夢だと認識して夢を見る事が無い派
暗闇の中に立っていた。
暗闇の中に淡く浮かび上がる自分は、足首まで冷たい水に浸かっている。
水
それを認識すると同時に水面が淡く水色に光りだす。
そして、俺の目の前に光り輝く世界樹がある事に気付いた。
見上げた先、青々と覆い繁る緑の合間に山吹色の花が咲いているのが見える。
頭上に咲いていた花がゆっくり変化し、透明な実のような物体になり……
プツリと実が枝から離れ落ちてくる。
咄嗟に受け止めようと両手を差し出「うぐっ……」
…………うん?
何か変な夢見た………
寝返りを打った拍子に何かを硬い物を下敷きにしたらしく地味に痛い。
………ん?
硬い物なんて何かあったっけ……?
布団をめくり中を覗く。
「あ?」
布団の中に透明な橙色で滑らかな……ソフトボールくらいの大きさの球体があるんだが……
え?何だこれ、こんなもの持ってた覚えないぞ。
《鑑定眼》を使い謎の物体を確認する、と、
【世界樹の実】
???(詳細不明)
なんだ世界樹の実って!?
夢の中で受け止めようとしたけど!何で!ここに!?
意味が分からん!と混乱しつつも、とりあえず世界樹関係だから店主にでも相談すべきかと出る準備を始める事にした。
――――――――――
「店主ーちょっと聞きたい事あんだけどさぁ。」
声を掛けながら売店のドアを開けると、葉っぱを舐めながら恍惚とした表情をしていた。閉めた。
あ、色々アウト。
気を引き締めてドアの隙間から覗き込むと今度は葉っぱを噛み締めていた。
よし、諦めて入ろう……
「店主、こちらの世界に戻ってこい。」
「あっはぁ、オーリんじゃないか、ふへへ……久しぶり、久しぶり?まぁ良いかぁは。」
それ変な葉っぱじゃないよな?世界樹の葉だよな?
「ちょっと世界樹関係で聞きたいんだか。」
「世界樹?」
きょとんとすな、てか葉っぱもぐもぐしたまま喋るな。
「ああ、世界樹と言えばねぇ」
最近開発した魔力を込めると遠距離と会話出来るピアスで話したんですけどね、と店主は前置きをし。
「何か朝になったら花が咲いてたらしいですよ」
芽もなかったのに、と。
「………咲いたのって山吹色の花?」
「おや、よくご存知ですね?」
「朝起きたらこんな物があったんだが。」
そう言って橙色の透明な実?を店主に差し出すと、
「………せせせせせせせか世界樹の実じゃないですかああああああぁぁあああっはぁあなm「させねえよ」」
ヨダレ垂らしながら掴もうとしたので殴って止めた。
「はあはあ……仕方ないですねぇ、舐めるのは諦めますから貸して下さい。」
何故上から目線。
とりあえず店主に渡すと、興味深そうに実?を確認する。
「確か文献に世界樹が気に入った者に贈り物をする、という話がありましたねぇ……」
え?贈り物なの?気に入られたの?俺。
「君が村に移動させるように言ったからですかね?もしかしたら世界樹はずっと隠されていて暇だったのかもしれませんねぇ。」
暇だったのか、世界樹。
いや、まあ確かに秘匿されてりゃ暇だよね、つまらんよね。
「で、これどうすりゃ良いんだ?」
「分かりません。」
ええぇ………
「袋に入れておいても大丈夫ですが、出してほしかったら勝手に出てくるらしいですよ?」
勝手に出てくるんだ!?
「中身は何が出るか分かりません。普通に持ち歩いてたらある日中から物や生物が出てくるらしいですよ。」
マジっすか。
何それ凄い。
えー、とりあえず
「魔法袋に突っ込んで持ち歩いてれば何かにはなるって事か?」
店主から返された実を魔法袋に戻しながら聞くと、そうですねと返された。
ふむ、まあ魔法袋に入れて持ち歩くとしますか。
このサイズって普通に持ち歩くにはデケェんだよね(つまり邪魔)




