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エピローグ


 レイアードの絵画のある部屋の前に鳥の意匠を付けたバケツヘルメットの男が座っていた。


 そこに精強な顔をしたメイド服の女性達と、胃の壊れたそうな疲れた執事、軽装ながら身分の高そうな女性……が現れ、その後ろを苦労人そうな従者達がトボトボついて行く。


「よお、冒険者さんよ……あとは頼んだぜ」


 一行が横をすり抜けようとした時。バケツヘルメットの男が握り拳を差し出した。その手を身分の高そうな女性がパチンと受ける。


 彼女ら、彼等は振り返らずにコツンコツンと進んで行き、扉の向こうに吸い込まれていく。


 程なくして、部屋から彼らの気配が消えた。テレポートしたのだろう。


「……俺も冒険者に転職してみるかね……?」


「キュキュキュ!」


「ふなぁ!」


 バケツヘルメットのマント脇から二つの手首が這い出して来て何かを伝えようと必死に話し掛ける。


「そうか……お前達も手伝ってくれるか……ならやらねぇ理由はねぇな!」


 バケツヘルメットの男は立ち上がってバンと自分のケツを叩いた。


 霞のロードヴァンパイアを倒した際、彼は瀕死のダメージの上に麻痺に毒にと状態異常のオンパレードを受けており、文字通り三途の川を彷徨っていたのだが、味方の回復魔法によりすぐ回復した。そして、宿敵のもたらした膨大な経験値を受けて神々の恩寵が二〜三回もうなぎ登り。


 もはや飛ぶ鳥を落とす勢いのスルリグは冒険者となって一旗揚げようと決心したのだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇




 その数日後……王国に激震が走る。


 何と王女様が魔剣シャルンディアを持ち帰ったというのだ。


 ……それはスルリグが辞表を提出して僅か二時間後の事だった。


               ーおわりー




 御目通ししていただきましてありがとうございました!


 これにてスルリグの冒険は完走です!


 裏ダンジョンなんか……挑まないんだから!



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