自己紹介は簡潔に
1週間生き抜いて学園に帰還した俺達を待っていたのは盛大な立食パーティーでした。
うま。
「スープが腹に染み渡るっ!」
「お野菜シャキシャキ美味しいです」
「調味料って偉大だわ」
「に〜く〜に〜く〜ジューシーなおっにーくっ」
森ん中じゃ携帯食と水、あとは山菜とか獣肉焼いて食うしかなかったしな。
調理されたご飯やっぱ良いわ。サバイバルもうたくさんよ。
「デザート行ってきます!」
「ステーキ食ってくる!」
早速食べ終わった二人は次の獲物(ご飯)をゲットしにテーブルに向かっていった。
…よく噛んで食べんさい…
と思ったがほとんどの新入生がテーブルにかじりつくようにご飯を食らっており、狙った食べ物が無くなるのを危惧したからだろう。
俺?俺はバランス良く皿に盛って逃走したよ。
明日からフツーに寮のご飯だろうし、一応きっちり1週間食べれてたから空腹じゃないし。
…あの二人もきっちり食べれてたのに…やっぱり味の違い?
調味料なく素材まんまの味に嫌気がしてたのかね。
まあ同感だけど
ようやっと歓迎会っぽくなってるかね。
飯も良いけどさっさと風呂入ってベッドで寝てーっす。あ、寮はシャワー的なヤツしかねーんだっけ…
風呂入りてー…湯槽に浸かってゆっくりしたいわぁ…
ところでこの歓迎会いつまで?
――――――――――
泥のように眠った翌日。
集合は午後からだったのでダルダルと三人で過ごしてから寮を出た。
「クラスとかどうなるんだろうな」
「同じクラスだと良いですね」
「ね〜」
怠い調子で歩いていると講堂の入り口前で名前を確認され学生証を渡された。
オーリ・カッツェ
1学年 特進科S
「お、特進科Sってなってんわ」
「私も同じです!」
「オレもだーっ!」
クラウスがニヤニヤ笑いながら俺たちにしがみ付いてきた。
こいつ意外とスキンシップ多いんだよな、初見はお高く止まってます。みたいな貴族感バリバリだったのに…
数日で酒場にいる気前の良い兄ちゃん風になってね?
歓迎会のパワーだろうか元々の気質だろうか……両方か
一度クラスごとに分かれ、担任教師に引率され教室に向かう。
席順は決まってないようなので三人で窓際の席をゲットする。
…あの歓迎会、各々のレベル確認でもあったのか…?
《鑑定眼》で教室にいる22人(俺等除く)を確認すると、皆スキルのレベルは中級。
クラウスやイナンナは初級だったが歓迎会で中級に上がったためこのクラスに入れたのだろうか…
監視?観察?されてたのかね、どの程度の力量だか
やはりと言うか何というか魔族二人組は同じクラスだった。
前の席に二人並んで座ってるけど威圧感ェ…
そこしか座る場所無かった学生可哀想だから止めたげてよぉ(笑)。
このクラスじゃ、あの二人と俺くらいしか上級持ちは居ないようだね。
てか主に使用してるスキル全部上級になってたりするんだよね…次どのスキル育てよ…
基本的に三年間は座学と基礎訓練、森での戦闘訓練が主であり、四年でやっと迷宮へ入る事が許可される。
迷宮へは五人一組、つまり現在三人な俺等はあと二人仲間にしなきゃならんね…
今のところ前衛クラウス・俺、後衛イナンナであるから…
つか回復使えんの俺だけじゃ心許ないな、回復は欲しい。魔法使いも欲しいが…あ、魔法系全般育てて後衛になるのもアリ?
教師の説明を聞きながら勝手に予定を立てていたら自己紹介が開始された。
…うわー自己紹介とか…どうすんの?
えっと何言うのかな…名前・趣味・特技・将来の夢・適当に一言って感じか
…俺の趣味・特技って何かな…
……………………………やばいおもいつかない
趣味?趣味…………………………か…観察…?
特技………殲めtってアカン、これはアカン。特技何にすれば!?
って俺の番キタァアアアアァアアアア!
「オーリ・カッツェ、冒険者やってます。よろしく。」
オワタ
やべぇ超短いっすよおおおおぉ!!だって思いつかなかったんだもん!
趣味が観察ってのもナシだと思うんだ!
ごめん、短かったの分かってるから!
それだけ?って目でこちら見ないで皆さん。




