表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/987

第18話 理由

本日2話目です。

俺が探索者になったのには理由がある。

もちろん、かっこいいからという単純な理由も大きい。

だが本当の理由は、誰にも言ったことはないが小学生の頃に遡る。

俺は小学生の低学年の頃、そこそこ運動能力が高かった事と、社交的だったこともあり、クラスの中心人物とはいかないまでも、それなりにクラスでは目立った存在だった。

その頃は友達も男女問わず多かった。

ただ特別、好少年というわけでもなく、自分から進んで善行を行うこともなかった。

むしろ、どちらかというとクラスの中でも騒いでいる事が多かった。


そんな小学生生活も高学年に近づくにつれ、変化を見せはじめていた。

低学年の頃は、運動能力や社交性が特に重要視されていたが、高学年になるにつれ、そこに学力やルックスという要素が大きく影響するようになってきた。

それらの要素が色濃くなるにつれ俺の評価も相対的に下がる事となった。

学校で以前ほどの活躍の場が無くなった俺は、丁度その頃に親に買い与えて貰ったVRゲームに傾倒していった。

VRゲームは本当に楽しかった。物語の主人公になり、やればやるほど無双出来た。

VRゲームの世界の中心は俺だった。

オンラインで顔も分からないゲーム仲間もいっぱいできた。

ゲームの世界に比重を置く事でリアルの学校生活が希薄になっていることに気がつかなかった。


今となっては、何がきっかけだったかは分からない。

ある日を境にクラスメイトから話しかけられる事が無くなった。

話しかけても、なんとなく、あしらわれてスルーされた。

そんな状態が数日続けば、俺でも自分の置かれた状況は理解できた。

暴力等の、あからさまな『いじめ』ではないが、自分がそのターゲットとなったことに気づいてしまった。

その後5ヶ月ほどは同じような状況が続いた。

あからさまな『いじめ』ではないので、先生や親に相談することもできない。

小学生の俺には精神的にかなりこたえた。

今までの行動を省みて、自業自得と思いながらも、孤独感、絶望感は日々増していった。

その頃になると、 学校帰りに、通学路から少し離れた神社の裏手で毎日泣いていた。


「うぇーん、ううー。ぐすっ。」


「どうしたの?」


「え〝?」


突然声がした。

声の方を見るとそこには、去年まで同じクラスだった葛城 春香が立っていた。

泣いているのを見られて、気が動転して、あたふたしたが、涙が直ぐに止まるわけもなかった。


「うぅ〝ー」


「何か悲しいことでもあったの?」


優しい言葉をかけられて更に涙が溢れた。


「ぐ、ぐっ、ふー、ふー、ううぇ〝ーん」


「話してみて?」


正直、人に話すのは躊躇してしまうが、誰かに聞いて欲しかったのだと思う。

俺はクラスでの現状を洗いざらい彼女に話してしまった。


「ふーん。そうなんだ。」


「またね〜」


「え?」


特に何かを期待していたわけではないが、事情を聞くだけ聞いて、あっさり帰ってしまった彼女に唖然としてしまった。

次の日からまた学校での変わらない生活が始まったが、それから4〜5日ぐらいしてからだろうか

なんとクラスメイトの一人が挨拶してきたのだ。


「おはよう」


「お、おう」


その日はそれだけで終わったが、次の日以降も数人のクラスメイトが挨拶してきた。

それだけではなく、今まで完全にスルーされていたのに、なんか雰囲気が変わっている。

積極的に話しかけてくる訳ではないが、視線も含めて、無視するわけでもなく、普通に戻っている気がする。


「???」


俺は何が起こったのかよく分からなかったので、最初に挨拶してきた、クラスメイトが一人になったのを見計らって、事情を聞いてみた。

聞いてみて本当に驚いた。


葛城 春香さんだった。


彼女が、朝や休憩時間に、俺のクラスメイトを順番に呼び出して、説得してくれたというのだ。

当時から人気のある生徒だった彼女に直接説得され、後ろめたさもあり、クラスメイトは俺へのいじめをやめることにしたようだ。

話を聞いたクラスメイトも


「悪かったな」


といってきたが、正直あまり耳に入らなかった。

特別、親しい間柄でもない葛城 春香が俺の為に動いてくれた。

しかも俺に特別何かを求める訳でもなく、恩を売る訳でもなく、俺の居ない所で助けてくれた。


当時の俺には衝撃的だった。


ゲームの世界は英雄だらけだが、現実の世界で英雄というものがいるのなら彼女の事だと本当に思った。

その後、小学校を卒業するまで彼女と特に親しくなる訳でもなく、クラスメイトと関係性も劇的に好転した訳ではないが、彼女への感謝の念と憧れだけが膨らんだ。


俺の中の英雄は彼女だった。


俺が探索者になって英雄になりたいと思ったのは、他に英雄になれる術を思いつかなかったからだ。

彼女に認められるような英雄になりたいと思ったからだ。

もちろん、他にも色々な形の英雄がある。

それは彼女から嫌と言うほど教わった。

だが、当時の単純な俺は、これしかないと思い込んでしまった。

思い込んでしまった以上、途中で投げ出すことは許されない。

今では憧れから、一方的な恋愛感情へと変わった葛城 春香さんへの想いと、彼女に相応しい男になる。

そして早く告白して付き合いたい。

それが今の俺の原動力となっているのだ。


以前、3階層に行ければ絶対告白しようと決めていたが、今は4階層に行ったら絶対告白しようと心に決めている。


いつもありがとうございます。

この作品は皆さんのブックマークとポイント評価で支えられています。

興味をお持ちの方はブックマークと下部からのポイント評価お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 文庫版 画像をクリックすると紹介ページにアクセスできます ▼▼▼  
表紙絵
     ▼▼▼クリックするとアニメ公式ページにアクセスできます ▼▼▼  
表紙絵
― 新着の感想 ―
モブは英雄よりある意味気楽だと思うけどなぁ
[良い点] 目標階数が延長されてるのが笑えるけど、人間、そんにものよねw 僕でもそうすると思うw
[一言] モブって目立たない、名前覚えてない位印象に残らないってのが基本だから海斗はモブじゃないと思う笑
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ