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なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~(゜ロ゜;ノ)ノ あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
書籍版1巻発売記念『愛弟子に裏切られて死んだおっさん勇者』コラボ番外編

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5 過去と現在からの襲来2

 空の一角が、割れた。


 そこから巨大な影が現れる。

 全部で、三体。


「あれは──?」


 見覚えのあるシルエットだった。


 黄金に輝く鳥。

 九つの頭を持つ蛇。

 全身が土でできた巨大な竜。


「ひえええ……」

「あいつら、前に倒したわよね……!?」


 おびえるキャロルと戦慄するエルザ。


 そう、奴らは以前に戦った神の兵器──『天想機王(ヘヴンズギア)』だ。


 鳥型が『雷の王』。

 蛇型が『氷の王』。

 そして竜型は『土の王』。


「『天想覇王(ディヴァインギア)』に似ている……あれも天軍兵器なのか?」

「文献で見たことがあります。おそらく『天想覇王』と同種の兵器、『天想機王』でしょう」


 訝しげな魔王にステラが解説する。


「また来るのです~!」


 キャロルが上空を指さした。

 その言葉が終わらないうちに、ふたたび天が割れる。


 黒い空に亀裂が走り、内側から光が差しこんだ。


 光が、獅子、鳥、竜へと姿を変える。


「今度は『天想覇王』か……!」


 フリードがつぶやいた。


「奴らは以前、魔界を襲ったことがある。俺と魔軍長の総がかりで破壊したはずなんだが──どうやったのか、復活してきたらしい」


 と、俺たちに説明する。


「異空間に放逐された我らが、なぜここに……」


『天想機王』たちがつぶやいた。


「破壊された我らが、なぜここに……」


『天想覇王』たちが周囲を見回す。


「魔王と冒険者……二人の運命超越者(フェイトブレイカー)か」


 六体がいっせいに俺と魔王を見た。


「なるほど。汝らの力が干渉し、時空に歪みが生じたのだな」

「我らにとっては好機」

「せっかく生還したこの期は逃さん」

「忌まわしき魔族の世界──今度こそ滅ぼしてくれよう」


 兵器たちは物騒な台詞をつぶやきまくっていた。


「魔界を滅ぼす? そうはさせん」


 フリードが前に出る。


「俺がいる限りは、な」


 その全身から黒く輝く魔力が立ち上った。


「っ……!」


 すさまじい、という言葉すらなまぬるい威圧感。


 さっきまでの穏やかなフリードは、そこにはいない。


 敵であれば、すべてを滅ぼし、打ち倒す──。

 そんな強烈な意思をまとった、魔王の威圧感だった。


「あらゆるものを吸引する無敵のスキル──近づくには、あまりにも脅威」

「あらゆるものを打ち倒す最強の魔力──近づくには、あまりにも脅威」


 六体が謳うように告げた。


「ならば、汝らの攻撃が及ばぬ場所から一方的に殲滅してくれよう」


 言うなり、奴らは猛スピードで俺たちから遠ざかっていった。

 とんでもないスピードで空の彼方まで去っていく。


「奴らとの距離はおおよそ十キロ。超長距離砲撃の構えです!」


 ステラが叫んだ。


「今、映像を出します」


 彼女の額に第三の瞳が出現する。

 その眼光が、中空に映像を作り出した。


 黄金の怪鳥、九頭の蛇、土の竜。

 炎の獅子、風の鳥、水の竜。


 六体の天軍兵器が空中に浮かび、全身からまばゆいオーラを放っていた。


「俺の魔法の射程外から攻撃してくるつもりか。前回の敗北で学習したわけだ……」


 フリードがつぶやく。


「吹き飛べ」


 六体がいっせいに告げた。

 奴らがまとったオーラが無数の光弾と化して放たれる。


「ちいっ、『メガファイア』!」


 魔王が右手を突き出した。

 真紅の火球が撃ち出され、まっすぐ進んでいく。


 空一面が、真紅に染まった。


 続いて、空中で連鎖的に爆発が起きる。

 魔王の放った火球が無数の光弾を飲みこみ、すべて吹き飛ばしたのだ。


 さすがに魔王だけあって、すさまじい威力の破壊呪文である。


「これは……!」


 エルザが呆然とつぶやく。


「まさか伝説の最強火炎呪文──『灼天の火焔(メガファイア)』……!?」

「奴らは神気(オーラ)を充填中。第二弾、すぐに来ます」


 ステラが警告した。


「このままじゃキリがない……いずれ防ぎきれなくなるな」


 フリードがうめいた。


 俺の【ブラックホール】なら、射程内に入れば全機を吸いこんで倒せるだろう。


 けど、距離が遠すぎる。

 どうする──。

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