表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
140/168

16 二人の運命超越者1

 響き渡る無数の金属音と打突音。


 ルネが剣で斬りかかり、ラグディアは三本の触手を繰り出して応戦する。

 二人は超スピードで移動しつつ、激しい攻防を繰り広げる。


 すさまじい戦いだった。


【ブラックホール】が使えない今の俺では、巻き添えを食えば、絶対死ぬ。

 ルネもそれを分かっているのか、ラグディアを俺から遠ざけるようにして、戦闘位置を少しずつズラしていった。


 ほどなくして、彼らの交戦場所は二十メートルくらい先まで移動する。


「王よ……」


 苦しげな息の下で、フレアが上体を起こした。


「大丈夫か、フレア!」

「まだ自己修復の最中ですが、会話くらいならばどうにか……」


 自己修復……か。


 見れば、フレアの豊かな胸の谷間に淡い光があふれている。

 血の染みが少しずつ薄れていく。


 あらためて、彼女が人間ではなく別の存在なのだと気づいた。


 とりあえず致命傷ではなさそうで、ホッとする。

 そもそも、彼女に生物のような『命』があるのかどうかさえ、定かじゃないが……。


「とはいえ、かなりの損傷を受けてしまいました。もう少し修復が進むまで、彼らを元の場所へ強制送還することもできません」

「それまでは──ルネに踏ん張ってもらうしかない、か」


 他力本願なのが歯がゆい。


 ……いや、俺にだってやれることはあるぞ。

 ふと気づいた。


「フレア、ここで待っていてくれ」

「王よ、どこへ?」

「ルネに加勢する」


 俺は彼らの下へ歩み出した。


 せっかくルネが気遣ってくれたけど、やっぱり行かないとな。


 と、そのとき俺は違和感を覚えた。


「なんだ……!?」


 目の前が、揺らいでいる。


 いや、目の前だけじゃない。

 空も、地面も──灰色一色のこの世界が、陽炎のように揺らめいているのだ。


 何かが、おかしい。

 不審に思いつつも、俺は歩みを進めた。


 今はまず、ルネに助力することが先決だ──。




 ほどなくして戦場にたどり着いた。


「ちいっ、一撃ごとに速くなりやがる!」

「はははは、僕はどこまでも成長するんだ。君だって訓練でよく知っているだろうに」


 もはや残像さえ見えない超速で繰り出される触手を、ルネは大剣を振り回してなんとか防いでいる。


 俺にはまったく見えない攻撃も、ルネの目には見えているのか。

 それとも予測や野生のカンの類なのか。


 どちらにせよ、驚くべき剣技だった。


「僕の邪魔をするなら容赦はしないよ。君のことは気に入っているけど、それはそれだ」

「へっ、上等だ!」


 強気にルネが吠えるが、明らかに追い詰められていた。


 俺には二人の攻防を視認することさえ困難だ。

 だけど、触手の攻撃がさらに加速していることは、なんとなく雰囲気で分かった。


 ルネが、次第に凌ぎきれなくなっていることも。


「くそっ、今までとは成長のスピードが……!?」

「僕も驚いてるんだよ。あるいは本物の『運命超越者(フェイトブレイカー)』に出会えた影響かもね」


 焦るルネと笑うラグディア。


「彼に呼応して、僕の力も上がっている。さあ、そろそろ終わりにするよ!」


 ラグディアが叫ぶ。

 とどめを刺すべく最終攻撃に移ろうというんだろう。


 今だ──。

 俺はラグディアの意識が完全にルネだけに向かったその瞬間を狙い、スキルを発動させた。


 ただし──【ブラックホール】のスキルじゃない。


「【落とし穴】!」


 俺が本来持っていたスキル、【落とし穴】のほうだった。

 ラグディアの足元が一メートルほど沈みこむ。


「えっ……!?」


 奴がわずかにバランスを崩した。


 本来のラグディアなら、これくらいの不意打ちには反応できたのかもしれない。

 だけど、ルネという超絶の剣士との戦いでは、さすがの奴も注意や反応のほぼすべてをルネに向けるしかない。


 俺のことをまったく意識しない──意識できなくなるくらいに。


 だから、不意をつけるチャンスがあった。


 もちろん、一回きりのチャンスだ。

 種が割れれば、もう通用しない。


 だが、その一回が千金の価値を生む。


「助かったぜ、マグナ!」


 ルネは床をもう一度蹴って、さらに加速した。

 大剣を掲げ、吠える。


「そして終わりだ、ラグディア!」

『なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~ (゜ロ゜;ノ)ノ あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!』の書籍版1巻がいよいよ本日発売です!

下のリンクから公式ページに飛べますので、ぜひよろしくお願いします~!


書籍版1巻の書影です↓

挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


▼書籍化作品です! タイトルクリックで小説ページに飛べます!▼

☆黒き剣帝 元最強のアラフォー全盛期を取り戻して無双ハーレム

▼ノベマ限定作品です。グラスト大賞に応募中! 応援していただけたら嬉しいです!▼

☆冴えないおっさん、竜王のうっかりミスでレベル1000になり、冒険者学校を成り上がり無双

なんでも吸い込む! ブラックホール!! (´・ω・`)ノ●~~~~ (゜ロ゜;ノ)ノ
あらゆる敵を「しゅおんっ」と吸い込んで無双する!!!

モンスター文庫様から2巻まで発売中です! 画像クリックで公式ページに飛びます
eyrj970tur8fniz5xf1gb03grwt_p5n_ya_1d3_y





ツギクルバナー

cont_access.php?citi_cont_id=314270952&s

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ