進化させ、勇者ベアトリーチェの力も借りて、疑似的な【ブラックホール】を生み出した。


 俺と奴との【ブラックホール】──究極スキル同士の、ぶつかり合い。


 だけど、どうにかそれを制することができた。


「僕のスキルが──」


 がくり、と膝を落とすラグディア。

 これで無力化に成功したかな……。


 俺は【ブラックホール】の詳細設定をいじり、奴のスキルを吸引対象にした。

 物質じゃなくスキルを吸いこむことなんてできるんだろうか……疑問はあったものの、いざやってみれば簡単に吸いこむことができた。


 まさしく──なんでも吸いこむ【ブラックホール】の力。

 おかげで難敵のラグディアも簡単に無力化完了だ。


「相手のスキルまで吸い取っちゃうなんて、すごいのです」

「なんでもありね、マグナ……」


 感心した様子のキャロルと、半ば呆れつつも驚いた様子のエルザ。


 今回の作戦でみんなと最初から合流できなかったときは、どうなることかと思ったけど……結果的に、こうして対人スキルを磨くことができて良かったと思う。


 作戦における最大の関門の一つ、ラグディアをあっさり攻略できたんだ。

 しかも奴の触手の中にはベアトリーチェが囚われている。


 これで奪還作戦も終了だ。


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