第37話「もうひとつの決着」
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うぉおおおおおおおおおお!!
うおおおおおおおおおおお!!
熱狂!
熱狂!! 熱狂!!
レイル! レイル! レイル!!
「ひ、ひぃ……こ、これはマズい」
ギルドマスターは熱狂する闘技場からいち早く逃げ出そうとする。
今のところ観客は熱に浮かされて、掛け金のことを忘れている。
ならばこの隙に────と、逃げる算段を考え始めた。
このまま換金すればマズいことになる。
胴元であるギルドマスターはプラスマイナスでさほど損害を受けることはないが、それは額面通り皆が納得した場合のみだ。
だが、こんな大番狂わせが起こった後──胴元が無事でいられる保証はどこにもない。
200%の価値を信じて、全財産をかけた連中だった少なくない。
そんな連中が「はい、どうぞ」と金を払って諦めるか……?
────……無理に決まっている。
ただでさえ荒れくれものが多い冒険者だ。
下手なことをすればギルドマスターはズッタズタのボロボロにされることだろう。
(よ、よし────今のうちにこっそり逃げちまおう)
掛け金の詰まった袋をこっそり担ぐと、熱狂する観客を尻目にそーっと闘技場から逃げ出すギルドマスター。
それを、一人だけ戦闘に加わらなかったフラウがジッと見ていたが特に何も言わなかった。
フラウはフラウで熱に浮かされたようにレイルを見ている。
そして、
「────この力だ……。この力が僕らを救うかもしれない。……レイル・アドバンス。偽りの勇者の力ではなく、本物の勇者────いえ、戦士の力が……!」
しかし、フラウの思惑など知らぬとばかりにギルドマスターは修練施設を抜け、ギルド本館に戻るのだが、そこで──。
「どぉこ、行くんですか? ハゲマスター」
「誰がハ──……メリッサか?」
ガシリと不躾にギルドマスターの肩を掴んだのはメリッサだった。
いつもは下っ端なりに生意気な口を利くことをあるが大人しかったはずのメリッサがどういうわけかこの時ばかりはすごい迫力で立ち塞がった。
「な、何のつもりだ? 離せ!!」
「そうはいきません────アンタらがバカ騒ぎしている間に、お客様ですよ」
は?
「客だぁ? つーか、お前!! 口のきき方ぁぁ!!」
誰に向かってアンタとか馬鹿とかハゲとかゆーとんじゃ!
「口の利き方がどうかしたのかね? おほん……辺境の町グローリスのギルドマスターのカロンだな?」
ぬぅっと、メリッサの背後から現れたのは陰気な顔をした男だった。
「な、なんだアンタは! 勝手にうちの職員を使わんで貰いたいな!」
「名前を確認しているのだがね──」
ギルドマスターがまともに答えないことを知るや否や、一枚の書状をパラリと示す。
「私は職権に基づき、君にこれを命令しているのだよ。……さて、中央ギルドの監察官として、カロン──君に出頭を命ずる!」
カマキリのように鋭い目つきでギルドマスターに命令を下す監察官。
「か、監察官だ────それに……あ? なんだこりゃ……。────公益通報に基づく出頭命令?」
書状を流し読んで目を見開くギルドマスター。
って、
「こ、公益通報だってーーーーーー?!」
ビクリと震えるギルドマスター。
公益通報はギルド内部からのチクりシステムのことだ。
内部の職員による自浄作用なのだが、実際には使われることは少ないといわれる。
なぜなら、チクり自体が嫌われることもさることながら、
一度通報したが最後──通報した職員も不利益を被ることが多いともっぱらの噂があるからだ。
ギルドの上層部は、「そんなことないよー。公益通報したものはちゃんと守るよー」なんて言っているが、職員からすれば棒読みにしか聞こえない。
だから、ギルドには不正がはびこるし、派閥抗争のようなものもできる。
しかし、なぜか今、今日この場でギルドマスターに対して出頭命令がきている。
つまり誰かがギルドマスターのあれやら、これやらの不正をチクったのだろう。
「だ! 誰がこんなことを────! って、まさか!!!!」
言ってしまってからすぐに思いつく。
グワバッ! とメリッサのほうを睨みつけると、彼女の胸倉をつかんで大声で怒鳴る!!
「メリッサ、貴様かぁっっ! こ、こんなことをしてギルドにいられるとでも──」
「んん? それは脅迫かねカロン。……公益通報者については極秘だ。君に教えられるはずがなかろう」
そういって、メリッサからギルドマスターを引き離すと、すぐに準備をするように命令すると、ドンッとギルドマスターの背中を押して部屋に追いやる。
「急げ。着替えを持っていく時間くらいやるともさ。だが急げよ? もう馬車を待たせてある────それから、今後の発言には気を付けるんだな。カロン、君には黙秘権がある──しかし、それを行使するときはしっかりと取り調べをさせてもらうからそのつもりで」
「ぐぬぬぬぬ……! メリッサてめぇぇえ!!──くそぉぉおお、覚えてろぉぉぉおお!!!」
唸りつつも、まだ挽回できるのではないかと頭を振り絞るギルドマスターであったが、そこにメリッサが話しかける。
「散々無茶苦茶しておいて何言ってんですか。……あ、そうそう。マスターお願いがあります」
「あ゛?! なんだ! お前なんぞに──」
ぺシっ! と、ギルドマスターのハゲ頭に叩きつける紙一つ。
「何だこりゃ。掛札…………? オッズは「1:1000」……レイル・アドバンスの勝ちに金貨10枚────ってこれ?!」
グワバッ! 顔を上げるギルドマスターの目の間には女の形をした悪魔ががががが!!
「くふふふふ。耳をそろえて払ってもらいますよ────……金貨10000枚。あ、」
ニッコリと笑ったメリッサ。
いつの間にかギルドマスターが抱えていた金の詰まった袋を没収している。
「──ギルドにいられなくしてやるとか言いましたー? 別にいいですよ。デカい屋敷が買える金額ですしねー。これだけあれば一生遊んで暮らせますねー。あ、そうそう。払えなくても、払ってもらいますよ────いいですね、マぁスターぁぁぁ」
ニヤァと笑うメリッサの笑顔の黒いこと黒いこと……。
「な! き、貴様! ば、バカな冗談だろ!?────金貨10000枚なんて払えるわけがががががが!」
「大丈夫ですよー。ちゃんと、マスターの貯金とか、家の抵当権は押さえときましたんで──」
「んなぁ?!」
メリッサはギルドマスターをチラリとも見もせずに、袋の中から金貨を取り出し、きっちり計量中。
「貴様ぁぁあ!! 覚えてろーーーーーーー!!」
「いいからさっさとしろ!! 急げ、ハゲ」
ハゲじゃねーーーーーーーーー!!
と、ついに初対面の監察官にまでハゲ呼ばわりされるギルドマスターであった。
しかし、その後の不正が暴かれ、二度とこのギルドに戻ることもできず、大量の借金を背負いかつ、大勢の冒険者に恨みを買い命を狙われる羽目になるのはまた別の話…………。
「ん~ふ~ふー。金貨5468枚なりーっと。残りは財産で支払ってもらいましょうかね」
公認賭場の価値札の効力は強い。
公益通報でギルド内部から睨まれようとも、メリッサにはもはや恐れるものなどなかった。
そうして、ギュッと金の詰まった袋を締めると、数人だけいた勝ちに賭けていた冒険者の分をより分けて、残りの金をしまい込むメリッサ。
「さーて、レイルさん。こっちはケリがつきましたよ。あとは────」
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